魔王の名前は・・・
最後は微妙ですが、それでいいのなら。
王に呼ばれるのももう何回目だろうか。
そもそも私はOKしたつもりもないのだけれど。
一人王座に座る老人は、毎回同じことを繰り返す。
それはもう、NPCみたいにしつこく何度も。
苛立つ気持ちを表に出すことなく、彼の話を聞いていられるのは、もう特技だと言ってもいいと思うの。
「勇者ルイス。魔王討伐にはいつ旅立ってくれるのか?」
「・・・・・・私の留守中に家を守ってくれる友達が帰って来たらすぐに行きますわ」
行く気もないし、友達連中の誰にも頼んでませんけどねー。そもそも、何で私が魔王討伐しなくちゃならないのよ。
私が魔王なのに。
ーーーーーー
事の発端は、私がこの国・・・イスパルデ国に住み始めて2年ほど経った頃に自宅に届いた招待状である。
当時、何の後ろ盾もないただの15歳の村娘に扮していた私は、それを見て驚くよりも先に身構えてしまった。
そもそも魔王というのは、代々指名制である。
指名制って何だって思うけれど、指名制である。
しかも、血族でなくても指名できるというのだから、結構自由である。
在任期間は最低でも50年。
50年というのはかなり長いが、前任から言わせると、あっさり終わるという。
いや、だって普通そうでしょう。
やっている時は長く感じるけど、終わったらあっさり感じるっていうやつでしょう?
小学校の時に散々感じたんだから知っているわよ。
・・・・・・失礼、取り乱した。
15歳だと、魔法もあまり使えないから、魔王だとばれては殺される運命にしかない。
だから、その招待状を見た瞬間に、国にばれてしまったのかと思った。
心当たりは特に無かったのだけれど。
警戒しながら中身を読んでみると、どうやら王子の婚約者選びのパーティの招待状らしい。まあ、ここまで露骨には書いていない。
庶民にもこんなの出すなんて、何を考えているのやら。
まあ、参加しませんけどね。
と思って返事を出さずに、机の奥深くに危険物の様にしまっておいたら、前日に使者が来ましたとも。
あれ、何でこんな大袈裟な事になってるの。
私は、一端の庶民ですよ。魔王じゃありませんよー。
何やかんやで色々支度させられて、連れて来られたのは大きなホールだった。
私をわざわざここまで連れてきたのは、私が働いている家の主人だった。
確かに彼は貴族だけどね。私にも招待状を届くようにできるのだけどね。でも私ただの使用人だよ。
彼に理由を聞くと、君の美貌を他人にも見せたかったからと言われた。
少々身震いしてしまったのは仕方ないと思う。40代のおっさんにそんなこと言われたくない。
あと、ありがた迷惑だよコノヤロー。
つーか、あんた嫁さんどうしたよ。
ダンスも食事のマナーも学ばない一般的な階級の学校で義務教育を受けてきた私は、こんな場所に来たって何もすることがない。
ただ突っ立って、ドリンクをちびちび飲んでいただけだ。
たまーにダンスに誘われることもあったにはあったけど、私の冷ややかな視線に怯えてあっさりいなくなってしまった。
睨みつけるよりただ無表情で見ている方が怖いからね。
一人だけ、私を負けじと何度も誘って来た人が居たけど、誰だったんだろう。
まあいいか。
もう帰ろう。前任への報告をしないと・・・・。
とまあ、ほろ酔い(原因:人酔い)で帰ったのはいいが、次の日呼び出されたのが国王の城で、王が直々にいきなり魔王討伐に行ってくれだなんて。寝耳に水なんですけど。
というか、どう反応しろと。
困った私は、こう答えた。
「遠出しろというお達しですわね。でしたら、支度等せねばならないことが山程ありますので、暫しお待ちいただけませんか?」
上流階級の方々ってこんな喋り方だった気が。
何か違う気がする。
ーーーーーー
そんな訳で、何度も王からお呼出がかかる今に至るという。
回想だけで何行書いているんだろうか。
正直気にしなきゃいい話なのにここまで書いちゃうと
「なーんか、気にしているみたいじゃないの」
これからのことについても考えなくちゃいけない大事な時だってのに、あのクソジジイは。
魔王が行う実務は、未成年である私にはまだ引き継がれていない。
それは前任が全てこなしている。
「分かってたことだから気にしなくていいよーう」
と言っていたが、その発言をどこまで信用していいものか。
つまり、今私が持つのは、ほんの少しの魔法と魔王という役職のみだ。
そもそも、魔王というものは、人間たちに伝わっているほど悪いものじゃない。
過去にはそういう人もいたらしいけど、かなり前から彼らの考えは否定されていたようである。
彼らは自然を操る力を神より授けられた。
魔法という形で捉えられてきたその力は、後に後継者選びを楽にさせることとなっていったが・・・まあこの話は今関係ないからいっか。
結局のところ、魔王も人間だから、差別することはしない。
ただ、魔力持ちとだけでいじめられることもあるから、魔法に寛容な人々で構成された代々魔王が君主のリリシア国にやって来るわけだ。
将来、王様だとかガラでもないんだけどね。
だから、何で魔王討伐だとかしきりにいっているのかわからない。
いい加減堪忍袋の尾が切れそうなのだけれど。
「お、ルイス!今日も城か?」
行く当てもなくぶらぶら歩いていると、移動販売をしているいつものおじさんがいた。
初めに自己紹介されたが、名前とか諸々忘れた。
「そうなのよもー。何とかしてよおじさーん」
「王に逆らうと移動販売出来ないんでな。まあ、頑張ってくれ」
薄情者ー!
家庭の事情とかあったなら何も言えないけどさ、いいよいいよ、今日も魔王城でお泊まりしてるよ。リラさんに慰めてもらうよ。
でも、店の焼きたてパンをくれるところはやっぱり優しいなって思う。
「ところで城といえば、王子が魔王にさらわれたって話は本当かい?」
「へっ?」
すみません、その話初耳なんですけど。
ーーーーーー
その話が気になった私は、前任に連絡することなく特攻してみることにした。
両開きのドアを両手で一気に押し、そして大声を上げた。
「悪い子はいねーかー‼︎‼︎」
「あははッ懐かしいー。何処で覚えてきたのよルイスちゃん」
「・・・・・何で誰も驚かないんですか」
反応がつまらないと萎えちゃうじゃない。
ここは、魔王城の執務室。
いつもは、前任一人しかいないのだけど、他に野郎が2人いるのはどうしてかな。
「ああ、この二人はね、ルイスちゃんに会いに来たって方々よ」
先ほどまで大爆笑していた前魔王であるリエは、ソファに座っていた2人を紹介した。
私に?
ギョッとして目を向けると、手前側の金髪さんはにっこり笑って、奥の茶髪さんは立ち上がって何度もお辞儀をしていた。
そこまでかしこまらなくてもいいって。
私は庶民だから。
「やっぱり噂は本当だったのね」
あーもう、何で私に会いに王子がわざわざこの国に来ているのよ。
しかも、本人(私)は相手の国にいるし。
何だこのすれ違い。
「で、一体何の用ですか」
用が済んだらさっさと帰れという意味合いも込めて言ったが、全く気付いていないようであった。
もしくは、気付いているけど気付いていない振りをしているか。
でも、王子である金髪の彼は、爆弾を落とした。
特に私にとってはとっても重要なことを。
「貴女に結婚を申し込む為にこちらに参りました」
紅茶を飲んでいる最中じゃなくてよかったー。
絶対吹いていたわ。
「・・・・・普通は付き合ってからのものじゃないかしら。私は政略結婚なんてのは嫌いなので、そういうつもりでしたらお帰りください。
さっさと帰りませんと、王が心配するのではありませんか?」
「そういうつもりではなかったのですが・・・・。
おや、もうこんな時間ですか。それでは、ルイスさま、リエさま」
おうおう、帰れ帰れと若干オヤジくさいことを言いそうになったけれど辛うじて止め、私も彼らが出て行った後に倉庫へと急ぐ。
リエは酔いつぶれたようで、もう寝てた。
あの役立たず!
普段の仕事は凄いけど、酔った後始末が面倒臭い。
何で酒好きなのに弱いんだろうね。
私はその夜、倉庫からお目当てのものを見つけ出すと、一人でほくそ笑んだ。
ごめんなさい、変なやつです。
前任は、メイドの誰かが気づいてくれることを願うしかないかな。
ーーーーーー
イスパルデの住処に戻って着替えてから近くの市場を覗くと、いつもと活気が違った。
いつもより賑わっていないかこれ。
すぐ近くで野菜を売っていた夫婦に話を聞いた。
「何かね、王子が結婚式するんだって」
「第何王子ですか?」
そういえば、昨日の王子の名前、誰だったんだろうか。
「第1王子に決まっているじゃないの」
いつ誰が決めたんだよ。
その他、誰に聞いても、似たような情報しか持っていなかった。
相手方も誰か知らないし、いつ結婚式をするのかも知らないようで。
うーん、どうやら噂話が一人歩きしているみたい。
気にするのも馬鹿らしいかな。
そもそも、王子なんて単なる飾りでしかないのに、あんなに守りが厳重とか馬鹿にしてるよね。
こちとら、閣議ですべて決まるから、護衛も予算の削減でいなくなったし(リエの時には既にいなかった)、留学と言いながらも教育費を出すのが嫌だからと私をほかの国に追い出すし、全く尊重していないよね。
ええ、僻みですが何か?
結婚ねえ。
初めの婚約者は、同じ国に住んでいた一人の閣僚の息子だった。
恐らく賄賂でなったのだろう閣僚のくせにぼんくらだった彼の親は、さらなる躍進を求め、私にすり寄った。
そうとは知らない私は、婚約者である彼としょっちゅう遊んでいた。
・・・・・・今でも覚えている。
森の中で遊んでいる最中に、彼が警察に連れて行かれて、親共々牢屋に入れられたところが鮮明に。
彼の親は、賄賂を渡していたことがばれて、捕まったのだそうだ。
彼は、そのつなぎ役をしていたのだという。
・・・・・・今となって思えば、10代後半の男がそんなことしているなら捕まるのは当然よなー。
私は、そういった裏がある人たちの格好の獲物となり続けた。
私の見る目がなかったというか、関心がなかったというか。
関心がなかった一択ですがね。
相手に興味のないやつがそもそも、恋心なんて抱けるはずもなかったのだ。
シンデレラストーリーとかなら面白くなるのですが、どうすればいいのかね?
やっぱり、悪役として登場したらいいのかな。
姫を狙う勇者的な立場で。
でも、小説だと、悪役になるのはあっちの方な気が。
今日は召喚状来てないけど、城にお邪魔しようか。
その姫さんの顔を見て、可愛かったら攫って、城でパーティでも開こうかな。
まあ、身内だけのパーティになっちゃうんだけどね。
私は、バックに隠していたトンファーに触れ、スキップ交じりに城へと向かった。
スキップは下手ですが何か?
ーーーーー
城に潜入すると、何やら怒鳴り声が聞こえてきた。
どうやら、王と誰かが口げんかしているらしい。
王と対等な立場で意見できる人って滅多に居ないのだけど、誰なのだろうか。
執務室をこっそりのぞいてみると、昨日の金髪がいた。
慌ててドアを閉め、いったん深呼吸する。
・・・・・・なんだあいつ。何でここにいんの!?
いやいや、分かっていたけど何で王と喧嘩しているの。
今見ていたものが信じられずもう一度覗くと、扉が動かなくなった。
ちょっとー、ちょっとだけしかあけるつもりなかったのにこれじゃ・・・・。
と思って、声が聞こえなくなったことに気づく。
王の隣には誰もいない。
「やあ、来てくれたのかい」
ばっと顔を上げると、そこにはイケメンの顔があった。
なるほど。扉が閉まらないのはあんたが抑えて・・・・・・って、何してんの!!
「誰ですか、あなた。
王に用があってきたんですけど。用事が終わったのでしたら、退室ください」
別に驚かなかったわけじゃない。
ただ、妙に冷静に言えただけだ。
テンパってしまうと頭が冷えるのは、親譲りである。
「昨日会ったじゃないか」
「会っていません。気のせいでしょう」
だから、さっさと去れ。
そう願うも、彼は私の肩に手が置き、王の前まで押した。
振り払おうにも、十代後半の男女だと、男の方に軍配があがるに決まっている。
イヤーな予感がするんですが。
「俺は、こいつと結婚するんです」
「「はあっ!?」」
私と王は驚くしかなかった。
それしか、リアクション、出来なかった。
多分驚いている理由は、王とは別なのだろう。
私の場合は、魔王だってバラされたことだが、多分彼は勇者と結婚することを驚いているんじゃないかな。
「どういうことだ!お前は行方不明になって帰ってきたばかりか、さっきから魔王と結婚するとかいいくさりおって、今度は勇者か!お前は、隣の国の第二王女と許婚なんだぞ!」
「だから、それが俺は嫌なんです。第一王子が第二王女と結婚なんて、この国が軽んじられているようにしか思いませんし、彼女の猫かぶりには付き合っていられません。
その点、彼女は素敵な人です」
おいおい、一般人を持ち上げるような真似をして、何がしたい。
姫さんが猫かぶりなのは幻滅だけど、それはまあいい。
お前は第一王子だったのか。
「いやいや、ちょっと待ってください?
本当に私のことを知っているんですか。
昨日会ったのが初対面ですよね」
素敵な人とか、私にはあり得ない言葉なんだけど。
そう反論してみたら、王子ににやりとされた。
一体どうした。
「昨日会ったことは認めるんだね」
・・・・・・し、しまったああああああ!!
罠にはまってしまったよ畜生。
あれ、自爆なのかこれ。
で、でも、王は私が魔王だって気付いてないし、しらばっくれれば大丈夫だよねっ。
「昨日?勇者ルイス。お前はこいつと会ったのか?」
もはや威厳などなくなってしまった王は、恐る恐る私の方を見た。
うわー、切実に泣きたいです。すごい睨みつけられているけど、本当のことだから仕方ない。
無言で肩を竦めて見せると、愕然とした表情を浮かべた。
なんかゴメン。
だけど、本当なの。
「それに、魔王と結婚するというのはあながち間違いではありませんよ。
だって、彼女が魔王ですから」
私は、呆気にとられるより先に、腕が出ていた。
ようは、ひじ鉄を食らわせたいうことである。
しかし、彼はそれを防ぎ、私ににっこり笑いかけた。
お前は今、私の肩掴んでたよなあ?
何でそんなに速いのかな?もしかして、確信犯か?
私は、彼の胸倉を掴んだ。
ふざけるな。これで、私の怒りが収まるわけなかろう。寧ろ、増えたわ!
「何話してんだよ何勝手にバラしてんだよ!!これで、この国に入れなくなったじゃないの!また閣僚の連中にドヤされるじゃないのよ!リエは許してくれそうだけどさ!
あーもう!あと4年なんだよ!?4年もどこに暮らせって言うのよ!」
私は一気に素でまくし立てた。
もう、敬語なんて使う必要はない。
つーか、こんな奴に敬語なんて使いたくない。
これはもう、告げ口レベルだろ。
「私は、静かに暮らしたいのよ!女王なんて真っ平御免だわ。
そもそも、私は、魔王なんてやる気がなかった!
私が自然に愛されているからって、いつの間にか選ばれていたのよ!
自然に愛されているだ?運が悪いだけじゃ済まないほど不幸な私に自然が力を貸してくれるわけないじゃない。実際、普通の子より魔法の習得が遅れているしね」
あれあれ、だんだん愚痴になっている気がするんだけど。
ま、いっか。後で考えることにしよう。
王子を睨みつけると、面白そうに口元に笑みを浮かべた。
・・・・・・何よ。
「だったら、君は俺と結婚した方がいいよね」
へ?何で。
「だって、魔王に向いていないんでしょ?
ここで、俺と結婚したら、国交回復するかもしれないじゃない」
ああ、なるほど。
確かに、政務は私がやらなくても回っていけるらしいし、私が魔王だって知られているだけで実力は他の一般人と大差がない。
ここで一発なんとか入れれば、私を倒そうとする人なんていなくなるかもしれないし。
確かにいい方法かも・・・・・って、何考えているのよ。
昨日、自分で言ったじゃない。
「私は、政略結婚なんてごめんだと言ったでしょう?そもそも、結婚なんてまだ早い」
未成年のうちは、結婚する気がないよ。
責任を持てないからね。
「じゃあ、大人になったらいいのかい?」
「そういうわけじゃないわ。私には好きな人がいるの」
あながち嘘でもないけど、嘘である。
だって、ここにいない人なんて言えるわけないよね。
「へえー」
あ、あれ。意外と軽い返事。
まさか、ばれているとか。
「現実にいない人じゃないからね」
ふと怖くなり駄目押ししてみると、にやりと笑った。
「自爆が好きなのかな」
あー、もうそれでもいいよ。
普段から自爆ばかりしているしね。
「・・・・・・まあいいわ。考えといてあげる」
考えるだけだがな。
そういえば、とこの部屋にもう一人いたことをふと思い出す。
王は放心していたが、私の目線に気づいて佇まいを直した。
本当に威厳も何もないな。
親バカっていうより国を守ることに必死なのかな。
「ルイス、魔王・・・だったのか?」
「まあ、黙っていたことは謝ります。
魔王ですが、今は権限なんて全くありませんので、言わなくてもいいかと思いまして。
ところで、何で魔王を倒そうなんて何を考えているんですか」
「戦争を起こそうとしていると噂で耳にしてな」
噂程度で一国の王を殺そうとするなよ!
そうしたら、余計戦争が起こる確率が高くなるし。
「髪の色がこの国のものとは違うだろう?
だから、異世界のものだと思ったのだ」
ああ、成る程。
私の髪が黒い(・・)から、この国の人じゃないと思ったのね。
確かに、私はこの国の人じゃないけれど。
「そういえば、リエさんも黒髪だったね」
よく覚えていたね。
少し茶髪が入っているけど、あの人も黒髪なんだよ。
だって、
「私の母が、リエの姉だもの。
母が異世界人なら、妹の彼女も黒髪だよね」
母には、異世界の様子をたくさん教えてもらったからね、色んなこと知ってるよ。
大半が、オーバーテクノロジーだったけど。
これだから遅れてる世界は、が口癖だったな。
最終的に魔法で作り出すことで解決したらしい。
多分、城にあるあの洗濯機とかコンロとかは魔法だと思う。
母が生きてた頃の父は面白かったなー。
心配しすぎだって。
「そ、それって、どういう・・・」
どちらが言ったのかわからなかったが、私は一応説明しておく。
魔王になってもいいことないよ、と。
「その時の魔王に召喚されたんだよ。
まあ、その後神に怒られたけどね。
で、帰れなくて、50年きっちりやったらしいけどさ、まあ色々あってリエまできちゃって今に至ると言う訳よ」
「・・・・・・魔王って凄いね」
「どうだろう。
今の状態にあるのも、魔王の役職にいるからだし、誰も私の名前を知らないんだよ。
酷いよね」
本名は出したらダメというのが、リリシア国の法律。しかも、魔王のみ。
最近聞いてないからなー。自分の本名を忘れそうで怖いわ。
うーん、取り敢えずリエに聞いてこれからの身の振り方を考えるべきか。
また戻るのか。
リリシア国は地味に遠いんだよな。
「いつか、名前は教えてあげるよ」
それじゃ、と手を振る。
後でよくよく考えてみると、何であんなことを言ってしまったのかわからなかった。
あれかな。王子のオーラにあてられてしまったのかな。
・・・・・・で、王子の名前は何だったっけ
。
ラストが思い付かなくて爆死。
ぶっこもうとしていた設定。↓
ルイス(ティアナリア=ルイス=フローラ、橘瑠衣)
しきたりで、ルイスと名乗るティアさん。
ティアの方が好きだが、名乗ることを許されていないためちょっと忘れかけてる。
魔法属性は闇。
だが、高い魔力にものを言わせて、その他の属性も発動可能。というか、そもそも闇属性とかそういう類は馬鹿なので知らない。闇魔法は嫌いだからという理由で使ったことない。
呪文も、馬鹿なので長いのは覚えられない。
短いのしか使わないし、詠唱破棄がほとんどだから弱く見えるだけ。
思考回路は小市民なバ可愛いティアさんです。
王子(名前?何それ美味しいの?)
実は本気でティアに恋しているが届かない。
そもそも、彼女に恋愛感情があるのかすら疑問に思っている。
一般人に扮してよくあっていたが、覚えられてなかった様子。
初期設定では、魔法には人一倍詳しいらしいが、まあそこらへんは魔法使っていないから・・・。
一時期本気でこの国から出ようとした事があるらしい。
王
噂を信じ込みやすい小心者。
というか、心配性。
ルイスの髪を見て一発で決めたのだという。
ルイスがこの国に住んでいると言ったら、戦争なのにね。
親バカで、特に第一王子と第三王子を可愛がっているため、現在第二王子が反抗期中。
リエ(橘莉絵)
前任で、ルイスの後見人の異世界人。
姉を追ってここまで来たという、所謂シスコンである。
ちなみに結婚してるよ、ちゃんと。
この世界に来てから成長が止まったらしく
、80歳のはずなのに見た目は20歳である。
頭が悪そうに見えて、腹黒である。
お母さん(橘梓)
名前だけは考えていた人。
異世界に科学を取り入れることにも「この中だけで使えばばれないだろ?」といったかなり豪快な人。
ティアが、素が男っぽいのはこの人の影響である。
数年前に、異世界に戻ってから帰ってこないが、この数年後、色々機械を持ってきて夫に怒られることとなるが、便利なため捨てはしないという。
お付き合いいただきありがとうございました。