男の戰い
『ということで、バトルが始まりました』
同意してないんだけどな。まあいつもそうか。
『それでは、お茶で勝敗を決めていただきます』
俺不利すぎない?
「よし、とびっきりマズい茶を入れてやろう」
そういう感じなんだ。不味いほうなら俺でもやれそうな気がする。といってもどうしたもんか⋯⋯あ、そういえばさっきからずっとうんこしたいんだよな。
『準備時間終わり! 両者茶を持って前へ!』
エスカレーターだから上と下しかないんだけどな。
「先攻はワシじゃな」
初耳。
「正露丸3個と、薬局で処方してもらったイカの塩辛を乾燥させたものと、自動車税の督促状と、奨学金の督促状と、裁判所からの手紙を煮出した茶じゃい!」
なんかヤバそう!
「粗茶ですが」
えっちょっと待って、なんて言って受け取ればいいんだっけ? どうしよ、
「そ、粗茶ですねっ」
「!?」
「すいません⋯⋯」
恥かいた。
けど、粗茶どころじゃないもの差し出してるんだから、今日に限っては「粗茶ですね」は相対的に褒めだろ。
「では失礼して、いただきます⋯⋯」ぞぞぞ
正露丸が強い。そのあとにイカの臭みがきて、後味がインクだ。
「結構なお点前で」
『次は世界一キモい男!』
世界一キモい男。
「粗茶ですが」
利休の真似をして、同じように手渡した。
「むむっ、茶色とな!? これはほうじ茶ということか⋯⋯?」
受け取る時、特に言うべきこととかは無いっぽい? ってこと?
「どれどれ」ずずず
いただきますって言った俺の方が偉い気がするんだが。
「!?」
お、ビックリしてる。
「なんだこれは! うんこじゃないか! ぺっぺっ! 食べられないものを出すんじゃない! ぺっぺっ! 審判! 彼を失格にしなさい!」
失格だと!? ⋯⋯になるとどうなるんだ? そもそも負けはどうなるんだ? 勝ちも。
『うんこ茶ねぇ⋯⋯まぁ、重要書類3種に比べたらまだ食べ物寄りなんじゃないの?』
ほんとじゃん。
『ということで、利休失格! 鬼のエサ!』
鬼のエサ!?
「やめてくれえ! 死にたくない! 死にたくないえやす!」
いえやす?
『敗者に言葉はいりません。そーれ!』
「はうっ!」
念力のような力で利休は宙に浮き、鬼の口へと放り込まれた。怖すぎるんですが。
「ポリポリポリ」
プリッツと同じ音で食べてる⋯⋯
「うんこの味がする」
俺のせいだ⋯⋯
「ゲ〜ップ」
ゲップするほど食ってないだろ。人間で言ったら塩1粒くらいだぞ。
『それではそのままの姿勢でエスカレーターをお昇りください』
長いよなぁ⋯⋯
マンネリしちゃうよなぁ⋯⋯




