第四話 次の日の期待
次の日の朝。
目が覚めたとき、ふと思った。
――今日も図書室に行ったら、星影さんに会えるかな?
そんな期待が胸の奥にひっそりと芽生えていて、僕はまた朝早く家を出た。
最近、星影さんを見ていて気づいたことがある。
週四日は朝から学校に来て、途中で帰ることがあっても、木曜日だけは昼から来るか休むことが多い。
――今日は水曜日だから、たぶんいるだろ。
そう考えながら駅から歩き、図書室へ向かった。
けれど、そこには誰もいなかった。
――さすがに毎日来るわけじゃないか。
少しだけ肩が落ちたが、気を取り直して窓際の席で勉強を始めた。
それから数分ほど経ったころ。
図書室のドアが静かに開く音がした。
僕は気にせずノートに向かっていたが、気配が近づいてきて、声がした。
「あれ? 岡部くん?」
一瞬誰かわからなかった。
けれど振り返って顔を見た瞬間、それが星影さんだとすぐにわかった。
「星影さん?」
僕がそう答えると、彼女は昨日よりも少し柔らかい表情で、
「おはよう」
と言った。
「おはよ~」
彼女は僕の机に視線を落としながら聞いてきた。
「今日も教室から逃げてきたの?」
「まぁ……そう、だね」
曖昧に答えたのは、理由が一つじゃなかったからだ。
朝の騒がしい教室が苦手というのもある。
でも、今日ここに来た一番の理由は――
――星影さんに会えるかな?って、思ったからなんだけど。
心の中でつぶやいたつもりだった。
なのに。
「えっ?」
星影さんが驚いたように僕を見つめていた。
僕は息を飲んだ。
「もしかして……今の、聞こえてた?」
「……うん」
彼女はほんのわずかに頬を赤くして、小さくうなずいた。




