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完全縁結びのモブ

次は200年後、猫の日記念です。

大急ぎで書き上げたので後ほど修正します。


・アルスィフィル

儀式科。フィルスフィア世界の創造から約百年、神秘の残る時代にて繁栄していた古代ヤムー文明、それを支えた真髄である古代魔導工学の粋を集めて造られた肉体に受肉したヤムーの守護神。正真正銘の神。

ヤムー史上の天才にして天災、大神官ウルムシュルペによって肉体が造られた。本来、大神官ウルムシュルペが自らを神とする為に造り出した古代兵器、それに宿る形で受肉する。

本人は忘れているが、ウルムシュルペが神に至ろうと行動を起こした折、それを可能とする肉体に降臨し奪う形で神化を防いだ。そしてウルムシュルペと戦うが、彼は地上への降臨と言う無理をして、ウルムシュルペは莫大なエネルギーに呑み込まれ制御出来ず相討ちとなった。

そしてヤムー文明は滅んでしまったが、幾人かは逃す事に成功した。フィルスフィア世界に生きる現人類はその文明を失ったヤムーの子孫達である。完全に救えなかった訳では無く、人類を繋ぐ程度には救う事に成功している。

しかし本人はその事を覚えて無く、守護神としての自覚は持ち続けているので深い後悔の中にある。


彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【フィルスフィア神話は終わらない】である。




・ケイティ

天候科。未だ神が地上に存在する神代の世界アルカラムの出身。太陽神アルトケタラムの一人娘にして唯一の後継者。母親は人間だが父親は間違いなく太陽神であり、彼女は人と神の間に生まれた半神である。

父親の権能は太陽と光だが、彼女が受け継いだ力は太陽のみであり、炎としての力に偏っている。育む光では無く、暖め時に燃やす偉大なる炎としての太陽、それが彼女の力である。

ある時、父親である太陽神アルトケタラムが夜の神カラルホルムと相討ちとなり倒れ、アルカラム世界からは夜と太陽は失われ薄暗い光と薄明るい闇が雲のように入り混じる世界になってしまう。世界は太陽により実りを授けられず、夜に安息も与えられなくなった。

人々の嘆き、さらには神々の嘆きまでも太陽の半神である彼女の元へは止むことなく祈りとして届いていた。

アルカラムの太陽は太陽神アルトケタラムの翔ける“太陽の龍車”。彼女はそれに乗り込み空を駆けた。その試みには成功した。太陽は空に浮かび、地上を照らした。しかし彼女の太陽は実りを与えなかった。彼女の強大な力は地上を焼き払い、砂漠、果てはガラスの大地へと変えた。

母の献身で太陽は東の果てで止まり、人の住まぬ東の果てを焼くのみで済んだが、彼女の母は人の身に剰る力を強引に使った事で倒れ、唯一太陽を運行できる力を持つ彼女でも太陽を制御する事は出来なかった為に、世界は絶望に包まれてしまった。

幸い、彼女の叔父にあたるアルカラムの双子世界、イルサラムの太陽神イルトケタラムが臨時に太陽を運行してくれたが、世界間の移動にも一日を要し両世界の昼は従来の三分の一になってしまった。

彼女はそのようになってしまった両世界に責任を感じ、太陽を制御する術を探している。アンミール学園にはその術を身に着ける為に来た。


彼女が主人公の物語に題名を付けるのならば、【太陽神の後継者〜少女は世界を照らす〜】である。




・サァフィー・ローグ・バロテンルシエ

聖女科。隠し子かつ姉の立場を奪う系の妹な聖女。

バロテンルシエ公爵とメイドとの間に生まれた庶子。彼女と彼女の母は爵夫人に存在が知られるのを恐れた公爵に捨てられた。まともな援助もされず、母親は幼い彼女を育てる為に無理をし、亡くなった。

ある時、彼女に聖女の素質があると分かると、バロテンルシエ公爵は彼女を呼び戻した。そして自分達を見捨てたくせに役立つと分かると利用しようとする彼らに復讐を誓う。手始めに自分とは違い全てを持っていた姉の立場を奪う事にした。

姉の婚約者である王太子を奪い、有力貴族の嫡男達を侍らし、彼らを利用して姉を冤罪に陥れる計画を立てた。しかしここで誤算が生じる。完璧な冤罪を生み出す為に姉を観察している内に、姉が冤罪を被せるまでもないクズである事が発覚した。そして調査と同時進行で進めていた攻略対象、王太子達の調査の途中で、何もしていないのに彼らに好かれてしまった。手段を選ばず嫡男達の婚約者からも敵意を一身に受ける覚悟の筈が、その彼女達からすらも、好意を受ける。

彼女は行動も正真正銘の聖女であった。自分は外道に落ちたつもりでも、その実誰一人見捨てずに助けていた。

そして難なく姉の婚約破棄と断罪に成功する。その後、彼女は王太子達からプロボーズされるも、真実を、復讐の為にこうしたと語り、プロボーズを断った。断罪も受け入れると宣言した。

だが、断罪された者を除き、誰一人彼女を責めなかった。それどころか皆、この手を取ってくれと差し出した。令嬢達も含めて……。

しかし彼女は自主的に国を出て、なんだかんだでアンミール学園に通う事になる。


彼女が主人公の物語に題名を付けるのならば、【隠し子である私は復讐のため姉に冤罪を被せ婚約者を奪う〜姉が冤罪を被せるまでもなく悪人だったので計画を変更します。えっ、真実の愛に目覚めた? もう婚約者を奪う必要はないのですが?〜】である。




・エレメルナ・ド・オルメト・ヴォン・ストロレチア

王侯科。悪役令嬢。悪役と言うよりも自国すら滅ぼしたラスボス令嬢。エレウリス帝国ストロレチア公爵家の長女。

無実の罪を擦り付けられ婚約者から婚約破棄、そのまま処刑されそうになるが、第七の魔法、金属性魔法を用いて反撃、王太子どころか国王や王侯貴族、そして愚かな民衆をまとめて皆殺しにした。

元々将来の王妃にと努力を欠かせず、才能も有していた才女。文武両道で礼儀作法は勿論、政治司法に精通、商才もあり更には魔術や魔法道具の開発まで出来る。これだけでも完璧超人に近いが、剣の腕前も近衛騎士並で、素手でもC級冒険者くらいなら制圧出来る。そして魔術の腕前は既に帝国一とされていた。ストロレチア帝国自体が肥大化し過ぎ腐敗した帝国であり、騎士や魔術師の練度が低かったと言う事情もあるが、間違いなく帝国一の才女である。

そんな彼女を各所が妬み恐れて事件は起きた。彼女自身の力を警戒して魔力封じの枷まで嵌め、念入りに彼女を殺そうとした。しかしだからこそ事件は大きくなる。

魔力封じをされても第七の魔法だけは使えると彼女は知っていた。そしてピンチの彼女は出し惜しみ無しで莫大な財を捧げて金属性魔法を発動する。毒を盛られ、気が付けば処刑台にいた彼女の周りには敵が勢揃いしていた。全員倒さなければ逃げる事も叶わない。怒りも合わせてその場に居た者達を残らず串刺しにした。

そして国の中枢を完全崩壊させ、国を滅ぼした。そんなラスボス令嬢。

それからは既に血塗られた自分にしか出来ない事をしようと、どんな権力を持つ相手でも断罪する断罪者として活動している。


彼女が主人公の物語に題名を付けるのならば、【婚約破棄され冤罪を被せられた私は抵抗する……全力の魔法がこんなにも高威力だとは知りませんでした……】である。




・ガルフ

勇者科。聖剣クルセイユに選ばれし勇者。クルセイユが適性者のガルフの素質に従い無骨な大剣の形に変化した為、勇者だとは認識されていない。

外見は百八十センチを越えるガタイのいい強面の少年。年齢的には少年だが、実年齢よりも高く見られる。ファッションセンスもそれに準じサングラスや黒服と言った裏世界ファッションを好み、総じて裏社会のエリートと言った外見をしている。冒険者ギルドカードを持っていれば素通り出来るような検問も、素通り出来たためしが無い。相手が勝手にビビり詳しく調べられない事も多いが、本来無言の門兵にもさり気なく職質される。

が、裏社会関係者でも無ければスラム育ちですら無く、ごく普通の農家の次男な普通の少年。田舎から街に出るにあたり、都会でも恥ずかしくない格好をしようと試みた結果、現在のファッションスタイルに辿り着く。

地元の森で狩りを行っていた際、剣の刺さった巨木の前まで迷い込み、まだ使えそうな剣だからと薬草を摘む感覚で聖剣を引き抜く。剣が大剣の形に変化した事には驚いたが、特に自覚の無いまま聖剣の使い手となる。聖剣に選ばれたから強くなった者では無く、聖剣に相応しい勇者の素質を有する元々強い者なので、聖剣を使う前までは何本もの武器を壊しており、壊れない聖剣を以後愛用するようになった。

聖剣が喋るなどシステム付きのタイプでは無く、神の啓示も無かったので勇者であると言う事にはまるで無自覚。外見的に明らかに勇者では無いので、勇者捜索や聖剣捜索も掠る事もなくすり抜けている。腕に聖印も発現したのだが、ドラゴンのおしゃれシール(どう見ても龍の入れ墨、ずっと付けたままで居られる防水仕様)をしていた為にこれも気付かず、聖印が光っても奇跡的にドラゴンシールがその波長で蛍光色を示した為に、ただの稀に光るドラゴンシールと化している。

しかしその行動自体は勇者そのもので、誰に定められた訳でも無く、困っている者には手を差し伸べる。ただし裏社会が関わると外見的にただの邪魔者では無く縄張りを荒らす同業者に見えるので、すぐに全面抗争に発展し易く、潰した裏組織が異常に多い。

アンミール学園に勧誘され、初めて自分が勇者だと気が付いた。


彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【強面勇者(ブラックブレイバー)〜魔王が現れたのに選ばれし勇者が現れないそうです〜】である。




・アルス

騎士科。【守聖勇者の代理】。固有スキル〈初不飛鳥〉を持つ少年。誰よりも早く危険に飛び込む事の出来るスキルの持ち主で、限定転移を危険を触媒に可能とする。

元々代々下級騎士の家系の生まれだったが、選ばれし者にしか持ち上げる事の出来ない伝説の盾“守聖の盾”を、持ち上げる事は出来ないが持ちながらスキルを発動する事で伝説の盾を適切に使用出来る環境、危険な瞬間まで移動させ、限定的に使用者となる事が可能であった彼は伝説の盾の勇者、守聖勇者の代理となった。

“守聖の盾”はあくまでも借り物であり彼の仕える国の国宝。しかし一度移動させてしまえば、スキルを使わない限り移動させる事は不可能なので、助けを求める危険な現場に何度も転移する事で盾を比較的まともな場所まで移動させ、その過程で多くを救ってきた。

この経緯により屋根のある場所で過ごす事は少ない。巷ではその姿から【休まずの騎士】【不動の騎士】等と呼ばれ慕われている。

最も危険な場所に転移する事も可能なので、強敵に遭遇しても連続で発動する事で最も的確な位置に盾を向ける事が可能で、移動する動かせない盾により絶対防御と絶対守護を誇る。

反面、通常の技量は年相応。同じく騎士の家系に生まれ幼少期より訓練して来た者達と大きく変わらない。スキルの都合上、多くの経験を積んでいるが、それで鍛えられているのも伝説の盾と固有スキルの運用術なので、通常の盾術や剣術は平凡の範囲。但し固有スキルの連発等により、魔力量生命力量は多く、持久力には秀でている。

現在は対の転移アーティファクトのアンカーを盾に貼り付け、アンカーに転移する能力を備えた指輪を所持する事で盾に張り付く事は無くなっている。尚、国宝である事は変わらないが、誰も運ぶ事すらも出来ないので盾の守護任務は破棄されている。


彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【代理勇者の絶対防御〜伝説の盾は持ち上げられませんが防御は完璧です〜】である。




・ヒルダ

従魔科。ドラゴン使いの少女。実は純粋なテイマーでは無く、ドラゴン型の使い魔を生み出す特殊な魔法使い。

龍の領域にある農村出身で先祖代々そこに住む内に龍の因子が次世代へと濃縮し、ヒルダの代で形となった。自然にドラゴンと言う形を与える力を持っている。100%完全に生み出しているわけでも無いので、生み出されたドラゴンの自然成分が多い程、それを従わせるテイマーとしての力が必要となる。火の魔術にドラゴンの形を与える場合などは、通常の魔術と同じように自在に扱える。

ただドラゴンの形を与えるだけでは無く、ドラゴンの因子も与えており、ワイバーンが暴れる程度の威力は簡単に生み出せる。が、基本的には無自覚。本人は動いてかわいい魔法程度に思っており、戦闘力自体持っているとは自覚していない。

しかし龍の因子が外に形として出る程強力な為に、そもそも肉体的にも強靭。見かけは普通の少女だが、家ほどもある岩を片手で持ち上げ、灼熱の火山帯も涼し気に通り、マグマに足を突っ込んでも水溜りと変わりなく行動出来る。刃も通る通らない以前に折れる程に強靭。

色々と規格外で現実味が無いので、各勢力のスカウトも来ない程。彼女の農村自体も危険な辺境に有る為に、そもそもあまり外界の人々と接触していない。遠目から見た村人以外からは未確認生物扱いされている。


彼女が主人公の物語に題名を付けるのならば、【ドラゴンテイマーも異常です〜何故か魔法がドラゴンになってしまうので、世間体を重視してテイマーを名乗ります〜】である。




・エリュン

娼業科。生命神エリュクシオンの巫女にして神聖娼婦。

エリュクシオンの加護を受けて生まれた少女で、神をも降ろせる器を持つ子の母となる事を使命としている。彼女も同じ使命を持った母から生まれ、何代もそれを続けている。未だ目標は叶っていないが、年々神殿の周囲から豊かな実りが拡がり、病を患う人々も減っているので、着実に目標に近付いていると言われ、その期待を一身に背負っている。

実は生命神エリュクシオンは実在の人物、人間であり彼女達の先祖に当たる。そしてエリュクシオンの加護と言われている固有スキル〈聖域〉こそがエリュクシオンの力そのものであり、かの神に注がれる信仰もそこに集中している。つまりエリュクシオンとは今代において彼女自身の事である。

しかしそうとは知らず、次代を産む為に強い男を探している。が、彼女自身が研鑽を怠らず屈指の強者となっている為に、まるで見つけられていない。

生命力の運用や身体強化に非常に優れており、強者っぽい男に闘いを挑んでは全戦全勝している。


彼女が主人公の物語に題名を付けるのならば、【聖域の乙女の婚活〜やがて神へと至るために〜】である。




・ディラオン・フォン・ロード・アグニアス

革命科。陰気吸血鬼。民を守る為に人の道を外れた若き王。

元アグニアス王国の国王で、王国最大、世界最大の大森林バルズレン大森林の魔獣が活発化し、森林から漏れ出る魔獣を止める役割を持っていたアグニアス王国の精鋭中の精鋭、バルズレン警備隊も全滅。そこで彼は決断した。アグニアス王家に執着している闇の神オルトラと契約を結んだ。全ての血を、オルトラが愛し執着していた王祖アグニアスの血を捧げる代りに神たるオルトラの血を得ると言う契約を。

そして彼は吸血鬼の真祖となり、力を得た。人間を捨てでも人を守りたいと志を同じくする臣下達に力を与え、吸血鬼とした。

その結果、バルズレン大森林の魔獣侵攻を食い止める事に成功する。

しかし国を救った彼らを民衆は受け入れなかった。元々光の神を信仰していたアグニアスの人々は魔獣侵攻自体を王国政府の仕業と捉えてクーデターを起こす。そして守る対象であった彼らに大した抵抗もせず、多くの臣下が倒れ、妹までも倒れる。

が、彼女達は民衆を恨まなかった。初めから覚悟の上だと。だからこそ、彼は後悔した。自分が人の道を外させたせいだと。そして決意した。心までは人の道を人以上に外れはしないと。どんなに悪意を向けられても、彼は民衆を守り続けた。

しかし活動して行く内に気が付く、人外と言われていても、人の心を持つ存在を。ただ種族が違うと言うだけで苦しめられている存在を。恨み合っていても、皆等しく人なのだと。

そこで彼は全ての種族の共生を目指し活動している。


彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【英雄真祖(ディラオン)〜アグニアス再興紀〜】である。




・ユージン・ヴォン・ロード・ノーザンゲート

盗賊科。境界の守護者。境界の大山賊。大義賊。

カリバー大山脈の要衝【カリバーの眼】を占拠する大山賊。元ノーザンゲート公国大公家嫡男。新世代を率いる器だと評判であったが、その才を恐れた者達の外遊中のクーデターにより知らぬ間に濡れ衣を着せられ失脚。討伐軍まで出されたが、ちょうどその時居た要衝を占領し撃退する。それ以来、要衝を塞ぐ山賊となった。

しかし山賊となっても彼の本質は変わらなかった。大山脈を抜けて来た魔獣も通行料を払わないからと撃退し、魔王軍までも撃退し続けた。そうして人々を守り続ける。

そして人に関しても軍勢に対して莫大な通行料を請求し、通さない事で戦争を防ぐ。また通常の通行人からは通行料を徴収する代わりに出口まで護衛までする門番となっている。

そんな彼を慕い各地から強者が合流し、国家に並ぶ、戦力だけでは国家をも凌ぐ一大勢力となっている。彼らと国家の衝突は有るが、近年国家間の衝突は物理的に彼らが塞いでいる事で深刻なものは起きていない。

各国もその力を認めざるを得ず、万が一砦を動き侵攻された場合壊滅的な被害が予想される為、梁山伯と言う彼の為の地位を与えカリバー大山脈を領地として認めている。


彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【梁山伯〜境界の守護者〜】である。




・タリシャ

芸能科。宣伝の為の偽りの英雄。

戦禍により困窮した軍事国家ラファールが、徴兵した民と民衆の士気を上げ国家への不満を忘れさせる為に、自国に伝わる聖女神話を元に考案され担ぎ上げられた少女。戦災孤児で、見た目が良く希少な光属性魔法が使えると言うだけで担ぎ上げられた。

元々光属性魔法の適性があると言うだけで、使いこなせる訳では無かった。そして武器などは持った事も無かった。しかしそれでも前線に立つ事になった。

初戦は悲惨なものだった。初めは大幅な優勢であったがそれは罠で、相手国に入った所で包囲された。正規の騎士団も早々に討ち取られ、残るのは散り散りに逃げていた為に生き残っている徴兵兵。

あくまでお飾りの為、徴兵兵に護られていた彼女も彼らに連れられ一緒に逃げた。しかし逃げ場のない大河の縁まで追いやられ、彼女の事を実の娘のように可愛がってくれた彼らに言った。自分を差し出せと。お飾りだが、自分を差し出せば元々農民の彼らは助かるかも知れないと。

それで彼らに火がついた。娘のような子供にこんな事を言わせるのかと。例え命が尽きたとしても、彼女だけは守り通すと。

そして結果的に勝った。追っ手も農民相手なら農民で十分と、数はいたが士気の上がっていた彼らの敵では無かった。

そんな彼らの姿を見て彼女は決意した。いつか彼らを守れる力が欲しいと。負けて欲しくないと。負った傷を治してあげたいと。

生き残った彼女達を国は英雄と讃えた。惨敗した正規兵が弱くて負けたのでは無く、強敵に殺られたと偽る為に。彼女に対しては予定通りに。

以後、共に行動するようになった恩人達の為に、偽りでも聖女であろうと努力した。そして真に英雄と讃えられるに相応しい人物になっている。が、本人は何時までも自分を偽りの英雄だと思ったままで、他人から讃えられても笑って流す。


彼女が主人公の物語に題名を付けるのならば、【偽りの英雄は英雄に成り切る〜そして英雄は偽りの英雄に成り切る〜】である。




・カオン

薬学科。精霊に愛されし花屋。

元々街のお花屋さんの一人娘。幼少期、一人でお手伝いしようと森に迷い込み精霊達と出逢う。精霊と友達になった彼女は毎回こっそり精霊の元へと遊びに行き、現在もお菓子を持って遊びに行く仲。

何時しか精霊達の寵愛を受けるようになった。元々高い精霊への親和性を有していた事により精霊と出逢えた事もあり、知らずの内に強大な精霊魔法の力まで持つようになる。

平気で魔獣が闊歩する魔境の奥へ、精霊とお花摘みに行く内に、その力を完全なものとする。

そしてそのついでに珍しい薬草を採取し、困っているご近所さんに配る為、街でも愛されている。地方の小さな街の為、彼女も含めその規格外さには気が付いていない。

しかしその実、高い精霊への親和性は精霊の活性化まで成し、その地域一帯に強い精霊の護りを与える、人でありながら精霊王とでも言える強い力を有している千年に一度現れるか現れないかの天才。

だが、彼女を寵愛している精霊達も元々は特段高位の精霊では無く、彼女の力により力を伸ばしただけである為、彼女の力が規格外である事は知らない。

また、伝説に語られる力を持つのでも無く、彼女が初代精霊王とでも呼べる存在である為、彼女の周囲以外も彼女の規格外さを把握出来ていない。


彼女が主人公の物語に題名を付けるのならば、【精霊王はお花屋さん】である。




・メルト

錬金科。叡智の魔眼を持つ錬金術師。

生まれ持った魔眼により、偶然近所の遺跡に取り憑いていた伝説の錬金術師アルケミスの霊を見聞き出来た事から、彼女の弟子となり、彼女の復活を目指して錬金術師となった少年。

魔眼以外は特に際立った才能がある訳でも無い街の商店の次男。しかし錬金術への興味関心は元々強く、アルケミスの教えを貪欲に吸い取り一人前以上の錬金術師になる。

そして他人には見る事が出来ない存在を感知し取り入れることで、天才錬金術師を、師であるアルケミスをも超える新たな錬金術すらも手に入れた。 

本人は錬金術師としては平凡だと思っているが、秀才では無くても天才ではある錬金術師の域に至った。自己評価が低い事に加えて理想や基準が高い。

実はアルケミスの復活すら為せるが、まだ足りないと日々努力を続けている天才錬金術師。


彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【魔眼の錬金術師〜偉人の魂が見えたので弟子入りしました〜】である。




・リゼル

魔法科。インテリ眼鏡。

幼少期より魔術を開発して来た天才。魔術で家を改築したりと目立っていた。その力を地元の有力者に目を付けられ、魔獣討伐用にと彼は魔導兵器を開発する。魔獣の素材を使った人造魔獣、機獣と呼ばれたそれを用いてその有力者は周辺に全面戦争を仕掛け、幾つもの街が燃えた。

そこで彼は有力者の元から逃げ出す。何とか逃げ切る事には成功したが、機獣は街を焼き続けた。恐るべき脅威であった。

彼は決意する。自分の手で生み出した機獣全てを自分の手で止めると、機獣が生み出した全ての悲劇を止めると。

しかし機獣に加えて、各地の有力者達も彼の力を手に入れようと敵に回った。そして世界屈指の指名手配犯となってしまう。

アンミール学園へは身を隠し力を付けるために来た。


彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【国等のリゼル】である。




・メイア・ディア・オルトセイン

隠者科。周りの命を奪う事で不死身な少女。

ギフト〈死神の貢物(オール・フォー・ワン)〉を持って生まれた。このギフトにより彼女が傷付く、もしくは消耗すると周りから強制的に生命力を徴収し強制回復する。例え首を斬ろうと心臓を貫こうと完全回復する実質的な不死身な力を持つ。

オルトセイン皇国の第一皇女で、母親の身分が低いにも関わらず皇位継承権第一位である為、幼少期から命を狙われて来た。そして暗殺されかけた、いやこの力が無ければ殺されていたであろう危機の数は両手でも数え切れない。

そして彼女が助かる傍ら、多くの者達が命を吸われて倒れて来た。暗殺者達は勿論の事、それを命令した貴族にその貴族に命令した王妃、更には近くに居た侍女、そして自身の母親からも命を奪った。彼女にこの力は制御出来なかった。死にかければそれを行った者達の命を、それで回復が足りなければ周囲の者達の命を無差別に奪った。

危険だと彼女を幽閉しても、命までは奪われなくとも、命令した者と賛同した者達の生命力は徐々に奪われ、誰も止められない。彼女の周りからは誰もが逃げ、話題に出す事すらも忌避された。誰もが彼女に恐怖の目を向けた。

そこで彼女は自主的に一人森に去った。誰も居ない場合を探し、秘境へとひたすら旅をした。その過程で何度も死にかけ、その原因となった高位の魔獣達の命を奪い、莫大な経験値を手に入れる。そして不死身の能力以外にも強者となり、秘境で暮らすようになる。

そしてそんな彼女に目をつけた彼女力が通用しない超越者に連れられアンミール学園へ。そこで初めて力が使われてもピンピンしている生徒達と親交を深め心を開く。今ではどうせ倒れないからと自分の傷も気にしない。対象が変態ならなおさらでちょうど良いくらいに思っている。アンミール学園で絆され染まっている。


彼女が主人公の物語に題名を付けるのならば、【不死身の隠者は自重をやめる】である。




・アイル

芸術科。作品を描く為ならどこへでも向かう画家。精密な模写は複雑な魔法陣をあっと言う間に画き、その画力は見破れない幻術を生み出す。

宿屋の息子で、幼い頃に泊まった旅人が、宿代の代わりに一枚の絵を描いた。その絵が画家を目指すようになった始まり。曼荼羅のような魔法陣のような、それでいて神話の描かれた一枚の絵。その絵に惹かれ自分も描きたいと思った。

そして自分で画材を集めに冒険者を雇い、今度はその未知だった大自然を知り惹かれた。それ以降、冒険者にもなり、画材集めと共に秘境に赴くようになった。

次第に冒険者としての実力も、画力も上がりそれによって魔法陣も使いこなし相乗効果で力をつけた。理を画く芸術家。強くなる気は無いが、芸術に染まるほど力をつけ続けている。


彼が主人公の物語に題名を付けるのならば、【魔法陣? いえ芸術です】である。


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設定集
〈モブ達の物語〉あるいは〈真性の英雄譚〉もしくは〈世界解説〉
これです。

本編
〈田舎者の嫁探し〉あるいは〈超越者の創世〉~種族的に嫁が見つからなかったので産んでもらいます~
【ユートピアの記憶】シリーズ全作における本編です。他世界の物語を観測し、その舞台は全世界に及びます。基本的に本編以外の物語の主人公は本編におけるモブです。

モブ達の物語
クリスマス転生~俺のチートは〈リア充爆発〉でした~
裸体美術部部長イタルが主人公です。

モブ達の物語
孤高の世界最強~ボッチすぎて【世界最強】(称号だけ)を手に入れた俺は余計ボッチを極める~
裸体美術部のボッチが主人公です。

モブ達の物語
不屈の勇者の奴隷帝国〜知らずの内に呪い返しで召喚国全体を奴隷化していた勇者は、自在に人を動かすカリスマであると自称する〜
新しき不屈の勇者が主人公です。

モブ達の物語(短編)
魔女の魔女狩り〜異端者による異端審問は大虐殺〜
風紀委員のメービスが主人公です。

英雄譚(短編)
怠惰な召喚士〜従魔がテイムできないからと冤罪を着せられ婚約破棄された私は騎士と追放先で無双する。恋愛? ざまぁ? いえ、英雄譚です〜
シリーズにおける史実、英雄になった人物が主人公の英雄譚《ライトサーガ》です。

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