3.5 彼女らの会話
「あら、あなたさっきの……」
「……っす」
「ええっと」
「東って言います」
「あ、ありがとう、東さん。私は、柳沢、ね」
「…………」
「……」
「先輩、ですよね」
「え?」
「柳沢さんって、いっこ上っすよね?」
「そうだよ。三年生。貴方は二年生かしら」
「っす」
「そっかぁ……駿くんと、仲良いの?」
「駿くん?」
「あっ……堂島君の事」
「まぁ、それなりに。……先輩は、堂島先輩とは仲良いんすか?」
「どうして?」
「さっき、話してたし……駿くんって」
「うん。……幼馴染みなの。それで……元、恋人、かな。一応」
「……元って」
「私がね、告白したんだ。それから付き合ったんだけど……でも……上手くいかなかった。段々すれ違うようになっていって……私が耐えられなくなっちゃって。自分から告白したのにね。他の男の人に告白されて……気持ちがそっちにいっちゃったの」
「……それってまさか!」
「分かってる。私は、駿くんに酷いことしたって、分かってるの。でも、どうしようもなく、本当にどうしようもなく好きになっちゃって……。今でも私、駿くんには本当にごめんだけど、幸せだもの」
「………………」
「あっ……ご、ごめんなさい、急にこんな話。初対面なのに……」
「そ、そうじゃなくて!」
「え?」
「先輩はその人、ええっと今の彼氏さんから……もしかしてラブレターで告白されませんでしたか?」
「……うん、そう言えばそうだったかも知れないけど」
「…………」
「どうしたの、ええっと……東、さん?」
「いや……んでもないっす。すんません、変な事訊いちゃって。んじゃ、これで」
「え、あ……東さん」
「……なんすか」
「私が言う資格なんてないと思うけど……駿くんってちょっと自分勝手な所もあるけど、悪い人じゃないの。だから、仲良くしてあげてね……?」
「………………」




