第3章 モブ紹介
第2章 モブ紹介がまだ完成していませんが、先に投稿しました。
後から付け足す場合などがありますが、ご了承ください。
第三十九話
・カナデ・フォン・ヨーク・ニーク・エルグランゼ
アンミール学園実技主席。
世界貴族エルグランゼ辺境伯家の御令嬢。世界貴族の中でも特異な、直接広大かつ無数の世界群を治める辺境伯家出身である。
世界貴族、それも辺境伯家と最高峰の家柄の生まれであることに加え、天でも与えきれぬ美貌をもつなど全てを与えられ生まれてきた存在。常にパーティーの主役が着るようなドレスを着ているが、あまりにも似合い過ぎてどんな環境でも不思議に思えない程。
それに加え万能と呼べる才能を持ち、その細かな動作まで洗練されていて誰にでも平等に接する。
完璧超人と呼べるような存在である。
だが、平等に見えるのは只人を皆同様にとるに足らない存在だと思っているだけであり、優しさからではない。
それでいて選民思考ではない。
既に絶大な力を持つ自分に対してもとるに足らないと考えており、底知れぬ向上心からこのような態度をとる。
彼女は世界貴族である故に、真なる超越者を知っているのだ。
世間からはどんなに自分が超越者だとしても、所詮自分は真の超越者から見たら赤子ですらない。
そして人々から見て絶大な力を持つのも、特権を行使できるのも、真の超越者の傍らに侍る為だと。
自分には足下に侍る実力すらまだない。
人々から称賛され畏怖される価値など自分にはない。
だから期待に答え報いよう。
そう考え実際に相応しい存在になろうと強い覚悟を決めている。
そしてこの向上心が厄介な点であり、彼女は既に超越者であることから更に上に昇る事は難しい。
その為、自らを磨く手段が非常に乏しいことから、手段を選ばずかなりの事を躊躇することなく行う。
例えば見込みが有りな者には片っ端から挑んだり、強力な再生能力を持つもの等を強制的に練習相手にしたりする。
尚、一般人をおもちゃと呼んだりするが、世界を明るく楽しませる存在というような意味で、これ以外に他意はない。
彼女が主人公の物語に題名をつけるならば、【起源からの約束~世界貴族たる彼女の報う道~】である。
・アゼル・フォン・クオン・イグランドール
アンミール学園学術主席。
自力転生者。永い年月をかけ肉体を改造調整し知識と力を手に入れ続けてきた狂気の探求者。自らの調整の為、かつての身体を新たな身体に吸収同化させ続け、自らで造られたフランケンシュタインの怪物、完全生体バージョンのような肉体となっている。
最も知られた二つ名は【自己死体愛者】。
初めに転生を考えた時、彼はその世界で最強であった。
当代の勇者よりも強靭な肉体を持ち、当代の賢者よりも明晰な頭脳を有していた。
当時、勇者パーティーが数十年戦い、勝つに到らなかった魔王軍最高幹部の一角を僅か十代で害獣駆除のついでに討伐し、三月後には魔王をも軽傷で討伐。
その後彼の力を怖れた世界は彼の排除に動き出した。
だが彼はそれもいとも簡単に退け、賠償金にと怒りで世界中の富という富巻き上げ、全てを手にいれる。
そこで彼は全ての動機を失った。人の為に魔王を討伐しても怖れられ、自分勝手に生きようにも他人の心以外を全てを持っている。
だからその財を自らを磨く為に使う。信じられるのは自分だけであるから。
しかしそこで初めて彼に限界が来た。
世界最強の自分、自分が全ての生物の中で最強である世界では、もはや彼の力となるものは存在しなかった。魔物を倒しても手にはいるのは格下の微々たる経験値、最強の肉体を与える龍の肉をも所詮は格下の肉。何も彼に力をもたらさない。
ここで彼は全てを見出だした。
唯一思い通りにならない事、これを成し遂げることこそが自分の存在する意義だと。
そして見つけた方法こそが自分の強化に自分自身を使うことだった。最強の自分がもう一人いれば二倍の強さを手に入れたのと同じではないかと。
それが狂気の始り。
何度も転生しては最強まで鍛え上げ、限界が来たら死体を魂に保存し転生をまた繰り返す。
そうして最凶の肉体を造り出した。
アンミール学園へは最初期から勧誘されており、今までは断っていたが、今回は超越者を必要とし本気になったアンミール学園の教員にいとも簡単に誘拐された。
そこで初めて自分を遥かに越える存在達を間近に見て、新たな可能性を見つけ勉学に励み、主席の座をとるに至った。
アンミール学園屈指の狂気の天災。
アンミール学園に溢れる未知に見境なく突っ込んで行く。
彼が主人公の物語に題名をつけるならば、【自己死体愛者の願い探し~全てを手に入れた者の求む道~】である。
・クルト・ククルス
アンミール学園実技主席補佐。
実技主席であるカナデの直属の後輩。
アンミール学園が最近強制的に生徒を集めるようになった地域出身。両親は普通の商会の従業員で、密かに冒険者に憧れていたので軽い気持ちで冒険科に入った。
そしたらペアの先輩にカナデがなって苦労人の道を急速に駆け上がってしまう。
まずカナデが世界貴族の、それも辺境伯であることに驚き恐縮していたが、暫く振り回される内にカナデの馬鹿げた行動を見ていつの間にか完全に突っ込み気質になった。
そしてストッパーへと成長する。
今では世界貴族の無自覚常識外れ行動を正面から抑えられる世界でも稀な有数の人物。場合によってはカナデを正座させる事が出来る。
ただし、権力面の常識は最高峰の権力者であるカナデに臆せずものを言える為に狂っており、強者を求めるカナデを利用しようとしたとある世界の世界会議で、参加者の王や皇帝、為政者達を問答無用で殴り飛ばし、集まってきた精鋭達も一撃でひれ伏せさせ、半日近くもお説教したことがある。
また最強を自称するものにカナデが飛び付きがちなので、カナデの耳に届く程騒いでいる輩が嫌いで、カナデに気付かれる前に排除したりしている。倒した勇者魔王の数ですら覚えていない程。
実は王侯貴族に色々な意味で畏れられている人物。
実力もカナデに振り回されている為に強く、3分程の時間を稼げれば奥義も放てる。
特殊な能力は権力関係以外に無いのだが、多種類のスキルの奥義を使える。
また、避ける守る受け流すなど、生き残る技術に関しては学園でも有数。
彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【対権力抑止力の理不尽】である。
・ケミルナ・アルテュミナ・エーデルフェノン
アンミール学園学術主席補佐。
学術主席であるアゼルの直属の後輩。
両親は平凡な錬金術師で極一般的な店を開いており、その技術を高める為に軽い気持ちで理論を学ぶ魔法科に入ったが、直属の先輩がアゼルになり、苦労人の道を何周も踏破するはめになった。
アゼルが危険と恐怖を詰め込んだような存在なのでそちらへの耐性が物凄く身に付いている。
どんな現象にも恐れず冷静に対象出来る。
魔王が決め台詞を言う前に倒すどころか、世界に出現した途端に滅ぼす程に容赦が無い。
彼女の研究の基本スタンスは原因解明だが、それも全てアゼルに何かをやらせない為であり、とても行動が早い。
研究者だが探偵のような能力を多く持つ。
その迅速さはアゼルが興味を持ちそうな悪巧みする裏の組織を幾つも滅ぼしている程。
ただしただのストッパー兼ガーディアンと言うだけではなく、邪神を復活させようと企むものが居たら、アゼルが邪神を材料にして何かやらかさないように、躊躇なく原子力魔法を撃ち込むマッドな一面も持つ。
このように全体的な行動の基本スタンスは危険物の即焼却であり、結果的にアゼルとセットで恐れられている。
彼女が主人公の物語に題名を付けるのならば、【対最狂マッドサイエンティストには最凶マッドサイエンティストを!~被害0は理想にしか存在しません~】である。
・ファーレン・フォン・ヨーク・クリスタ
封印科主席。
封印の権威とも言われる名門クリスタ家の巫女姫。
姫と言っても外見と生まれのよさを讃えられているだけで、何処かの国の姫と言う訳ではない。
クリスタ家は脅威の封印以外にも自分達に力を封印し、力を高めてきた一族であり、クリスタ家に生まれてきた女性には初めから世界屈指の封印の才能と力が備わっている。
彼女は歴代でも有数の力を引き継ぎ、クリスタ家が太古の時代から封印する【地響きの災害獣】ベルガフォクシスの封印を引き継いでいる。
そして同時に各地の封印にも携わる封印界の天才。
数多くの封印に携わり、彼女に変わる封印者は現在まだ存在していない為、彼女の住む地域の最重要人物でもある。
仮に彼女に何かがあれば封印が全て解き放たれ野放しになる可能性が高い為だ。
彼女はその危険性を深く理解しておるために、管理者の必要としない完全なる封印の完成を目指している。
同時に、次代の後継者を生み封印の万が一を無くすために、学生ながらも能力のある優秀な種を持つ相手も真剣に探している。
彼女は責任感も強く、結婚相手としてでなくとも優秀な子種さえ貰えれば自分の幸せはどうでもいいと思っている。
彼女が主人公の物語に題名を付けるのならば、【巫女姫クリスタの継承紀―神到始祖ファーレンの章―】である。
・ファーラン・フォン・ヨーク・クリスタ
結界科主席。
封印の権威とも言われる名門クリスタ家の巫子王子。ファーレンの双子の兄。
妹と同様に何処かの国の王子と言う訳ではない。
クリスタ家は純粋な人族の家系でありながら、代々女児しか生まれない家系である。そんな中で生れた彼は妹や一族と違い封印の才能を持たなかった。
しかし女児しか生まれない家系に生まれたからには、何かあるのではと周囲からの期待を背負い、必死に封印の練習に明け暮れていた。
そんなある日、目の前で封印を解き放とうと考える邪教徒の襲撃に妹が遭う。妹を助けようとする中で、彼は何も出来なかった。他の親族達が撃退に活躍する中で、彼は最後まで見届ける事しか出来なかった。
妹は無事。子供に強さを求める者も、彼を責める者も皆無だったが、彼は自分が許せないほどに悔しかった。
そして気が付く。自分が助けられなかったのは、評価のためでしかない、才能も無い封印の修行ばかりに気を取られていたからだと。評価なんかと比べるまでもなく、自分にとって一番大切なのは妹だと。
そしてそれから彼は、自分に出来る事に目を向け、大切なものを守るために力を磨くようになる。
そして見つけた道は結界。封印と似て非なるもの。多くを脅威から遠ざける力ではなく、守りたいものを守る力。
彼は結界の才覚をみるみる伸ばし、現在では妹の封印に届くほどの結界の力を身につけた。
妹を守るためならば強硬手段も厭わないタイプのシスコン。
彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【妹専任背後守護神】である。
第五十三話
・ゲノン・モーゲン
三年八十二組、冒険科。脳筋。
普通の馬鹿。ただ夢を追いかけるのに盲目的な少年。夢は世界中を旅する事。内面的には比較的どこにでもいる普通の少年。
両親は考古学者寄りの冒険家。夫婦が忘れ去られた文明の遺跡を調査する時に産まれようとしていたが、彼は本来死産となる運命であった。しかし両親が遺跡調査をする過程で遺跡を綺麗に掃除し、そこに祀られていた忘れられた神々の神像を丁寧に扱い、調査に来る度に信仰に関係なく祈りを捧げた為、殆ど滅びかけていた神々はそのことで夫婦を気に入り、どうせ忘れ去られ完全消滅するのなら神として人の願いを叶えて滅ぼうと、残された力を全て使い加護となる事で死産の運命から遠ざけた。そうして産まれる。
神々も想定しなかった事態として、彼は器が大幅に拡大し、神々が元の力を取り戻そうとするかの様にエネルギーを得ることができる為、強く早く成長出来る様になった。そして彼は神そのものと言っていい加護を得た為に願いの力の一部を自らの力にする事ができた。
飛び出た能力は無いが全体的に秀でている。特筆すべき点は直感力、神々のようにとは言わないまでも想いの力を自らのものにできる為に、超常的な感受能力を持ち、感覚だけで状況が分る。
だが直感だけで、寧ろそれだけの方が正確に求める結果が得られるので基本何事も深く考えない。結果言ってしまえば考えるより先に動く馬鹿である。
そしてその直感力も彼が強者になる事で、日常場面で役に立たない、つまり力尽くで欲しい結果を得られ危険も強引に突破出来る様になった為に行動が変わる程には機能しなくなり、普通の馬鹿となっている。
彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【再興神話〜最後の加護は新たな神話を綴る〜】である。
・クーガ
三年八十二組、戦士科。脳筋。
一途な少年。好きな娘である幼馴染を守ると幼少期に告白してからその通りに努めてきた。幼馴染が勇者であった事で色々な事件に巻き込まれているが、その事実には気が付かず幼馴染に危害を与えようとする相手を倒してきた。結果、世界を守る気も覚悟も無いのにそれ等を背負った勇者達よりも数段強くなっている。
特別な能力や才能は無いが、強敵を打ち破る事で強引に成長する主人公気質な少年で、想いの力で能力以上の力を発揮出来る。一つ特殊能力と言うべきか、幼馴染に迫る危機を異様に察知する事ができ、この力で些細な悪意、勇者の正体なんか知らないけど本能として憎いと思っている魔物等が付近に居るだけで始末に向かったりと、実戦に実戦を重ねて来た。実のところ幼馴染を守る為に努力した事など無い。修行の練度を遥かに超える実戦を必要以上に重ねる事で力を高めてきた。
自分の事を戦士だと思ってもいなかったりする。本人曰く少し害獣駆除出来るだけの一般人。世界を救う気も無いし、勇者やそれにまつわる話か全般も御伽話としか思っていない。勇者を迎えに来た連合軍もアホが来たとボロ雑巾にして追い払っている。そして魔王軍は門前払いどころか粉々に。聖魔どちらでも無く、ただ幼馴染の安寧を第一とする攻撃は最大の防御系守護者である。
因みに、幼馴染の方も彼の過保護の結果、自分を勇者だとは思ってもいない。基本、戦闘に関わっても彼のサポートしかしないし出来ないと思っている。それを続けて聖女よりも高等な回復魔法が使え賢者よりも高等な付与魔法を使え、ついでに大商人よりも素材を上手く捌く内助系勇者となっている。尚、裸体美術部血涙間違いなしの幼馴染両想い。
彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【最近、幼馴染を勇者と呼ぶ不審者が増えて困っています。畑の肥料はもう十分です。】である。
・セオン
三年八十二組、剣士科。脳筋。
幼い頃から英雄譚の剣士に憧れてきた少年。部屋に籠もっての鍛錬でも五十年も続ければ賢者に到れる才能を持っている。しかし昔から目指すのは剣士のみ。魔術は術式を覚えたりするのが面倒で解りにくいと、勉強嫌いな彼は嫌っている。そして剣士の才能は可もなく不可もなく平凡。それを魔術の才能で強引に伸ばしてきた。
ただの魔力や魔術による身体強化に留まらず、瞬間的に身体の一部を強化する魔術や操り人形のように身体操作する魔術を用いて身体能力を超えた剣術を行使する。勿論剣自体も強化し、飛ぶ斬撃や複数の斬撃、留まる斬撃等超常的な剣術を使う。基本剣が中心の戦闘スタイル。自身をも剣の付属品として使う。
魔術自体は剣と共に感覚的実践的に覚えて来たので、魔術らしい魔術は初級のもの以外は使えない。しかし剣に関するもの、自身の戦闘スタイルの延長線上にある魔術に関しては、理論的に生み出すのが賢者でも難しい高等なものを使える。また強引に身体を動かす反動を減らす為に回復系統の魔術も扱える。これに関しては生存本能により魔術の才能が極度に引き出されて来た為に、自身に限るが奇跡としか言えないレベルの自己再生魔術を使えるようになっている。また通常時の身体能力もこの破壊と再生の結果超人的。
因みに魔術に疎い周囲と自身はただの剣士だと思い込み続けている。
彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【学なき賢者は最強剣士】である。
・セイバ
二年九十組、暗殺科。
グレーゼル世界において【呪面の鉄騎士】と呼ばれ恐れられる殺人鬼。自称凄腕の暗殺者。ターゲットは必ず殺しており、仕事の達成率は100%。
しかし彼を肩書付きで評する場合、暗殺者では無く殺人鬼と評される。何故なら暗殺が得意で無いから。本人は暗殺のつもりだが背後からの首切りや毒殺が成功した試しは無く、バレて正面から戦い勝利を収めてきた。そして仕事が終わると追跡を振り切るのが得意でも無いのに組織のアジトに直接帰還と言うとんでもない行動をしてきた。逃走の最中に追手を切り裂き、アジトまでを血の道で示す殺人鬼。
暗殺自体は下手だが、変装と演技の技術は確か。潜入までは上手くゆく。また仕事の時は仮面を着けている為に正体がバレた事は無い。暗殺者に向いていそうな素早そうな外見をしているが、戦闘スタイルは重戦士のようなパワータイプで固有スキル〈怪力〉を持つ。ナイフの一撃も大槌の破壊力と変わらない。自称暗殺を成功させて来たのはこの能力に依る。剣で弾き返そうともパワーで押し切られ、机を盾にしても容易く貫かれる。かなり豪快な暗殺を行って来た。
元々は奴隷で、始めは使い捨ての駒として暗殺に使われたが、彼は成功した後に追手を引き連れたまま堂々とアジトに帰還。そのまま彼を送り出した組織の支部が壊滅した。その騒ぎの中で変装能力と演技力を駆使し彼は支部と伝えられていた場所に逃げ、そこで死人に口なし、唯一生き残った凄腕と勘違いされて登用。同様に幾つもの支部を壊滅させ、最終的に本部で凄腕の暗殺者として務める事になる。始めの段階で奴隷契約の主となっていた構成員達が全滅した為に実質奴隷では無くなっている。術式も強引で強力なものであった為に、逆に奴隷化出来ない状態である。
暗殺者を辞めたいと考えており手切れ金を求めている。裏の組織なら金の力で押し切れると安易に考えた為に、そんな決まりなどは存在しない。なので額も漠然と今まで見た中で一番多い額を求めている。因みに彼が所属しているのは構成員の殆どすら伝えられていない大国の工作組織で、実のところ一般的な裏組織では無い。そして彼が支部に追手を引き入れ続けた結果、かの国の悪行は明らかになり、周辺国や属国ほぼ全てから報復を仕掛けられると言うとんでもない事になっている。実のところ、待てば勝手に自由の身になれる。
彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【劇動の暗殺者】である。
・セルガ・アービス
四年五十三組、剣士科。返済部所属。
借金のカタに剣士なのに刀を預けた無刀の剣士。刀無しの剣術もどきで戦っていたら刀が無くても戦えるようになった、武器を必要としない剣士。素手でスパスパと斬れる。
借金理由は生活苦から。彼の家は島国ティアテイルの大領主に代々仕える下級武家で、百年ほど前から島全体が統一された為に戦が無く、仕事が殆ど無い為に貧乏暮らしをしていた。
返済に過激な手段を選ぶのは借金のカタが先祖代々伝わる家宝の刀だったからである。無刀のまま戦い続けるのも家宝の刀しか相棒として認めないから。
因みに家宝の刀は選ばれた者しか抜けない伝説の武器として彼の家には伝わっているが、実際は鞘が豪華なだけで、抜けないのは刀身が錆びているからである。当然彼は一度も抜いたことは無い。しかし預けられたのが幼少期で、今もいつかあの刀の主に成るんだと燃えている。
尚、仮に家宝の刀が聖剣だったとしても必要ない程に彼は強くなっている。寧ろ剣が無い故に剣と言う理に嵌らない無刀術を身に着けているので剣は制限になってしまい邪魔である。
錆びた家宝の剣は折らなければ既に抜けないが、それ故に使うとすれば柄だけになり、剣は刀身こそが武器であるから肉体を剣にまで引き上げた彼がこの剣を使えば肉体の剣に制限を受けてしまう。しかし素手で剣術を扱うまでになった彼ならばその制限をも超えて、更に限界のない剣士になる可能性がある。剣としての限界が根本から家宝に無い分、無刀の剣士としては聖剣よりも強くさせる武器となりうるだろう。
彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【無刀の剣士】である。
・ハービット・ロード・エストロ
三年五十三組、王侯科。返済部所属。
超貧乏貴族。一応セスィトリアヌ世界最大の大陸をかつて統一していたマハアリヌス王家の血が流れるエストロ公爵家の現当主。但しマハアリヌス王家が大陸を治めていたのは五百年以上昔の事で、今は人口千人程しか居ない超小国の公爵(最高権力者)に過ぎない。
借金理由は見栄を張るため。どこの国の公爵でもおかしくない姿を内外に示す為に多額の借金をしている。身ぐるみを全て剥がされているのは、レンタル衣装を着ていたため。借金を続けた末に衣装を借りられる期間が短くなり、持ち服が無いと気が付いた時には後の祭りであった。尚、借金相手は露出教。これが身ぐるみを剥がされた一番の要因である。
尚、ただ見栄っ張りと言う訳ではなく、全ては祖国の為。まだ小国の規模があった頃から今に至るまで、彼と彼の先祖は内外に我らは未だ健在であると示してきた。それによって大物の様に見せつける事で力があると周囲に偽り、国を侵略から守り維持してきた。
露出教に借金していたのも周囲からバレない為。普段はボロが出ない様にアンミール学園に居る事が多い。例え全裸であろうとも誇り高く、人前では堂々とする様に努力している。その為、正式に露出教徒にならないかと日夜勧誘されている。
尚、同国の貴族は皆彼と同じ様な状態で、年齢の近い者は皆アンミール学園に居る。毎週飲み会(水)を開き、号泣し合うと言う。
因みに能力としては借金相手関係やアンミール学園のバイトを幾つも熟している事で、万能な力を身につけている。そしてあるものを極限までやり繰りする事が大の得意。華麗に軽やかに万の技を編み出し繰り出す(ただし素手)。群れや軍にこそ真価を発揮する。多分見栄を張らなくとも国を守れ、逆に大陸統一も夢でない実力を持つが、本人はまだ気が付いていない。
彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【裸の公子様】である。
・ソルセン
四年五十三組、勇者科。返済部所属。
デルア世界の勇者。借金理由は唯一魔王を倒せるとされる伝説の聖剣を治す為。勇者は世界の希望であると考えており、そうであるようにと行動している。その為魔王を倒す希望の力、聖剣を折ってしまったとは言い出せずにおり、知り合いの鍛治師にのみ真実を伝え聖剣を治せそうな伝説級素材を自力のみで集めている。
事が人類の未来を左右する程に深刻なので一刻でも早く聖剣を治すべく、稼ぎの殆どは素材集めに使っている。料理科のクラスメイト達から残り物を貰って食いつないでいるが、勇者と言う立場上、地元に居る事が多く三食水と言う場合も珍しくない。おかげで勇者と言う強大な素質と合わさり仙術に目覚めている。
腰に聖剣が折れたとバレない様に偽の聖剣を差しているが、壊れやすい飾りなので戦闘では素手や周囲に落ちている物を使って戦う。防具すらも最も損傷を受けやすいので金がかかると使わない。服も汚したら金がかかるからと、戦闘時は腰巻きと偽の聖剣と言う装備だけ。
そんな彼の戦闘スタイルは通常の武器と違いキレイに倒せず、腰巻き一つの身に返り血を大量に浴びるため、巷では【惨殺の勇者】と呼ばれている。
因みに、聖剣は魔王の魂の一部を封印し造られたもので、聖剣が魔王の一部であるからこそ不滅の魔王に傷を与える事が出来ると言う代物。その魂の一部はかつて神々が封じた魔王の魂の核であり、完全消滅させる事こそ出来ないが、攻撃し続ける事で再封印する事が出来る。そして、聖剣を折ってしまった際に、封印する事しか叶わなかった魔王の魂の核は砕け散っている。つまり実は魔王を封印するどころか前代未聞の討伐に近い事をしているが、本人は気が付いていない。本体の魔王は核が破壊された事で魔王の肉体はかなり弱体化している為に、おそらく完全に討伐しても気が付かない状態に陥っている。
彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【惨殺勇者は勇者である】である。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
話を投稿する度に追加する予定ですが、不定期更新だと思って頂けると幸いです。