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宇宙開発、始めました。~はやぶさよりも遠いところに~

作者:SCB
目を覚ました瞬間、俺は玉座の間のど真ん中に立っていた。
頭の中はぐちゃぐちゃで、最後の記憶は——
ロケット試験場での爆発事故だけだ。

「……ここは?」

周囲には武装した騎士たち。
そして、玉座から鋭い視線が俺を貫く。

「名を名乗れ、異界の者よ」

王だ。
圧がすごい。膝が勝手に震える。

「ゆ、悠真……です。日本から……きました」

「ニホン? 聞かぬ地名だな」

王は小さく息を吐き、冷徹な目を細めた。

「——余は、お前を裁く。」

「えっ、いや待っ——」

「この国は、月に眠る“膨大な魔力”をめぐって滅びかけておる。」

王の声が玉座の間に響く。

「魔力は軍事の要。ゆえに各国は宇宙を目指すが、
魔力層のせいで高度三十キルほどで機体は墜ちる。
王国のロケットは十七度連続で爆発した。」

(……やたらリアルな数字だな)

「しかし、お前は異界より現れ、奇妙な鉄の板——
“パソコム”なる道具を持っていた。
これが宇宙開発の鍵になる、と余は見た」

(パソコンか……ちゃんと転がってる……!)

王は立ち上がり、玉座の階段をゆっくり降りてきた。

「命じる。
この国の宇宙開発を成功させ、月の魔力を確保せよ」

「……成功、しなかったら?」

王は振り返りもせず、淡々と言った。

「その時は——その場で処刑する」

玉座の間が静まり返る。
呼吸するのも忘れ、俺は固まった。

「……マジかよ……」

王は振り返り、わずかに口の端を上げた。

「異界の技師よ。
死にたくなければ、月を取ってこい」

その一言で、俺の異世界生活と、死と隣り合わせの宇宙開発が始まった——。
EP1 転生
2025/11/14 10:18
EP1.5 尋問
2025/11/14 12:58
EP2 謁見
2025/11/14 13:34
EP3 プレハブ
2025/11/15 21:47
Ep3,5
2025/11/21 17:12
EP4 前夜
2025/11/25 16:55
EP4.5 
2025/11/30 09:00
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