第87話 「“転校生”ルシア・ベルフェゴール――黒幕ヒロイン、登場」
◆始まりは、ふわりと優しい風のように
文化祭が終わり、ユウトたちは束の間の静かな日常を取り戻していた。
教室も、どこか気の抜けたような空気が流れていた……その時。
ガララ――。
教師「紹介する。今日からこのクラスに転入してくる……」
???「ルシア・ベルフェゴールです。よろしくお願いしますね、皆さん」
ゆるく巻いた銀白の髪。透き通るような瞳。柔らかく上品な微笑み。
空気が、一瞬止まる。
男子A「な、なんだこの雰囲気……」
女子B「なんか……天使みたい……」
だが――ユウトの背中に、ぞわりと冷たいものが走る。
ユウト(この気配……どこかで――)
◆交差する視線、そして“思い出せない記憶”
ルシア「隣、空いてますか? ねえ、ユウトくん」
ユウト「……!」
まるで当然のように名前を呼ばれた。なのに――
ユウト(……誰だ? でも、初対面な気がしない)
ルシア「ふふ、昔どこかで会ったかもね。……覚えていなくても構わないけれど」
それは優しい声。けれど、“隙”がない。
まるでこの教室に最初からいたかのような存在感。
◆放課後――ヒロインたちの本能が反応する
イオリ「……どう思った? あの女」
真昼「なんかね、笑ってるのに……全部、計算されてる感じがしたの」
ユキ「うん。“わたしたち”が近づいた瞬間、ほんのちょっと、目が鋭くなった……気がした」
彼女たちは気づいていた。
「敵意」ではない。“自信”でもない。“完全な掌握”。
ユウト(ルシア……一体何者なんだ……)
◆夜、ルシア独白――
ルシア(観察完了、と。ユウトくん……“変わってない”ね)
ルシア(本当に純粋。だからこそ、壊し甲斐がある)
ルシア(そして――あの子、すみれ。あれほどの“感情”は、めったに見られない)
彼女は、仮面の下で笑う。
ルシア(さあ、もっと見せて。もっと“恋をして”、もっと“壊れて”)
ルシア(私はその全部を、記録して、“完成”させるから)




