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22話 翌日自宅にて 11


 たいへん遅くなりました。申し訳ございません。


 何度も繰り返しますが、公子の国は架空の国です。

 人名、設定は実在のものを参考にしているところもありますが、かなり適当ですのでリアリティの追求はご容赦願います。



‘我が国をお救いください’

 ・・・ファンタジー映画か小説くらいでしかお目にかからない言葉に唖然とする私と祥くん。

 そんな私たちを尻目に、滔々と話し出したセパシウスさん。


『-----------------,-------------------------,……』

「そもそも、わが国の起源に遡れば、1685年にオスマン帝国との戦場より戻ったアダム・クロイス・クロウシェンが没落していたディアラウス伯爵領を購入、その2年後に隣接するドゥーバッハ男爵領及びシャネンス男爵領を購入し……

「……年に時の神聖ローマ皇帝により、購入した土地をクロウシェン公領とすることが認められました。これが我がクロウシェンの始まりとされており……

「……年に神聖ローマ帝国の崩壊により、クロウシェンは独立国となり……」


 ふわぁ~、スゴいです。

 私は只今心の底から感心しています。

 何がスゴいかと言うと、開始から10分近くクロウシェン公国の歴史を熱く語るセパシウスさんもさることながら、そのセパシウスさんに一拍遅れるだけで淀みなく訳し続けるユーリくん。

 これは先程までの逐次通訳――人が話した後に、その内容を訳す――ではなくて、同時通訳――人が話すのとほぼ同時に訳す――というものでしょう。


 私も以前興味があって通訳養成講座というものを受講してみたのだけれど、通訳というのはただ単に外国語が話せるとか聞き取れるとかだけでは無理なのである。通訳としての特別な訓練――例えば聞きながら話す、というような――が必要だったりする。

 これがまたやってみると、普段使わない脳領域を使うような、頭がうにゃうにゃする感覚がするのです。…私はそうでした。


 それを、ユーリくんのような幼さでここまで流暢に話すということは、内容をもう丸ごと記憶しているに違いありません。

 そして、セパシウスさんの語る口調のこれまた熱く滑らかなことときたら。

 ちらりと公子サマを見ても変わらずにっこり微笑まれるだけで、特に驚いたり慌てたりした様子もありません。

 ……やっぱりしょっちゅうあんな感じで語ってらっしゃるってことですよね…?


 ふあ~~

 ただただ感心するしかありません。


「…すげぇな」

 祥くんの口からも感嘆の呟きが出ました。

 さすがに祥くんも感心するんですねぇ、と思ったのだけど。

「爺さんの口調があれだけ熱いのに通訳の子供は全く淡々と話している対比がすげぇ」

 ええっ!?祥くんの感心するところそっちなの??


「もう15分近く喋り続けてて息切れも起こしてねぇし、どんだけ肺活量あるんだ?」

 そっか、祥くんはそういうところが気になるんですねぇ。まぁ、らしいと言えば祥くんらしいんでしょうか。自分が肉体労働派なので、他人様の身体能力とかが気になるんですね。


 祥くんの感心ポイントに感心していると、

「…が、現在のクロウシェン公国の君主にして摂政、第16代公爵閣下でございます」

 セパシウスさんによる‘クロウシェン公国の歴史’講義が終わったよう。

 大きく一つ息をつくセパシウスさんに、思わずパチパチと拍手をしてしまう私。あ、もちろんユーリくんにも拍手です。

『-----』

「恐縮です」

 私の拍手に、ちょっと照れたような表情のセパシウスさん。おっと、ユーリくんもちょっと頬のあたりが薄紅色になっているかも。

 表情は変わっていないけれど、もしかしたら照れているのでしょうか?

 微笑ましくてニッコリとして見ていたら、

「おい、さや。ところでおまえ、爺さんの説明ちゃんと聞いてたか?」

 祥くんがこっそり耳元に聞いてきました。


 う゛


 ……いえね、歴史って物語としてはおもしろいんですけど、年号が入ってくると……数字覚えるのが苦手だったりするのです。

 なので、

「大まかな粗筋程度は…」

 いえいえ、決して感心するのに忙しくて聞いてなかったということではないですよ?

 ええ、ホントに。


 のどを潤すように、すっかり冷めてしまったコーヒーを飲むセパシウスさんとユーリくん。

 こんなことならお水を用意しておくべきだったでしょうか? 


 コーヒーを一気に飲み干すと、セパシウスさんはカチャリとカップをソーサーに置き、ウォッホンと咳払いを一つ。只でさえ真っ直ぐ伸びている背をさらにシャキンと伸ばし姿勢を整えると、右手で公子サマを指し示し、

『---------------------,----------------』

「そして、こちらのクラウス殿下が第一位爵位継承権、つまり次代の公国君主であらせられます」

重々しく宣言した。



 ずいぶんと間が開いてしまい、誠に申し訳ございませんでした。

 リアルの山場は越えたはずでしたが、たて続いた慌しさに体がへばってしまったようで……。

 なんとか回復しましたので、また週一くらいで更新できると思います。


 祥二くんが感心している‘話し続けているのに息切れを起こしていない’について。

 一応ちゃんと息継ぎはしてます。が、ほとんど切れ目を感じさせずに喋り続けているので感心しているのでした。


 余談ですが、作者の短編に関する削除したエピソードや後日談、裏設定など、短編を立てるほどではない話を、‘莎月の短編こぼれ話’という形で出していきたいと思います。

 2月21日1時で予約投稿しています。よろしかったら覗いてやってください。


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