第97話 「葛藤の深まり、囁く影――ルシアの暗躍」 ――“もう、戻れないの……?”
◆Aパート:夜のすみれ、ひとりの夢の中で
窓辺に立ち尽くす、月の光に照らされた少女。
すみれは自室のカーテンを開けたまま、夜風に髪を揺らしていた。
すみれ(……ユウトくんと話せて、少しだけ、救われたのに)
その心の奥底には、まだ拭いきれない違和感が残っていた。
「あのとき確かに感じた、“甘美な衝動”」
――あれは、自分の中にあったはずのないものだった。
そして――また、夢の中に“あの声”が忍び込んでくる。
???「優しさだけで、彼は守れない。
あなたはもう、選ばれる立場じゃなくて……選び取る者になったの」
すみれ「だれ……なの……?」
???「その問いに意味はないわ、すみれ。
あなたはもう、“始まりの器”なんだから」
◆Bパート:ルシアの接触
一方その頃。
放課後の空き教室にて、ルシアは書類を整えるふりをして一人の女生徒に近づいていた。
ルシア「ねえ。貴女、最近“すみれさんの様子”……気づいてる?」
それは、すみれと親しかったクラスメイトのひとり。
突然の問いに戸惑いながらも、彼女は頷く。
女生徒「……うん、前より……すごく、表情が綺麗になった。だけど、怖いくらいに」
ルシア「やっぱりね。じゃあ、これは“記録”としてもらっておくわ。
……参考になるから」
その言葉には、まるで科学者のような冷たい無機質さがあった。
――彼女の“感情干渉”は、すでに水面下で始まっていた。
◆Cパート:イオリの違和感
その夜、イオリは一人、PCの画面を見ながら思索していた。
イオリ(……すみれ。あの目、明らかに以前とは違う)
データでは説明できない“感情の揺れ”
自分が信じていたロジックが、少しずつ軋んでいく。
イオリ「……私も、そろそろ決断しないと。
知性だけじゃ、彼を守れないのなら――」
◆Dパート:そして、また“囁く声”は続く
???「すみれ。あなたのための世界を、彼が壊そうとしている」
すみれ(……やめて……! そんなの、望んでない!)
???「でも貴女は、あの時、感じたはずよ。
“支配する快感”を。――“愛される”より、“従わせる”悦びを」
すみれ「私は……そんな……!」
手を伸ばしても届かないユウトの幻影。
すみれはただ、闇の中でもがく――。




