第86話 「囁く声――すみれの奥底に潜む“本当の悪魔”」
◆後夜祭の終わり、そして静寂
文化祭の喧騒が去った夜。
生徒たちは思い思いに余韻に浸り、
ユウトたちも、それぞれの想いを胸に次の日常へと戻っていこうとしていた。
すみれも、保健室のベッドで眠っていた。
穏やかな寝息。落ち着いた鼓動。
けれど――彼女の意識の奥底では、**別の“何か”**が目を覚ましていた。
◆暗闇の中の囁き
???「――楽しかった?」
すみれ(……だれ?)
???「“恋”って、本当にそんなに素敵なもの?」
すみれ(あなたは……誰なの?)
???「わたしは、ずっと君の中にいたよ。
君が『怖い』『奪われたくない』って思った瞬間から――ね」
すみれ(……あなたが……わたしを“変えた”の?)
???「変えた? いいえ。
引き出しただけ――君の中にあった“本物”を。」
◆“力”はまだそこに
すみれ(……あれは、わたしの中に……ある?)
???「消えてないよ。
むしろ、君が“本当の想い”に目覚めれば目覚めるほど、
力は濃く、純粋になっていく――」
???「だってそれは、“真実の愛”に近づいてる証だから」
低く、甘く、優しいようで残酷な声が続く。
???「だから選んで、すみれ。
このまま“人間”でいるか、
それとも――“愛”のために、“全て”を受け入れるか」
◆目覚めの瞬間
バッ!
すみれ「っ……!」
目を覚ましたすみれ。額には冷たい汗。
イオリ「……起きたのね。ちょうど、様子を見に来たところだったわ」
すみれ「……うん、ごめん。少し、変な夢を見てた」
イオリは目を細め、そっと問いかける。
イオリ「……“声”を、聞いた?」
すみれ「……!」
イオリ「やっぱり。やはり“外部の干渉”があったのね。
あなたがあれほどまでに“魔力の深部”に接触できるわけがないと思ってた」
すみれ「……じゃあ、あれは……私の気持ちだけじゃ、なかったんだ……」
イオリ「気持ちは本物よ。けれど、それを**“利用した存在”がいる**」
◆終章:新たな気配
その夜。
誰もいない学園の裏庭にて――ひとつの影が、空を見上げていた。
???「……さあ、目覚めなさい、“器”たち。
あなたたちの想いが熟す時――“真の世界”が開く」
長い白髪、歪んだ笑み。
その目は、すみれたちの恋と戦いをずっと見つめていた。
???「“恋”とは、最も効率的に人間を“壊す”装置なのよ――
面白くなってきたわ、ユウトくん」




