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龍は唄う 神子と子守唄を  作者: イチイ アキラ


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09 《龍の眼》について。


「すみません……あの、《龍の眼》も、教えてください」

「……あら」

 さおりの様子に、痛ましいと蘭子の眉が下げられ。麗も梨璃も同じく。


 さおりが《龍の眼》のことすら忘れていると、神子たちはようやく気がついて説明してくれた。


 神子とはすなわちその眼こそ。

 その黄金の輝きは神の――龍の魂の欠片。

 だからこそ「神子」と呼ばれる。


「神子とは本来、右目に龍を宿した娘のこととあります」

「昔は「龍の愛し子」て呼ばれてもいたそうだけど、今ではそれは始まりの神子をさすのでしたっけ?」

「麗、よく覚えましたね。梨璃、遠い目をしない!」


 貴方たちの方が先に神子になったのでしょうと、蘭子がため息混じりに。何となく神子たちの順番をさおりは察した。

「でも、神子になったのはしおりちゃんが一番早かったんだよ? だよね?」

「私が神殿に来た時にはもう神子だったね」

 梨璃や麗より、先に。

 しおりのように幼い頃から予兆があり神殿に預けられる子供は「神子候補」などとして神殿に居を許され。


「右目が黄金に発現しなくとも、神子の補佐や側仕え、神官として神殿に残られる方もおります」


 神殿はそのようにして続いて来ていると。

「神子は結婚も許されていますから」

 幸せに嫁いでいった先輩神子たちもいるのだとか。でなければ家出――蘭子も避難してはこなかっただろう。


「帝都にも何人か、先輩の神子さまたちもいらっしゃるの」

「何年か昔に現役の神子が全員風邪引いたときに、引退していた神子さまたちが代わりにお役目をしてくださった、ってこともあるんだって」


 そして神子の子がまた神子になるかといえば、そうでもないらしい。

「むしろ地方に嫁いで行かれた方が、地方神殿にてお勤めをしてくださったり、新しい神子の引き取り手になったりしますわね」

「しおりちゃんはそうだったって……」

 麗はさおりを見て「何か思い出せそうか」と問うたが、やはりしおりの話を聞いても、さおりは何もと首を横に振るしかない。

「神子は地方神殿が良ければそのままそちらに住まう方もいますね」

「でも現役の神子は何でか王都に集められるというか……集まる?」

「まあ、一番大きな神殿に神子がいないのは問題でしょう?」

 それは確かに。


 そして肝心の《龍の眼》の発現は。


「生まれ持った方もいれば、わたくしのように突然発現する者もおります」


 その発現状況は未だに謎であるという。


「梨璃は生まれて少ししてからだったって!」

「私も突然型」

 梨璃と麗も説明してくれた。

 そして……――。

「しおりちゃんは、生まれつき薄っすら金色だったので、地方の神殿に預けられていた、て……」

 麗は妹が神殿に預けられていた話を聞いていたらしく。

 その辺りもまたさおりはほとんど知らなかったので聞き方になるばかり。


 ふと、双子の妹のことなのに――どうしてこんなにも忘れてしまっているのだろうか?


()は見ていてくださると、感激いたしましたわ」


 蘭子は胸の前で手を組んで祈るように。

 彼女は父親と喧嘩中に――それこそ嫌いな相手に嫁がされる直前、発現したのだという。

 そして母親たち協力のもと、神殿まで逃げてきたそうだ。

 神殿は神子の最強の後ろ盾となる。


 「神の子」とも呼ばれるよう、神子は崇められる存在でもある。


 そんな存在を傷つけるのは親も許されなくなる。

 時に神子は皇族と並ぶのだ。


 そして神殿は、家庭状況に問題がある神子の保護もしている。蘭子のように。そして実は麗や梨璃も――しおりも。


 神子には大事なお役目――それが神子の存在理由でもあるからだ。

 

 もともと高位貴族で神殿に訪れていた蘭子はすんなりと受け入れられたらしい。

 その右目の輝きも偽りなく、と。


 もともと蘭子と梨璃は皇子たちを介して知り合いであり。だからなやりとりにさおりは納得した。もともと仲が良かったのだろう。

 そして同じように神殿に来ていたしおりや麗とも友人となって、蘭子はこの神殿で第二皇子を待つ――そして何か手助けできないかとしているところなのだ。

「愛ですわ」

「愛ですね」

「愛ー」

 神子たちの頷きあいに、さおりも混じることができた。

 愛だ。


「神子は……お役目を果たせば別に神殿に常駐しなくても良いのです」

 そして麗の説明の前に、もう一人説明があるとされた。

 もう少し《龍の眼》を詳しく話してほしかったが。何故梨璃が第一皇子の呪いを、などとか……。


 現れる時期は個人差があり、右目に現れ金色であるという。

 それくらいしかまだわからない。


「でも、しおりちゃんが入院中にもう一人増えたのー」


 それが先ほど一応お迎えしてくれた桂ノ院舞香(かつらのいんまいか)

 彼女の薄っすら金色に輝く髪からわかるよう、黄――榛家に縁の令嬢だ。

 ちなみに如何に黄の家であれ、瞳まで金に近い黄となるのはないらしい。それもまたこの国の不思議だが。

 髪は金になったとしても、瞳までは。


 やはり黄金は龍の瞳――その魂の《龍の眼》だけの色なのだ。


 舞香も本来は黄の家らしくか、黄に近い薄茶色の瞳をしていたらしい。まさに家の名らしい榛色だ。


 けれども彼女には《龍の眼》が両目に発現した、稀有な神子と――。


「鳴り物入りで神子になったくせに、あの子ったら……」

 高位貴族である蘭子は舞香ともやはり馴染みがあったようだ。

 神殿は神子の駆け込み先ではあるが、必ずしも神子のすべてが神殿に保護されるわけでなく。

 彼女のように望めば己の邸にそのまま住まうこともできる。

 神殿にお役目の時だけ訪れればよいのだ。

 

 それは先ほどの行動にても。

 彼女は景行がこちらにとどまらないと知ったら、さっさと帰宅した。

 どう考えても、狙いは景行。幼子な梨璃でもわかる。


 後にさおりは噂を聞く。


「《龍の眼》を失った神子より、両眼ともな神子の方が皇子妃に相応しいのではないか」


 そんな噂が己の入院中より流れていたことを。



 厨二病だよと指ささないでね!w

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