第95話 「密室恋愛哲学問答回」 ――この密室で、“好き”の定義がぶつかり合う。
◆Aパート:ユキの部屋。侵入者、次々
ユウトの袖をつかんでいたユキの手が、ドアの音でビクリと震える。
そして――ドアが**バンッ!**と開いた。
イオリ「予測通りね、ここだったわ。ユウト、説明をお願い」
真昼「っていうかさ、その距離感なに!? 完全に“アレ”でしょ! その、アレ!!」
アリサ「まずは状況整理から始めようか。なにがどうしてこうなった?」
ユキ「うーん……なにがって、“自然”にここに来ただけだけど?」
完全に包囲されたユウトは、あたふたと逃げ場を探すが、
もはや全方位ヒロイン布陣で完全に詰んでいる。
◆Bパート:それぞれの“恋愛論”
テーブルを囲んだ密室空間で、誰かが言う。
アリサ「まず定義からいこう。“好き”って、どういう状態のことを指すの?」
イオリ「論理的整合性でいくなら、一定の条件下で繰り返し発生する感情と、行動の一致……」
真昼「やっかいな言い回しはやめてよ。“好き”って、心臓がぎゅってなるやつでしょ!」
ユキ「わたしは、なんかね、ふとしたときに『あ、この人がいればいいや』って思うのが“好き”かな~」
それぞれ違う“恋の形”。だが、全員が同じ相手=ユウトを見つめている。
◆Cパート:ユウトの内心モノローグ
(やめてくれ、ここで恋愛論議が始まるなんて予想してなかった……)
(でも――)
(それぞれ、真剣なんだ。俺との距離、俺との“これから”を本気で考えてて……)
ユウトはふと、ユキのココアに視線を落とす。
(こんな何気ない時間も、誰かにとっては“勝負の一手”なんだ)
◆Dパート:イオリ、決壊しかける
会話が白熱する中で、イオリの目が潤んでいるのにユウトだけが気づく。
イオリ「……言いたいことがあって、でも、言葉にしようとすると、全部壊れそうで……」
彼女の知性の仮面が、わずかにヒビを入れる。
アリサも、真昼も、気づく。
真昼「イオリ……?」
イオリ「なによ……私だって……本当は……触れたいに決まってるじゃない……!」
――場が静まり返る。
そして、ユキがそっと呟く。
ユキ「……やっぱりさ、“好き”って、隠してられないものなんだよ」




