表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

2014年/短編まとめ

殺したい彼

作者: オミ

愛する者の死に立ち会いたいのは普通のこと。


なら、愛する人をこの手で終わらせたいと思うのは?


異常なことだろうか。


俺にとっては当たり前の感情だとしか思えない。


誰か知らない第三者の手で愛する人の生が終わらせられたら?


そんなのは嫌だ。


だから殺す。


愛しているからこそ、殺すのだ。


そして彼女は愛しているなら殺して欲しいと言う。


利害の一致、愛の一致。


すれ違うことのない、完全にパズルのピースが揃ったような存在。


どうぞ?なんて両手を広げる彼女が愛おしい。


真新しいナイフをしっかりと握って彼女を見た。


愛してる、だから殺したい。


この思いを間違いだと思ったことは一度もない。


彼女の爛々と輝く瞳はこの愛を受け入れることを喜んでいた。


歪な笑みを浮かべる彼女と同じ笑みを俺は浮かべているのだろう。


引っかかることなく、彼女の肌の上を滑ったナイフ。


柔らかい柔らかい肉の感触。


溢れた言葉は愛している、でそれを何度も繰り返す。


俺の愛を受け入れて彼女は笑う。


俺と彼女の歪んだ笑顔が交差して、彼女は小さく愛を囁く。


真っ赤な血に塗れた体が、糸の切れた人形のように崩れ落ちる。


俺はこれから体温を失う彼女の体を抱いて満足感を得た。


愛の先には殺すことを望んだ俺がいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ