23話 翌日自宅にて 12
じだいのこうこくくんしゅ。
時代の広告くん・しゅ。
次代の子……いやいやいや、ちがいます、ちがいます。
聞き慣れない言葉に脳内変換が変な方向に進みそうになりましたが、がんばって引き戻します。
「くんしゅ…」
要点はここですよね?
「じゃあ、そちらの公子サマが次の国王サマってわけか?」
祥くんが確認するように言葉を変えて聞いていく。
今日の祥くんは本当にすごいです。いつもの大雑把さはどこへ行ったのでしょう!?
『-------------------------.----------------,----------』
「我が国は‘王国’ではないので君主は‘国王’ではありません。あくまで身分は‘公爵’であり役職は‘摂政’となります」
う~ん???
貴族階級の無い日本人としては今一つよく分かりません。
これは祥くんも同じのよう。
思わず首を傾げてしまうけれど、見ればセパシウスさんも困った顔でちょっと首を傾げている。
私たちがどうしてよく分からないかが分からない……のでしょうか?
……
…………
………………
え~っと。
このままお互い首を傾げて見つめ合っても変なので。
「すみません、一つ質問よろしいでしょうか」
学校の授業の質問のようにそろりと挙手する私。
『----,-----』
「どうぞ、佐原様」
鷹揚に頷くセパシウスさん。あ、首の角度が戻りました。
「‘第三’公子様なのに、‘第一’位爵位継承権をお持ちなんですか?」
とっさに思いついた疑問を口にする。
『---------------------------,------------------------』
「我が国では男女を問わずに出生順に第一、第二とお呼びしており、クラウス殿下の上のお二方は公女殿下でいらっしゃいます」
へえ~。
「じゃあ、公子様は末っ子なんですか?」
日本で末っ子というと甘えん坊なイメージがあるけれど、目の前の公子サマは顔こそ甘い王子系だけれど態度は落ち着いていているし、浮ついた雰囲気も無い。
『--,---------,----------------』
「いえ、下に公女殿下がお一人、公子殿下がお二人いらっしゃいます」
え~と、ということは……。
「6人兄弟姉妹ってことか」
呟く祥くん。
今時の6人きょうだいって、珍しいですよね。
何か特殊な事情でもあるのかと公子サマを見ると、
『~~~~~~~~,~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~.』
「私が生まれた後、父が‘女性の比率が高くてずるい’と言って男の子を欲しがったのです」
『~~~~~~~~~~~~~~,~~~~~~~~~~~,~~~~~~~~~~~~~~~~,~~~~~~~~~~~~~~』
「私の次が更に妹だったので、もっと差が開いてしまい、結局1対1になるよう頑張った結果、6人きょうだいになってしまいました」
にっこりと笑いながら説明してくださいました。
なんだか微笑ましいお話ですね。
思わずにっこり。
6人…というのは無理だと思いますけど、やっぱり男の子と女の子一人ずつは欲しいですよねぇ。
……なんて思っていると、
「しかし6人もだなんて、公子サマのおふくろさんも大変だな。うちなんか兄貴と俺と伽菜の3人でてんてこ舞いだったって、いまだにおふくろが言うからなぁ」
なんて変な感心をする祥くん。
それは、祥くんのヤンチャぶりが手に負えなかったからだと思いますよ?
順子おばさんの苦労が忍ばれます。
思わず、はぁ、と溜め息をつきそうになったけれど、
『~~~~~~~~~~~~~~~~~,~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~』
「きょうだいが多いのは良いものですよ、にぎやかで寂しい思いをする暇もありませんでしたし」
『~~,~~~~~~~~~~~~~~,~~~~~~~~~~~~~~~~~.~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……』
「それに、子供は神様からの贈り物であると同時に、愛しい伴侶との愛の結晶です。私もたくさん子供が欲しいと思うのですが……」
ハァ、と公子サマが先に切なげな溜め息をつきました。
うわ、うわ、うわぁ~。
長い睫毛を伏せて憂い顔の公子サマがやけに色っぽいんですけど!
どうしましょう?伏せた視線がチラリと上目使いでこちらを見られたりすると何だかドキドキしてしまうんですけど!
そんじょそこらでは――いえいえテレビの中でも滅多にお目にかかれない美貌の麗人の艶姿(?)です!!
ああ、この姿を恭子さんや綾ちゃんに見せてあげたい!!!
ようやく本筋に戻ってきた気が……。
そして清香ちゃんにはお色気通じてません。
鑑賞物止まり……?
読んでいただいている皆様、ありがとうございます。
じりじりとしか進まなくて恐縮ですが、頑張りますのでお付き合いいただけると嬉しいです。