義妹のことを愛しているから婚約を解消して欲しいと言われたので、借金だらけの実家を添えて譲ってあげました。わたしは冒険の旅へ出ることにします
「僕は義妹のことを愛しているっ。だからエリーゼをいじめるアンドレア、お前のような根性悪な女との婚約は解消するっ」
目の前に立つわたしの婚約者であるジェミニが、鼻息荒く言った。
わたしはアンドレア。
メーラー伯爵家の後継ぎ娘です。
庭でお茶を飲んでいたら、突然現れたジェミニに婚約破棄されてしまいました。
我が家の庭では、春の花が気持ちよさげに揺れています。
気持ちの良い風が吹く午後に、庭を眺めながらお茶を飲もうと思ったらこの始末。
溜息のひとつも出ようというものです。
「あら……そういう感じ?」
わたしは椅子に腰かけたまま呟いた。
それを耳聡く聞きつけたエリーゼが、アメジスト色の瞳がはまった大きな目を更に大きく見開き、ジェミニの腕をひっぱるようにしながらコチラへ右手の人差し指を向けて叫ぶ。
「ジェミニさま、聞きました⁉ お義姉さまってば、いつもこうやってわたくしをいじめるのです」
他人さまを指さすものではありませんよ、エリーゼ。
面倒くさいことになるので、いちいち言いませんけれど。
そもそも義妹ですから、わたしの損になるのなら構う必要はありませんよね。
わたしの母は早くに亡くなりました。
あとに残された父は早々に再婚。
義母は美しくて優しい良い人ですが、オマケの娘がいただけない。
義妹のエリーゼは、銀色の髪にアメジスト色の瞳を持った可愛らしい顔立ちの華やかな見た目をしていますが、中身がスッカスカです。
「おいっ、アンドレア! いくらエリーゼが美しくて羨ましいからといって、いじめるなんて酷いじゃないかっ。女の嫉妬は見苦しいぞっ」
婚約者がわたしを責め立てました。
ジェミニは金髪に青い瞳の美少年です。
彼やエリーゼと比べたら、わたしの容姿は顔立ちこそ整っているものの、黒い髪に黒い瞳と貴族女性としては少々地味なのは認めます。
色白ゆえに悪目立ちする赤い唇は、化粧で色味を少し落としています。
そのせいで余計に地味な印象を与えるようですが、我が家は貧乏伯爵家ですから派手に目立っても良いことはありません。
エリーゼにも、そう教えているのですが。
平民上がりのエリーゼには、貴族はみな同じに見えるようです。
そんなわけないのですが。
なにせ我が家は借金だらけですからね。
貴族だからといって裕福とは限らないのです。
お金は湧いてくるものではなく稼ぐものなのですから、賢く立ち回る必要があります。
父は義母を不安にさせないように借金のことはキチンと話していません。
そのせいかエリーゼは、我が家の経済力からすればとんでもない浪費家になってしまいました。
お金を使っていれば、お金が出来たと思われて、借金の取り立てが厳しくなります。
エリーゼのようにドレスや宝石に予算をかけすぎて、金銭的な余裕があるように見せるのは、我が家にとってはマイナスでしかありません。
わたしは溜息混じりに説明します。
「エリーゼのためを思って意見することはありますが、いじめてなどおりません」
「そんなわけあるかぁ! 本当に根性悪な女だ!」
ジェミニがひとりでプリプリ怒っています。
でもわたしは本当に、エリーゼのためを思って意見しているのですよ?
この世で一番頼りになるのは自分自身です。
だから教養や礼儀を身に着け、体を鍛えろと言っているのですが。
エリーゼが聞き入れる気配は一向にありません。
貴族というものを勘違いしているエリーゼは、必要以上に飾り立てては子爵令嬢や男爵令嬢といった格下の令嬢たちにチヤホヤされながら生活しています。
貴族学校へ何をしに行っているのやら。
高い学費が無駄になりそうです。
わたしは18歳で貴族学校を卒業しました。
エリーゼは17歳で、来年卒業です。
卒業したあとに現実を知って慌てても遅いのですが、大丈夫でしょうか。
「とにかくお前とは婚約解消っ! 婚約破棄だっ!」
ジェミニがひとりで騒ぎ立てています。
彼の実家はお金持ちです。
だからエリーゼを甘やかし放題できます。
ですが。
そんなジェミニが、なぜわたしと婚約し、我が家に婿入りするのか。
そこを考える頭がないのです。
ジェミニは少々頭のほうが残念であることは、彼のご両親も理解しています。
だから婿にやることで厄介払いをし、我が家へ援助して路頭に迷わない経済基盤というものを用意しようという算段をしました。
そしてその算段の重要な人物は、このわたしなのです。
父は人が好いですが商売が下手ですし、義母は計算して動けるタイプではありません。
期待されているのは、わたしの手腕。
わたしの商売人としての将来を見越しての援助で、我が家の家計はどうにか回っているのです。
だというのに。
貴族学校を卒業し、これから本格的に仕事をするにあたって色々と考えているわたしに、こともあろうか婚約破棄を突き付ける婚約者。
その原因となっている義妹。
なんだこれ。
わたしが一生懸命やったって意味なくない?
「なんだその顔は⁉ 恨みがましい目で僕をみるなっ。根性悪な女である自分を恨むんだなっ!」
ジェミニがプリプリ怒っていますが、根性悪なのはわたしではなく、そこにいる義妹のエリーゼですよ?
もっとも頭も心もイマイチなジェミニにそれを理解せよといっても難しいのかもしれません。
わたしは、義妹のことが好きだという婚約者を支えるのがアホらしくなりました。
「僕だって爵位は欲しい。だからお前がメーラー伯爵家から出て行け!」
ジェミニがわたしに向かって怒鳴っています。
意味が分からない。
もう我慢する必要はないですね。
こんな家、捨ててやりますっ。
「分かりました」
わたしはそう答えると、スッと立ち上がりました。
「おっ、おぉ」
「きゃっ」
ジェミニも、エリーゼも、なぜかわたしを見て一瞬ビクッと震えました。
何を怯えているのですか?
荷造りのために自室へ行くだけですよ?
「では失礼します」
わたしは、今まで生きてきたなかで最高のカーテシーを2人に向かってとると、クルリと踵を返しました。
◇◇◇
思い立ったが吉日です。
わたしは今日、家を出ることにしました。
自室に戻ったわたしは、素早く荷物をまとめます。
手早くポイポイと必要な物と要らない物を分けています。
わたしは自分であれもこれも出来るタイプです。
いちいちメイドに手伝わせなくても、荷造りくらいできます。
わたしの夢は冒険者です。
淑女となれば荷物は沢山になりますが、冒険者なら最小限で大丈夫です。
ドレスなんて要りませんね。
貴族学校の体育で使っていた乗馬服を、頭陀袋のような大きなバッグのなかに放り込みます。
着替えや下着、ちょっとした身の回りの品を詰め込んで満足したわたしは、ドレスから動きやすい乗馬服へと着替えました。
こんな借金だらけの家、ジェミニとエリーゼにあげます。
エリーゼは父の実子ではありませんが、養女にすれば問題ありません。
なんならジェミニを養子にしてエリーゼと結婚させる手もあります。
もっともジェミニを養子にしてしまえば、ジェミニの実家からの追加の援助は期待できないでしょう。
だけどジェミニの実家からしたら、追加の援助が必要なくなるのは魅力的。
いいように言いくるめられて、父はジェミニを養子に迎えてしまうかもしれません。
そうなったらにっちもさっちもいかなくなって、父と義母は頭を抱えるかもしれませんが、知りません。
エリーゼがわたしにあんな態度をとる原因は、あの2人にもあるのです。
なぜエリーゼばかり甘やかしたのでしょうか。
平民から貴族社会に馴染むのが大変なのは当たり前じゃないですか。
エリーゼがアメジスト色の瞳をウルウル潤ませたからって、毎回かばっていたら必要なことがちっとも身に付きません。
みんなが少々困ったところで自業自得。
自分たちで何とかすればいい。
どうしても困ったら、爵位でも売ってなんとかしてちょうだい。
わたしは冒険の旅にでます。
お金はあまりありませんが、母の残してくれた宝石が少々あります。
これを売れば当座はなんとかなるでしょう。
待ってろダンジョン。
待ってろ世界!
わたしは化粧を落として、鏡の前に立つ。
そこには冒険者にしては身綺麗な黒髪黒目の少女が映っています。
「どうせすぐに汚くなるわ。だってわたしはダンジョンへ行くのだから」
鏡の前で拳をグッと固めてポーズをとる。
足は肩幅に開いて、左腕は肘を腰のあたりに引き寄せて拳を握る。
右手は肘を折って胸元に引き寄せるのと、天に向かって突き上げるのとどちらがカッコいいでしょうか。
迷いますね。
まぁ、そんなことはどうでもいいです。
わたしは荷造りの終わったバッグを肩に抱えて表に出る。
屋敷の窓から父と義母が何か叫びながら手を振って引き留めていますが、知りません。
わたしは広げた手のひらをひらひらと振って別れを告げて、屋敷の門から外へと向かって意気揚々と出て行ったのでした。
◇◇◇
怒涛の展開でしたが、前もって計画がなかったといえばウソになります。
「ギャハハハ! マジで出てきたのか⁉」
食堂のカウンターの内側にいるガタイのよい男が、食堂のカウンターに座るわたしを指さして笑っています。
宿屋の息子で鍛錬仲間のサムです。
わたしの報告を聞いたサムは、茶色の髪を右手でかき混ぜながら、茶色の瞳に涙を浮かべてゲラゲラと笑っています。
ちょっとムカつきますね。
わたしは不愛想な声で突っ込みます。
「無作法よ。師匠に見られたら怒られるのはサムだからね」
「いやいや。ここは道場じゃないし、師匠は旅に出ていていないし。俺を怒るような上品なヤツなんていないよ」
「そういう問題でもないわよっ。もうっ。いい加減、笑うのやめてよサム」
なかなかサムの笑いは収まらない。
一発、殴っていいですか?
でもここはサムのお父さんの宿の一階にある食堂です。
親の目があるから殴るのはやめておきますけど、ちょっと蹴っ飛ばすくらいならいいかな?
「はっはっは。だってさー。アンドレアは妙なところで行動力ありすぎぃ~」
確かにサムの言うことにも一理あります。
わたしは基本部分に貴族女性としての嗜みはセットアップされているのですが、やるときには道を踏み外す勢いで動いてしまうのです。
サムと知り合った道場へ入るときにもそうでした。
父に相談することもなく、無料で鍛錬をつけてくれるというお得さに惹かれて、考える前に始めてしまいました。
結果的に丈夫な体と平民との人脈ができました。
わたしにとって充分メリットのある結果が得られたのです。
鍛錬無料だったのは、師匠の伝手のバイト付きというオチはつきましたが、その経験も商売の役に立つと、わたしは前向きにとらえていたのです。
楽しかったなぁ。
わたしが昔のことを懐かしく思い出していると、サムが改まった口調で聞きました。
「でもさー、メーラー伯爵家を出てきてしまって、よかったのか?」
「うん、あの人たちだって子どもじゃないんだし。なんとかするでしょ」
わたしはどうでもいいな? と思いながら適当に返事をした。
捨ててきた家族のことなんて、もうどうでもいい。
わたしの未来のほうが大切。
キラキラ光る冒険者としての暮らしに、わたしは浮かれた。
「でもなー、アンドレアは貴族のお嬢さまだろ? いきなりダンジョンとか、大丈夫か?」
「大丈夫でしょ。体は丈夫で運動神経もいい。冒険したいし、お金も稼ぎたい。それならダンジョンが最適でしょ?」
「怖いとかないのかよぉ~。本当にお前は妙なところで度胸が据わっているな」
「ありがとう」
「褒めてない」
わたしとサムが幼馴染らしい軽快なトークを交わしていると、となりの席にサムよりもさらにガタイのいい男が腰を下ろした。
サムはよそ行きの笑みを浮かべて接客を始めた。
「こんにちは、シルビオさん。久しぶりですね」
「ああ、久しぶり。ちょっとダンジョンに潜っていてね。ろくなもん食ってないんだ。美味いもんを食わせてくれ」
「はい。本日の定食でいいですか?」
「ああ」
「じゃ、すぐに用意しますね」
いい声の大男シルビオさんは、驚くほど小顔だ。
しかも平民とは思えないほど顔立ちが整っている。
美形だ。
よく日に焼けているがチラチラ見える服の内側の肌色から察するに、元々の肌色は白いようだ。
金色の髪はキラキラと光っているし、青くて澄んだ瞳をしている。
美形だ。
大事なことなので2回言いましたよ。
わたしはついついシルビオさんの顔をじっと見つめてしまった。
「ハハッ。オレの顔になんかついてる?」
「あっ! ぶしつけにジロジロ見てごめんなさいっ」
わたしは顔をさっとそむけた。
恥ずかしい。
顔が熱い。
耳まで熱い。
「はい、本日の定食……あ、さっそくアンドレアと仲良くなったんっすか、シルビオさん」
「仲良くというか、君、アンドレアという名前なんだね」
シルビオさんに言われて気付いた。
わたし、自己紹介すらしてないっ!
「申し遅れました。わたしはアンドレアと申します。実家を出てきましたので、ただのアンドレア、元貴族の冒険者です」
慌てて挨拶をするわたしに、シルビオさんは魅力的な笑顔になった。
「おっ、冒険者? お仲間だね」
お仲間っ!
お仲間に迎えてくれるのですか⁉
冒険者初日にして、なんてラッキーなのでしょう!
「ちょっとシルビオさん。そいつは今日、家出してきたばっかなんですよ。おだてないでください」
サムっ!
邪魔しないっ!
「そっかぁ。今日家出を……あっ、それで泊まるためにここへ?」
「サムとは幼馴染なので、相談するためにきました」
シルビオさんが聞いたので、私は顔を横に振りながら答えた。
「あーそうなんだ。でも泊まるところが決まってないなら、ココに部屋をとったほうがいいよ。若いお嬢さんが知らない人しかいない宿に泊まるのは危険だよ」
シルビオさんが真剣な表情を浮かべて言いました。
そう言われてみればそうですね。
「シルビオさんも、こちらの宿に泊まるのですか?」
「ああ。そうするつもりだよ」
シルビオさんは、あっという間に本日の定食を平らげて、水をジョッキでごくごく飲んでいます。
ビールではなく水というのが、昼食と夕食の間の中途半端な時間帯らしくていいですね。
「ダンジョンで疲れているからさ。さっさと風呂に入って寝たいんだ」
「そうなのですね。シルビオさんは、すぐにダンジョンへ戻るのですか?」
「いや、しばらく休みにする予定だ。アンドレア、君もしばらくこの宿に泊まっていかないか? 君も冒険に出るなら、色々と準備したほうがいいし。今なら時間があるから先輩冒険者としてオレが色々とと教えてあげるよ」
「いいんですか⁉」
「ああ」
シルビオさんは、ニコッと笑みを浮かべました。
なんて素敵なんでしょう。
ウットリと見惚れてしまいます。
サムが呆れたような表情を浮かべてコチラを見ていますが知りません。
わたしはシルビオさんに教えを乞うことにしました。
◇◇◇
わたしは、シルビオさんに色々と教えてもらいながら、装備を揃えていきました。
「でもよかったのですか? お金まで出してもらって……」
シルビオさんはとても親切で、亡き母の宝石を売ろうとしたわたしを止めて、お金を貸してくれました。
「ふふ。出世払いしてもらうからいいよ。ダンジョンへ行くんでしょ?」
「はいっ!」
シルビオさんの言葉に、わたしは右手を拳にして天に向かって突き上げた。
「はは。頼もしいな。それならすぐに貸したお金は返してもらえそうだね」
「でも素人のわたしが、ダンジョンですぐに稼げますかね?」
わたしはちょっと不安になって、シルビオさんに聞いてみた。
「ぶはっ! なんだ。意外としおらしいんだな。自信満々なお嬢さんに見えるのに」
「ちょっ……シルビオさんってば、ひどいっ」
わたしはこれでも節度をわきまえた淑女ですよ?
……あ。貴族のわたしは捨てたんだった!
いけない、いけない。
ここにいるのは冒険者アンドレアよ。
強くてたくましいんだから!
凄腕で稼ぎもいいの!
弱気になっちゃっダメ!
「ははは。大丈夫だよ。君なら薬草採取程度でも、貸したお金を返せるくらい稼げるだろうから心配するな」
シルビオさんもこう言っているし、自信持たなきゃ。
実績がナイうちは、根拠のない自信だけが味方なんだから。
「心配なら、オレと一緒にダンジョンへ潜るかい? 実地で色々と教えてあげるよ」
「いいんですか?」
渡りに船です。
女ひとりでは何かと不安ですし、男性が一緒にいてくれるなら心強いです。
何よりシルビオさんが一緒にいてくれたら嬉しい。
「なら一緒に行こうか。オレもそろそろ働かないといけないし」
「はいっ」
よく知らない男性とふたりきりなんて、軽率かな? とも思ったけれど。
人生は冒険だもの。
どーんとこい、だわ!
◇◇◇
わたしは冒険者であるシルビオさんと一緒にダンジョンへと向かいました。
そこからは冒険、冒険、また冒険。
スリルとサスペンスと発見の大興奮な日々が過ぎていきました。
「危ないっ! シルビオさんっ!」
「おわっ⁉ おお、ありがとうアンドレア。危うく縦穴に落ちるところだった」
「あー……底の方で蛇が口を開けてましたね」
危うくシルビオさんを食べられてしまうところでした。
わたしはシルビオさんを助けたり、助けられたり。
まぁダンジョンなので、なんだかんだありまして。
吊り橋効果もあって、わたしとシルビオさんが恋に落ちるまでに時間は必要ありませんでした。
「ふふ。いつまで『さん』を付けてオレのことを呼ぶの? アンドレア。オレは君のなに?」
「えっと……恋人、です」
「だったら呼び捨てで呼んでよ」
「えっと……シルビオ……」
「なんだい? アンドレア」
頬が熱いです。
シルビオはいつものようにふふっと笑うと、わたしを抱き寄せて。
そしてわたしのアゴ下に右手をそっといれて上を向かせると、そっと優しいキスをした。
こうして私たちは恋人同士になったのです。
ただ計算違いがひとつ。
シルビオは国王の庶子だったのです。
どうりで想像よりもスリルとサスペンスが多かったわけです。
シルビオ。あなた命を狙われていたのね。
まぁなんだかんだあって、新しい命がわたしのお腹に宿り、国王さまに呼ばれたり、領地と爵位をもらいそうになったりしましたが。
領地と爵位は冒険者には邪魔だからと断り、財宝だけは子どものために確保しました。
その財宝を守るためにドラゴンの卵をゲットして、子どもとドラゴンを一緒に育てたりなんだかんだありましたが、わたしとシルビオは仲良くやっています。
わたしの鍛錬仲間の宿屋のトムは、いつの間にか宿屋の主人になっていて、可愛い奥さんと子どももできちゃったりして幸せそうです。
もちろん、わたしも幸せですよ。
実家のメーラー伯爵家は順調に没落しているようですが、今のわたしには関係ないことですね。
わたしは冒険者アンドレア。
シルビオの妻にして、彼との子どもの母です。
冷静に考えたらメーラー伯爵家、王家ともなにげに繋がりが出来ちゃいましたけど、そんなもの利用させたりしませんよ。
わたしの目が黒いうちはね。
「オレの奥さんは根性が座ってるな」
わたしは、ふふふと笑うシルビオの少し髭の浮いた男らしい頬に、キスをする。
ベッドには穏やかな寝息を立てる息子とチビドラゴンが仲良く寝ています。
わたしは今、とぉっっっっっっても幸せですっ!
~ HappyEnd ~




