04話 フェア会場にて 4
フェア会場篇最終話です。
短くてすみません……。
「清香さ〜ん、いつまで固まってるんですか〜?」
ご一行様の姿が見えなくなってからそう声をかけてきたのは綾ちゃん。
「そうよ〜、今どき挨拶のキスくらい、さらっとこなさなきゃ」
ポンと肩に手をかけて、軽く揺すってくれたのは恭子さん。おかげで硬直が解けました。
「今のすごかったわねぇ。横顔をチラッと見ただけだけど、美形じゃなかった?」お向かいのパワーストーンのお姉さんも加わってきました。
「何?キスもらったの?」
「そうなんですよ〜、やっぱり西洋のヒトってキスが挨拶なんですね、生で見れてラッキーです♪」
「そうそう、なのに清香ちゃんたら真っ赤になって固まっちゃうんだもの、もったいないと思わない?」
「うっそ〜、ほんっともったいないわね〜」
私をそっちのけで盛り上がる皆さん。
「ちよっと初心すぎない?今幾つだっけ?」
「二十四、ですけど……」
「や〜ん、清香さんたらまた顔赤くなってます〜、かっわいい〜!」
あうあうー。だってしょうがないじゃないですかー。彼氏いない歴イコール年齢なんだもの。あれがファーストキスだったんだからー。
なんて、言ったらまた騒がれそうなので口にはしなかったけれど。
ついさっきの感触が思い出されたりして。
挨拶、挨拶、単なる挨拶よ…ね?
・・・・・・でも、離れ際になんかペロッと舐められた気が・・・・・・いやいや、気のせい、気のせい。欧米のごあいさつ〜。
懸命に自分に言い聞かせる私。
そうこうしているうちに、フェアの終了時間がやってきて、いつの間にか彼氏談義になっていた他の皆も解散して、慌てて後片付けに移った。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
最初の妄想はこのフェア会場だけだったのですが、この連載はまだ続きます。
よろしければもうしばらくお付き合いください。