28話 翌日自宅にて 17
『-----------,---------------』
「そういった種類のものではなく、一種のアレルギーのようなものです」
アレルギー?じゃあ、私が男性に見えるというわけではないんですね!
……我ながら現金なもので、公子サマの男好きが否定されると途端に立ち直ってきました。
だってもう、本当にショックだったんですよ、今の。これまでの24年の人生にかつて無かったほどの大大大大ショック。
自分のこれからが消え失せようとしたのですから無理もないのですが……あ~、ほんとに涙が滲みました。
嬉しさに思わずニッコリしたら、気まずかったのか公子サマが目を逸らしましたが、もう大丈夫!気になりませんよ~♪
「アレルギーと言うと、女性に近づくと蕁麻疹が出るとかですか?」
立ち直りはしたものの、やっぱり気になるので確認です。
ウォッホン!
咳払いをするセパシウスさん。
『----------』
「蕁麻疹ではございません」
「アレルギーだけど蕁麻疹じゃない?」
『--,----------』
「はい、蕁麻疹ではございません」
「じゃあ何なんだ?」
あ、引いていた祥くんが戻ってきました。
コホン。
もひとつ咳払いのセパシウスさん。
…そんなに言いづらいことなんでしょうか?
『--------……』
「何と申しましょうか……」
なかなか焦らしてくださるセパシウスさんに、固唾を呑む私。
もうここまで来ているのですから深く考えずに仰ってください!
じっとセパシウスさんを見つめると、セパシウスさんは大きく息を吸い、はぁ~と一つ特大の溜め息をついたその最後にボソリと呟いた。
『------』
「‘ニオイ’です」
…………
‘ニオイ’と言うとあれですよね、鼻で嗅ぐ。
でも、それでアレルギーと言うと……??
「あれか?女の香水がやたらに鼻についてクシャミが止まらねぇとか?」
自分の体験なんでしょうか、鼻にすっごい皺よってますよ、祥くん。
でも、それなら分かります。時々いますよね、すっごく強くにおう人。
‘付けている本人は鼻が慣れちゃってどんどん濃くなっていく’って聞いたことがあるし。
ニオイに敏感な人で自分の嫌いなニオイなら、花粉症みたいにクシャミ・鼻水が止まらないということもあるかもしれませんね。
「それは――」大変ですね、と続けようとしたのだけれど。
『~~.~~~~~~~~~~~~,~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~』
「いいえ。香水の有る無しに関係なく、女性のニオイそのものが苦痛で堪らないのです」
公子サマが首を横に振って、悲しそうにそう言った。