世間知らずなお嬢様がホテルで〇れまくり!
疲れる。森の中って足場が悪いんだなぁ。はぁ⋯⋯あ、すき家ある。森の中にもあんだね。この世界に吉野家はないのかな。松屋も。
『あるよ』
あ、神の声だ。こんな雑談も拾ってくれるんだね。
『ウス』
チャラくない後輩だ。
「いらっしょァ〜い〜! おいしいおいしい牛丼はいかがかね〜!」
すき家の外ではちまきを巻いた坊主のおじさんが呼び込みしている。こんなタイプのすき家見たことないんだけど。
「おっ!」
あ、見つかった!
「おにいさん1杯どっすか」
キャッチになった。
「さっき食べてきたばっかなんで」
「でもそれ牛たまかけ朝食でしょ? こっちではまぐろたたき丼食べていきなよ!」
「なんで知ってるんですか!?」
「こっそり見てたから」
何人いたんだよ! あの店に!
「もう、いいんで! あんまりしつこいと本社にクレーム入れますよ!」
「たいへん失礼いたしました」
おじさんはそう言って切腹して死んで3メートルくらい東に転生した。まだ満車なんだな。
しばらく歩くと、ビデオテープが落ちていた。背表紙には手書きで「世間知らずなお嬢様がホテルで〇れまくり!」と書かれていた。AV⋯⋯?
見たいけど、今どきビデオデッキなんて⋯⋯あ、落ちてるわ。なんでビデオデッキまで⋯⋯
でもテレビが無いんだよなぁ。
まあいいや、とりあえずビデオデッキも貰ってこ。怒られたら返そ。
またしばらく歩くと、民家があった。人殺しのいる森に住んでて怖くないのだろうか。
と思いながら通り過ぎようとしたところに、ちょうど少女が出てきた。この家の娘さんだろうか。だろうな。
「まあ、勇者様!」
なんでみんな見ただけで分かるの? 俺の顔になんかついてる?
「ビデオデッキなんて持って、一体どこへ?」
「ああ、いえ⋯⋯これはまぁ、アレでして」
「アレ?」
AV拾ったなんて言えるわけないよな。
「アレはアレです。あのアレです」
「よく分かりませんがとにかくお入りください。あったかいコンポタ出しますよ」
「コンポタ!?」
女神じゃん!
ということで上がらせてもらうことにした。家の中はジメジメしていて、とてもこんな娘さんが住むようなところとは思えなかった。あとなんか臭い。風呂入ってないおじさんの臭いがする。風呂入ってないおじさんが父親か?
「ご無礼」
そう言いながらタオルを持った全裸のおじさんが歩いてきた。風呂上がりのおじさん? じゃあこの臭いは一体⋯⋯
「どうぞお繋ぎください」
テレビあるんかい。こんな森の中のジメジメした家に。
「お、ビデオデッキじゃん」
おじさんが若干高テンションで言った。こっちでも今は使われていないのだろうか。
さて、どうしたものか。父娘の前でAVなんか見れるわけないが⋯⋯
「よし、できたぞ!」
いつの間にかおじさんが裸のままビデオデッキを繋いでいた。ヤバい、この中にはすでにあのビデオが! 裸のおじさんには刺激が強すぎる! 娘の前でとんでもない姿を晒すことになるぞ!
という展開は面白いので、阻止することなく見守った。どうせ俺関係ねーし。おじさんが気まずいだけだし。勝手にやるから悪いんだ。知らね〜。
「ミカです。18歳です」
ホテルで女性が自己紹介している。周りにはパンツ一丁の男が6人。しかも個人撮影っぽい。これはなかなか⋯⋯
「おりゃあ!」
突然、ミカが1人の男の顔を殴った。
「ぐぁあ!」
その場に倒れる男。
「でやあ!」
間髪いれず蹴りをお見舞いするミカ。なにやってんの?
「トウッ!」
飛び上がって
「必殺! トルネードキック!」
回転しながら男性陣を次々と蹴り倒していく。マジでなにやってんの?
「ハァ! ほい! オラァ!」
殴る蹴るのオンパレード。男性陣は反撃しない。
「なぁ勇者くん、これはいったい何なんだ?」
「俺も分かんねっす」
世間知らずなお嬢様がホテルで〇れまくり⋯⋯もしかして、〇には「暴」が入るのか? マル暴⋯⋯? なんなんだよこのビデオ!
それから1時間ほどミカが暴れて映像が止まった。
「なんだったんだ⋯⋯勇者くん、エロシーン0じゃないか。せっかく全裸のままで見たのに。風邪引いちゃうよまったく」
俺が悪いの? ていうかAVだと思って見てたのかよ。
「面白かったですね」
この娘は暴力が好きなようなので暴力が支配する世界に行けばいいと思う。あったよね?
さてどうしましょう。どこに向かえばいいのか分からないけど、とりあえず俺は勇者なわけで、勇者がいるなら魔王がどこかにいるわけで、もしいなかったとしても人語を喋るドラゴンとかがいるわけで⋯⋯
「ということで、お邪魔しました」
「いやいや、ビデオデッキ持ってけよ。こんなデカいもん置いてくな」
「でもそれ俺のじゃないんですよ」
「じゃあ泥棒じゃねーか!」
「いや、返すつもりでした」
「嘘つけ! うちに置いていこうとしてただろ!」
「嘘つきは泥棒の始まりって言うじゃないですか」
「すでに泥棒だから嘘つくのは当たり前だとでも?」
「そうです」
「お前本当に勇者か?」
「らしいですけど」
会う人会う人に疑われるけど、確かに俺、本当に勇者なのか?
『っス』
「やっぱり勇者だそうです」
「どういう結論!?」
「なんか神様が言ってるんで」
『神』
「神が言ってるんで」
「わざわざ呼び捨てに言い直すのなに?」
「頭の中に直接語りかけられて訂正されたんです」
「ヤバいクスリとかやってる?」
「パブロンを少々」
「パブロンは俺も飲んでるわ。ガスター10も飲んでる」
「それでは、さようなら」
「おい! せめて処理代置いてけよ! 粗大ゴミだぞこの大きさは!」
「そのうちジジイが通ると思うんで、彼に請求してください」
「え!? 朝ごはん奢ってもらってゴミ代も払わせるつもりなのか!?」
「なんで知ってんのって!」
「こっそり見てたから」
「どいつもこいつもどうやってんだよ! 俺が鈍感なのか?」
「壁紙に隠れてた」
「めちゃくちゃ忍者だ」
「とにかく金置いてけ。それかビデオデッキ持ってけ」
「嫌です」
「嫌ですじゃねーんだよ! どっちか決めろ! 決めるまで行かせねーぞ!」
「そっちがその気なら、仕方ないですね⋯⋯結局コンポタも出してくれなかったし」
バトル開始!!!!!!!!




