第78話 「告白できなかった、それぞれの理由」
◆文化祭・閉会式後
祭りの終わり。
余韻が残る教室。片付けが始まり、みんなが笑い合うなか――
ヒロインたちの心は、どこか重かった。
【イオリ】――分析と感情の狭間で
イオリ(タイミングは完璧だった。演出も、論理的に見ても“好感度最大値”。……それなのに)
けれど、ユウトの表情を見た瞬間。
「今は、受け止めきれない」
――そんな気がして、口が動かなかった。
イオリ(感情は、理屈を超えてくる)
【真昼】――強気なはずが、あと一歩が怖かった
真昼(ここでキスすれば、終わっちゃう気がした。私の“告白”が、ゴールみたいになっちゃいそうで――)
「もっと一緒にいたい」
「まだ、君を知りたい」
「だから今は……まだ、言わない」
それは強さではなく、弱さゆえの保留だった。
【ユキ】――ぽやっとしてるけど、実は本気で
ユキ「……えへへ、タイミング、逃しちゃった」
でもその笑顔は、少しだけ曇っていた。
「今日も言えなかった」
「でも……明日こそは、ちゃんと」
彼女は、いつか自然に言える未来を信じていた。
◆そして、すみれ
文化祭の帰り道。
ユウトとすみれは、誰もいない坂道を歩いていた。
あたりはもう夕闇に包まれている。
すみれ「……楽しかったね、今日」
ユウト「ああ。みんな、すげーがんばってたし」
すみれ「ねえ、ユウトくん」
立ち止まり、振り向くすみれ。
「今日、一番楽しかったのは……“ユウトくんと一緒にいられたこと”だよ」
第79話
「覚醒の兆し、そして――」
その瞬間、すみれの目が少しだけ赤く光る。
ユウト「……すみれ?」
すみれ「……あ、ごめん。ちょっと疲れちゃったみたい」
微笑む彼女の背後に、見えない“黒い影”がふわりと揺れる。
◆夜、すみれの部屋
鏡の前で――
すみれ(わたし、あんなに……“幸せ”だったのに)
『それで満足? 手に入らないままで?』
耳元で、“声”が囁く。
『あの子たちは、動いた。君だけが、立ち止まった』
すみれ「……違う……わたしは……っ」
でも鏡の中の“もうひとりの自分”が、赤い瞳で微笑んだ。




