モブ紹介 第五十三話〜
モブの紹介のはずが、何故かかなり長くなってしまいました。尚、それだけあっても本編では基本そんなに関係ありません。
第五十三話
・ゲノン・モーゲン
三年八十二組、冒険科。脳筋。
普通の馬鹿。ただ夢を追いかけるのに盲目的な少年。夢は世界中を旅する事。内面的には比較的どこにでもいる普通の少年。
両親は考古学者寄りの冒険家。夫婦が忘れ去られた文明の遺跡を調査する時に産まれようとしていたが、彼は本来死産となる運命であった。しかし両親が遺跡調査をする過程で遺跡を綺麗に掃除し、そこに祀られていた忘れられた神々の神像を丁寧に扱い、調査に来る度に信仰に関係なく祈りを捧げた為、殆ど滅びかけていた神々はそのことで夫婦を気に入り、どうせ忘れ去られ完全消滅するのなら神として人の願いを叶えて滅ぼうと、残された力を全て使い加護となる事で死産の運命から遠ざけた。そうして産まれる。
神々も想定しなかった事態として、彼は器が大幅に拡大し、神々が元の力を取り戻そうとするかの様にエネルギーを得ることができる為、強く早く成長出来る様になった。そして彼は神そのものと言っていい加護を得た為に願いの力の一部を自らの力にする事ができた。
飛び出た能力は無いが全体的に秀でている。特筆すべき点は直感力、神々のようにとは言わないまでも想いの力を自らのものにできる為に、超常的な感受能力を持ち、感覚だけで状況が分る。
だが直感だけで、寧ろそれだけの方が正確に求める結果が得られるので基本何事も深く考えない。結果言ってしまえば考えるより先に動く馬鹿である。
そしてその直感力も彼が強者になる事で、日常場面で役に立たない、つまり力尽くで欲しい結果を得られ危険も強引に突破出来る様になった為に行動が変わる程には機能しなくなり、普通の馬鹿となっている。
彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【再興神話〜最後の加護は新たな神話を綴る〜】である。
・クーガ
三年八十二組、戦士科。脳筋。
一途な少年。好きな娘である幼馴染を守ると幼少期に告白してからその通りに努めてきた。幼馴染が勇者であった事で色々な事件に巻き込まれているが、その事実には気が付かず幼馴染に危害を与えようとする相手を倒してきた。結果、世界を守る気も覚悟も無いのにそれ等を背負った勇者達よりも数段強くなっている。
特別な能力や才能は無いが、強敵を打ち破る事で強引に成長する主人公気質な少年で、想いの力で能力以上の力を発揮出来る。一つ特殊能力と言うべきか、幼馴染に迫る危機を異様に察知する事ができ、この力で些細な悪意、勇者の正体なんか知らないけど本能として憎いと思っている魔物等が付近に居るだけで始末に向かったりと、実戦に実戦を重ねて来た。実のところ幼馴染を守る為に努力した事など無い。修行の練度を遥かに超える実戦を必要以上に重ねる事で力を高めてきた。
自分の事を戦士だと思ってもいなかったりする。本人曰く少し害獣駆除出来るだけの一般人。世界を救う気も無いし、勇者やそれにまつわる話か全般も御伽話としか思っていない。勇者を迎えに来た連合軍もアホが来たとボロ雑巾にして追い払っている。そして魔王軍は門前払いどころか粉々に。聖魔どちらでも無く、ただ幼馴染の安寧を第一とする攻撃は最大の防御系守護者である。
因みに、幼馴染の方も彼の過保護の結果、自分を勇者だとは思ってもいない。基本、戦闘に関わっても彼のサポートしかしないし出来ないと思っている。それを続けて聖女よりも高等な回復魔法が使え賢者よりも高等な付与魔法を使え、ついでに大商人よりも素材を上手く捌く内助系勇者となっている。尚、裸体美術部血涙間違いなしの幼馴染両想い。
彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【最近、幼馴染を勇者と呼ぶ不審者が増えて困っています。畑の肥料はもう十分です。】である。
・セオン
三年八十二組、剣士科。脳筋。
幼い頃から英雄譚の剣士に憧れてきた少年。部屋に籠もっての鍛錬でも五十年も続ければ賢者に到れる才能を持っている。しかし昔から目指すのは剣士のみ。魔術は術式を覚えたりするのが面倒で解りにくいと、勉強嫌いな彼は嫌っている。そして剣士の才能は可もなく不可もなく平凡。それを魔術の才能で強引に伸ばしてきた。
ただの魔力や魔術による身体強化に留まらず、瞬間的に身体の一部を強化する魔術や操り人形のように身体操作する魔術を用いて身体能力を超えた剣術を行使する。勿論剣自体も強化し、飛ぶ斬撃や複数の斬撃、留まる斬撃等超常的な剣術を使う。基本剣が中心の戦闘スタイル。自身をも剣の付属品として使う。
魔術自体は剣と共に感覚的実践的に覚えて来たので、魔術らしい魔術は初級のもの以外は使えない。しかし剣に関するもの、自身の戦闘スタイルの延長線上にある魔術に関しては、理論的に生み出すのが賢者でも難しい高等なものを使える。また強引に身体を動かす反動を減らす為に回復系統の魔術も扱える。これに関しては生存本能により魔術の才能が極度に引き出されて来た為に、自身に限るが奇跡としか言えないレベルの自己再生魔術を使えるようになっている。また通常時の身体能力もこの破壊と再生の結果超人的。
因みに魔術に疎い周囲と自身はただの剣士だと思い込み続けている。
彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【学なき賢者は最強剣士】である。
・セイバ
二年九十組、暗殺科。
グレーゼル世界において【呪面の鉄騎士】と呼ばれ恐れられる殺人鬼。自称凄腕の暗殺者。ターゲットは必ず殺しており、仕事の達成率は100%。
しかし彼を肩書付きで評する場合、暗殺者では無く殺人鬼と評される。何故なら暗殺が得意で無いから。本人は暗殺のつもりだが背後からの首切りや毒殺が成功した試しは無く、バレて正面から戦い勝利を収めてきた。そして仕事が終わると追跡を振り切るのが得意でも無いのに組織のアジトに直接帰還と言うとんでもない行動をしてきた。逃走の最中に追手を切り裂き、アジトまでを血の道で示す殺人鬼。
暗殺自体は下手だが、変装と演技の技術は確か。潜入までは上手くゆく。また仕事の時は仮面を着けている為に正体がバレた事は無い。暗殺者に向いていそうな素早そうな外見をしているが、戦闘スタイルは重戦士のようなパワータイプで固有スキル〈怪力〉を持つ。ナイフの一撃も大槌の破壊力と変わらない。自称暗殺を成功させて来たのはこの能力に依る。剣で弾き返そうともパワーで押し切られ、机を盾にしても容易く貫かれる。かなり豪快な暗殺を行って来た。
元々は奴隷で、始めは使い捨ての駒として暗殺に使われたが、彼は成功した後に追手を引き連れたまま堂々とアジトに帰還。そのまま彼を送り出した組織の支部が壊滅した。その騒ぎの中で変装能力と演技力を駆使し彼は支部と伝えられていた場所に逃げ、そこで死人に口なし、唯一生き残った凄腕と勘違いされて登用。同様に幾つもの支部を壊滅させ、最終的に本部で凄腕の暗殺者として務める事になる。始めの段階で奴隷契約の主となっていた構成員達が全滅した為に実質奴隷では無くなっている。術式も強引で強力なものであった為に、逆に奴隷化出来ない状態である。
暗殺者を辞めたいと考えており手切れ金を求めている。裏の組織なら金の力で押し切れると安易に考えた為に、そんな決まりなどは存在しない。なので額も漠然と今まで見た中で一番多い額を求めている。因みに彼が所属しているのは構成員の殆どすら伝えられていない大国の工作組織で、実のところ一般的な裏組織では無い。そして彼が支部に追手を引き入れ続けた結果、かの国の悪行は明らかになり、周辺国や属国ほぼ全てから報復を仕掛けられると言うとんでもない事になっている。実のところ、待てば勝手に自由の身になれる。
彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【劇動の暗殺者】である。
・セルガ・アービス
四年五十三組、剣士科。返済部所属。
借金のカタに剣士なのに刀を預けた無刀の剣士。刀無しの剣術もどきで戦っていたら刀が無くても戦えるようになった、武器を必要としない剣士。素手でスパスパと斬れる。
借金理由は生活苦から。彼の家は島国ティアテイルの大領主に代々仕える下級武家で、百年ほど前から島全体が統一された為に戦が無く、仕事が殆ど無い為に貧乏暮らしをしていた。
返済に過激な手段を選ぶのは借金のカタが先祖代々伝わる家宝の刀だったからである。無刀のまま戦い続けるのも家宝の刀しか相棒として認めないから。
因みに家宝の刀は選ばれた者しか抜けない伝説の武器として彼の家には伝わっているが、実際は鞘が豪華なだけで、抜けないのは刀身が錆びているからである。当然彼は一度も抜いたことは無い。しかし預けられたのが幼少期で、今もいつかあの刀の主に成るんだと燃えている。
尚、仮に家宝の刀が聖剣だったとしても必要ない程に彼は強くなっている。寧ろ剣が無い故に剣と言う理に嵌らない無刀術を身に着けているので剣は制限になってしまい邪魔である。
錆びた家宝の剣は折らなければ既に抜けないが、それ故に使うとすれば柄だけになり、剣は刀身こそが武器であるから肉体を剣にまで引き上げた彼がこの剣を使えば肉体の剣に制限を受けてしまう。しかし素手で剣術を扱うまでになった彼ならばその制限をも超えて、更に限界のない剣士になる可能性がある。剣としての限界が根本から家宝に無い分、無刀の剣士としては聖剣よりも強くさせる武器となりうるだろう。
彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【無刀の剣士】である。
・ハービット・ロード・エストロ
三年五十三組、王侯科。返済部所属。
超貧乏貴族。一応セスィトリアヌ世界最大の大陸をかつて統一していたマハアリヌス王家の血が流れるエストロ公爵家の現当主。但しマハアリヌス王家が大陸を治めていたのは五百年以上昔の事で、今は人口千人程しか居ない超小国の公爵(最高権力者)に過ぎない。
借金理由は見栄を張るため。どこの国の公爵でもおかしくない姿を内外に示す為に多額の借金をしている。身ぐるみを全て剥がされているのは、レンタル衣装を着ていたため。借金を続けた末に衣装を借りられる期間が短くなり、持ち服が無いと気が付いた時には後の祭りであった。尚、借金相手は露出教。これが身ぐるみを剥がされた一番の要因である。
尚、ただ見栄っ張りと言う訳ではなく、全ては祖国の為。まだ小国の規模があった頃から今に至るまで、彼と彼の先祖は内外に我らは未だ健在であると示してきた。それによって大物の様に見せつける事で力があると周囲に偽り、国を侵略から守り維持してきた。
露出教に借金していたのも周囲からバレない為。普段はボロが出ない様にアンミール学園に居る事が多い。例え全裸であろうとも誇り高く、人前では堂々とする様に努力している。その為、正式に露出教徒にならないかと日夜勧誘されている。
尚、同国の貴族は皆彼と同じ様な状態で、年齢の近い者は皆アンミール学園に居る。毎週飲み会(水)を開き、号泣し合うと言う。
因みに能力としては借金相手関係やアンミール学園のバイトを幾つも熟している事で、万能な力を身につけている。そしてあるものを極限までやり繰りする事が大の得意。華麗に軽やかに万の技を編み出し繰り出す(ただし素手)。群れや軍にこそ真価を発揮する。多分見栄を張らなくとも国を守れ、逆に大陸統一も夢でない実力を持つが、本人はまだ気が付いていない。
彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【裸の公子様】である。
・ソルセン
四年五十三組、勇者科。返済部所属。
デルア世界の勇者。借金理由は唯一魔王を倒せるとされる伝説の聖剣を治す為。勇者は世界の希望であると考えており、そうであるようにと行動している。その為魔王を倒す希望の力、聖剣を折ってしまったとは言い出せずにおり、知り合いの鍛治師にのみ真実を伝え聖剣を治せそうな伝説級素材を自力のみで集めている。
事が人類の未来を左右する程に深刻なので一刻でも早く聖剣を治すべく、稼ぎの殆どは素材集めに使っている。料理科のクラスメイト達から残り物を貰って食いつないでいるが、勇者と言う立場上、地元に居る事が多く三食水と言う場合も珍しくない。おかげで勇者と言う強大な素質と合わさり仙術に目覚めている。
腰に聖剣が折れたとバレない様に偽の聖剣を差しているが、壊れやすい飾りなので戦闘では素手や周囲に落ちている物を使って戦う。防具すらも最も損傷を受けやすいので金がかかると使わない。服も汚したら金がかかるからと、戦闘時は腰巻きと偽の聖剣と言う装備だけ。
そんな彼の戦闘スタイルは通常の武器と違いキレイに倒せず、腰巻き一つの身に返り血を大量に浴びるため、巷では【惨殺の勇者】と呼ばれている。
因みに、聖剣は魔王の魂の一部を封印し造られたもので、聖剣が魔王の一部であるからこそ不滅の魔王に傷を与える事が出来ると言う代物。その魂の一部はかつて神々が封じた魔王の魂の核であり、完全消滅させる事こそ出来ないが、攻撃し続ける事で再封印する事が出来る。そして、聖剣を折ってしまった際に、封印する事しか叶わなかった魔王の魂の核は砕け散っている。つまり実は魔王を封印するどころか前代未聞の討伐に近い事をしているが、本人は気が付いていない。本体の魔王は核が破壊された事で魔王の肉体はかなり弱体化している為に、おそらく完全に討伐しても気が付かない状態に陥っている。
彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【惨殺勇者は勇者である】である。
残りは本編五十七話、出来によっては五十八話更新後に付け足します。何故かは本編をお待ちください。
他の話の登場人物も場面分けしてこの形式でまとめようかと思います。章で分けたものもそのまま続けますので、読みやすい方をお読み下さい。
また裸体美術部は別枠とします。