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06話 連れて行かれたホテルにて 1

 すみません。

 どうかリアリティーは求めない方向でお願いします……。

 


 そのまま十分くらい走って連れて行かれたのは、私みたいな庶民は絶対に足を踏み入れないようなVIP様御用達の超高級ホテル。その最上階のなんたらスイートというスペース。

 ‘スイート’って何種類もあるものなんですね。初めて知りました(こんな知り方したくなかったですけど・・・)。

 いやもう初めて足を踏み入れましたけれど、私が泊まるようなシングルやツインとかいう「部屋」ではなくて「空間」ですよ、「空間」。

 今いるのは広いリビングで、向こうにキッチンが見えます。他にも扉が幾つかあって――――ウォークインクローゼットや浴室・トイレを除いても寝室って絶対一つじゃないですよね、この扉の数。どこぞの高級マンションと言われた方が信じられます。絨毯はふかふかだし、家具から小物まで高級感でいっぱいです。ベージュ系の落ち着いた色でまとめつつ、下品になりすぎない程度に適度にくすんだ金色を使っているあたりが憎いですネ。


 なんてリポーター風に逃避してみました。


 バッグとキャリーケースは死守しているが、廊下へ続く扉の前にはやはり黒服の男性が一人さりげなく立っていて、逃げられそうにない。

 仕方なく勧められたソファに腰を下ろしたはいいけれど、思ったより柔らかく体が沈むので、ちょっと慌ててしまう。

「あの、いったいどういうご用件なのでしょうか?帰りが遅くなってしまいますので、手短にお願いしたいのですが……」

『-------.---------------------------,--------』

「殿下が確認したいことがあるとのことです。只今経済産業大臣との晩餐に行かれていますので、いま少しお待ちいただきたい」

 こんな立派なお部屋に泊まっている、しかも公子サマご一行が身代金目当てでもないだろうと尋ねてみれば、執事さんから返ってきたのはそのような回答。

 公子サマが確認したいことと言えば、私に思いつくのは一つしかない。

 そんなに気に入ったんですね……。


 それではと、待っている時間を利用することにして手提げバッグからシステム手帳を取り出す。

 う〜んっと、たしかこのあたりに書き込んだ覚えが……あ、ありました。

 目的の情報を見つけて、白いページに書き写す。ちょっと迷ったものの、追加情報をいくつか同じように検索・記入。B6サイズのページを一枚まるまる埋めて手帳から外したところで扉が開く音がした。


 手帳を慌ててバッグに入れて立ち上がれば、入ってきたのは夕方にフェア会場で会った公子サマその人。

 腕時計をちらりと見ればもうすぐ9時。

 この手の中のメモを渡してすぐ出れば、21時台のバスに間に合う!

 視線を上げると、おっとびっくり。公子サマがすぐ目の前に立っていた。両腕を広げている。

 この体勢ってまるで――――――


 思った次の瞬間、はい、抱きつかれました。そして私はやっぱりとっさに反応できず硬直です。


 仕事の関係の海外出張で、スイートなどではありませんが、仕事相手の手配でちょっと良い部屋に泊まったことがあります。

 ワンルームでしたが広さにビビリました(20畳分くらい優にあったのではないでしょうか)。

 身の丈に合った広さが一番だとしみじみ感じました……。

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