仲間
俺は一瞬で追い詰められ、尻もちをついて命乞いをしていた。
「結局口だけか⋯⋯こんな丸腰どころか全裸のおっさんに手も足も出ないなんて、弱いにもほどがある。なんだお前。こわ。この弱さで喧嘩売ってくんのこわ」
クソ⋯⋯言いたい放題言いやがって! 神さんよ! チートスキルとか無いんけ!!!
『あるっス』
あるなら出してよ神えもん!
『ゲボ』
え?
『を飲むと』
あ、文字数制限で少しずつしか喋れないってやつ? ⋯⋯ゲボを飲む?
『回復』
ゲボを飲むと回復!?
『そう』
それチートスキルか!?
『そらそうよ、普通ゲボ飲んだらダメージ食らうじゃん? ダメージ受けるはずのもので回復できるなんて最高の能力だと思うけどね痛たたたたたたたたたたたたたた』
喋りすぎると痛むんだ。
「もういい?」
「え?」
「殺していい?」
おっさん怖!
「ちょっとそれは⋯⋯」
「じゃあ金かビデオデッキ引き取りの二択」
「それもちょっと⋯⋯」
「おかしいだろ! 金ないのはしょうがないとして、引き取り拒否は狂ってるって!」
「でも⋯⋯」
「でも何だ!? お前の中ではビデオデッキを引き取るより死ぬほうがマシなのか!?」
「いや⋯⋯」
「もういい。楽にしてやる」
はわわわ(。> ω <。)ちぬー!
その時だった。俺の目の前に、札束を持った腕が現れた。
「間に合ったようじゃな」
ジジイ! 助けに来てくれたのか!
「この180万で許してはくれぬかの」
「許しますよ。許しますけど、あなたはそれでいいのですか」
「仲間のためじゃ」
「長老⋯⋯」
長老?
「彼は勇者なのじゃ。彼無くしては魔王は倒せん」
「まぁ、あなたがそう仰るのなら⋯⋯」
やっぱ魔王いるんだ。
ということで、示談交渉人のおかげでなんとか和解した。
「そういえば、あいつとの転生合戦は済んだの?」
「キリが無かったんでの、半殺しにすることでその無限ループを止めたんじゃ」
「年の功ってやつだね」
「じゃの」
それにしても、ジジイは何度も転生してるのにチートスキルは貰えなかったんだろうか。1回の俺が貰えてるのに、ジジイはナシなのか⋯⋯?
『ない』
ないんだ。
まあ俺もあるとは言えないけどな⋯⋯キモいし弱いし⋯⋯
『え? でももし傷を負ってもゲボ吐いて飲めばその場で復活できるんだよ? めちゃ強くね痛たたたたたたたたたたたたたたたたたたた』
なんで毎回痛い思いしてまでゲボスキルの肩持つのよ。
あー、それにしても喉渇いたな⋯⋯
「おい勇者! 待つガリよ!」
NPCかと思っていた痩せ型の村人(?)が話しかけてきた。前から。
「警察呼んだから、来るまで待つガリよ」
「え? 俺なんかしました?」
「自分の胸に聞いてみるガリよ!」
「ジジイ、俺なんかしたかな」
「胸に聞けと言ってるガリ!」
「ガリガリうるせぇ!!!!!」
「ガ⋯⋯ガ⋯⋯」
ガリは驚いたような顔をしたまま、大きな口を開けながら後ずさった。
「なに被害者面してんだよガリガリ野郎。そっちが絡んできたくせによぉ」
「侮辱罪も追加ガリよ!」
「何に追加なのかって聞いてんだよ!」
「分からんのう」
「返事遅っ!」
\( ´・ω・`)┐しゅたっ
口喧嘩を仲裁するように、そいつは現れた。




