第94話 「ねぇ、自然にすればバレないって……言ったよね?」
◆Aパート:文化祭準備の帰り道
日も落ちかけた放課後。
ユウトとユキは、文化祭の後片付けの買い出しを終えて一緒に歩いている。
ユキ「えへへ、ユウトくん、今日はありがとねー。荷物、重くなかった?」
ユウト「まあ、これくらいは全然平気だよ。ユキもよく頑張ったな」
にこにこと微笑みながら、ユキは突然、ユウトの袖を軽く引っ張る。
ユキ「ねぇねぇ……ちょっと、手、つないでもいい?」
ユウト「え? いや……でも、別にそんな……」
ユキ「自然にすれば、バレないよ?」
ユウトが何か言う前に、ユキはふわっと手を絡めてくる。
指先が触れたその瞬間――ユウトの動きが止まる。
ユウト「……ユキ?」
ユキ「……今日はね、“ふつうの女の子”でいたいだけだから」
◆Bパート:穏やかな帰り道、でも確信犯
手をつなぎながら歩く二人。
ユキはぽやっとした笑顔のまま、しかし確実に歩幅を合わせ、ユウトに寄り添ってくる。
ユキ「みんなが、難しい顔してるからさ。あたしぐらいは、ふつーでいようかなって」
ユウト「……」
ユキ「でもね、“ふつう”の中に、“特別”ってあるんだよ。たとえば――」
彼女は、ふと立ち止まり、ユウトの顔をまっすぐ見上げる。
ユキ「……一緒に家、寄ってく? ココア、入れるよ?」
ユウト「……えっ」
◆Cパート:静かな“既成事実”の罠
ユキの部屋。ほんのりあたたかい空気と、甘い香り。
ユウトは少し緊張しながら、ソファに座っている。
ユウト「……本当に来ちゃってよかったのか?」
ユキ「うん。だって、ユウトくん“断らなかった”し」
ユキはマグカップを手に、隣に座ってくる。
ソファの幅が狭く、自然と身体が密着する距離に――
ユキ「……ねぇ、たとえば“事故”とかって、自然に起きるものなんだよ」
ユウト「え?」
ユキ「たとえば……こういうのとか」
ユキが、ふわっとユウトの肩にもたれかかる。
ユキ「ね、バレてないでしょ? 二人きりだし……」
◆Dパート:そのとき、玄関のチャイムが鳴る――!
ドキリとした空気。
ユウトが慌てて立ち上がろうとすると、ユキはそっと腕をつかむ。
ユキ「待って、まだダメ。……あたし、今、止まれないから」
チャイムの音。再び鳴る。
??「ユウトくん、いるの!? 開けなさい!!」
ドアの向こうから、イオリの鋭すぎる声。
続いて、
??「まーた“ぽやぽや作戦”!? わたしも入る!!」(真昼)
??「恋愛の定義について、説明を要する事態だと思います」(アリサ)
一斉に押し寄せてくるヒロインズ!




