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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

恋忘れ

作者: どんC
掲載日:2018/02/23

 

 ちりりん♪


 メメリー国の王都の端にある薬屋『ダリア』のドアベルが、鳴った。


「あの……」

 若い女が、老婆に声をかけた。

「ここに恋忘れのくすりが、あると聞いたのですが……」

「ああ。あるよ」

「記憶を消さず恋心だけを消すそうですね」

「そうだよ。取り敢えずそこにお座り」

 老婆は、店の隅にある小さな椅子に少女を座らせるとテーブルに温かいお茶を出した。

「まず。症状に合わせて薬の量を決めようかい」

 少女は、悲しげに微笑むとポツリポツリと老婆に話し始めた。



 私と婚約者のフィネス様が、お会いしたのは、私が、十歳。フィネス様が、十三歳の時でした。

 彼は、王族の血を引く方で、本当は、ちゃんとした婚約者が、いたんだけれど和平の為にその方は、異国の王子に嫁ぐ事に決まりました。

 彼と第五王女の婚約は、取り消され。取り敢えず私が、彼の婚約者に決まりました。彼に相応しい婚約者が、現れたり和平で異国の姫を迎える事に成れば、彼との婚約は、取り消されます。


 それでも私は、彼に恋をしてしまったんです。

 彼は、優しい方でした。

 彼の相応しい婚約者に成るために必死で勉強しました。

 ダンスやマナーや地理や政治や語学まで……

 頑張って周りの人達もやっと認めてくれるようになりました。

 でも……

 異国の王子が、結婚前に亡くなり第五王女が、帰って来ました。

 そして私達が、通う学園に編入学してきました。


 第五王女のビッチリーナ様は、それは美しく成長され。学園でも女神だとか妖精だとかと褒め称えられました。

 彼とビッチリーナ様は、幼馴染みで元婚約者で……ビッチリーナ様が、向こうの国に行ってからも度々手紙のやり取りをしていたそうです。


 ビッチリーナ様と彼が、学園の廊下で再び出会った時……私も側におりました。そして二人が、恋に落ちるのを後ろで見つめていました。

 昨日、正式に婚約破棄の手紙が、父の元に届きました。

 それと同時に私の婚約者も決まりました。

 侯爵である彼とは、爵位は、落ちますが、私に釣り合った爵位の方です。マリブ伯爵は、元婚約者の友人で、私もお人柄を知っております。

 悪い方では、ありませんが……

 でも…でも…私は、婚約者のフイネス様が、好きで好きで好きで好きで好きで好きで……どうしょうもないくらい好きなんです。

 胸が、苦しくて涙が、止まらない。

 マリブ様もビッチリーナ様もフイネス様も神様も怨んでしまう。

 彼女は、泣きながら老婆に訴えた。


「だから恋忘れの薬が、欲しいのかい?」

「はい」

「かなりの重症だね。分かった薬を調合しょう一週間後取りにおい

 で」


「宜しくお願いします」


 一週間後少女は、薬を受け取ると金貨三十枚を老婆に支払った。




 暫くして若い貴族の娘が、王女に毒を盛ろうとした悪事が、発覚しその毒を煽って自殺したという噂が、流れた。

 だが、その噂も第五王女のビッチリーナが、元婚約者のフィネス侯爵とよりを戻したい為に異国のカスダス王子を毒殺した事が、発覚しリアルド国にメメリー国は、滅ぼされた。


 メメリー国の王族も貴族も処刑され代官が、納める事になった。


 ちりりん♪


 夜中に代官が、薬屋『ダリア』の扉を開ける。

「待っていたよ」

「すまない。ずいぶん待たせたな」

「気は、長い方だから気にしなさんな」


 老婆は、代官を地下に案内した。

 地下は、神殿の様で、大きな魔方陣が、あった。その魔方陣の中心にガラスの棺が、あり白い花に包まれて一人の少女が、眠っていた。


「ふふふ……眠り姫を起こすのは、何時だって王子様のキスさね」


 代官は、少し赤くなって少女にキスをした。

 少女の長い睫毛が、動きゆっくりとその緑の瞳を開けた。


「フィネス様?」

「やあシェリーお寝坊さん。迎えにきたよ」



 フィネスは、少しずつでは、あったが婚約者の事を好きになっていた。頑張る彼女は、可愛かった。

 だが、王女が、国に帰って来てシェリーとの婚約は、勝手に破棄された。俺は、昔からビッチリーナが、嫌いだった。我儘で残虐。俺が、可愛がっていたぺット を次々と殺してくれた。構わなかったと毒を盛られた事もあった。子供の時婚約が、破棄された時は、正直嬉しくて泣いた。異国にビッチリーナが、行ってもうざいくらい手紙が、きた。めんどくさいから返事は、侍従のハンスに丸投げした。ビッチリーナは、なんか数倍やばくなって帰ってきた。このままでは、シェリーに害をなすかも知れない。何か良い案は、無いかと婆やを訪ねた。奥の部屋で相談していたらシェリーが、やってきたのだ。

 ダリア婆やは、俺と策を練りシェリーの薬を『恋忘れ』から『眠り薬』に変えたのだ。

 シェリーは、何も知らずその薬を飲み干し眠りについた。

 ダリア婆やは、使い魔を使いシェリーとシェリーに似せた土人形をすり替えた。

 そして薬屋の地下にシェリーを隠した。

 ビッチリーナが、なんか変な噂を流し俺に同情させようとしていたが、知るか!!

 俺は、ビッチリーナが、王子を殺した証拠を掴みリアルド国と共謀しメメリー国を滅ぼした。

 馬鹿王共々縛り首にしてやったぜ‼


「シェリーの緑の瞳に写るのは、何時だって俺だ。その為に俺は、国を裏切り滅ぼした」

「姫とこの子。傾国は、どっちだろうね~」


 婆やは、くすくす笑う。

 老婆は、二人が、馬車に乗り込み城に向かうのを手を振って見送った。



 これは、恋を忘れようとした少女と恋を貫いて国を滅ぼした青年のお話。



                    ~Fin~




『ダリア』の花言葉は、『移り気』『不安定』『栄華』『気まぐれ』『裏切り』薬屋のばーちゃんは、昔悪役令嬢(濡れ衣)でダリアの花言葉のような人生を歩んできました。フィネスと知り合ったのは、ビッチリーナに毒薬(死には、しないがかなり苦しい)を盛られた時に助けてもらった。婆やとして暫くつとめていたが、ビッチリーが、外国に行ったので都で薬屋をやっている。

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