第74話 「文化祭準備、恋の布陣」
◆文化祭前日・午後、体育館
体育館では装飾班が入り乱れ、クラスごとの出し物の準備で大忙し。
ユウトのクラスは「異世界カフェ」。
衣装係・料理係・小道具係――そのどこにいても、なぜかヒロインたちの誰かが常にユウトのそばにいる。
◆ラブ混戦布陣(順番制)
【午前中】ユキ → 飾りつけ中に“偶然”手が触れたり、衣装合わせで距離近し。
【昼前後】真昼 → 給水係に名乗り出て、ユウトの喉を潤しながら「頑張ってるご褒美」を要求。
【午後】イオリ → シフト管理担当として「計画通り」と言わんばかりに隣をキープ。
そして…。
◆すみれ、掃除道具の陰で見ていた。
ほうきを握りしめたまま、ただ見つめていた。
ユウトが笑っている。
…その横に、誰かが必ずいる。
すみれ(…わかってる。あたしなんかじゃ、隣に立てるはずないって)
けれど胸の奥が、焼けるように疼いた。
その痛みが、“かつての悪魔”に繋がる糸を――静かに、たぐっていく。
◆イオリ vs 真昼 vs ユキ の三すくみ恋愛論バトル(準備中)
イオリ「“恋の好機”とは、計画と意志の結晶。偶然は甘えよ」
真昼「はいはい、でも偶然のドキドキが一番“好き”に直結するんだよ?」
ユキ「んー……私は、ユウトくんが“自然に笑う時”を見たいだけかな……」
(女子たちの恋愛アプローチが三者三様に炸裂するが――)
◆すみれ、ゆっくりと視界が赤く染まる
生ぬるい気配。
肌の奥が、黒く蠢く。
すみれ(やめろ、来るな……“あたし”じゃなくなる)
誰かの幸せを願う心が、誰かを妬む黒に塗り潰されていく。
――でも、手放したくない。
あの人の笑顔を、もう二度と。
第75話
「すみれ、抗う。欲望と理性のはざまで」
◆放課後、準備が終わった教室
ユウトは偶然、残っていたすみれと二人きりになる。
すみれ「……あたし、何でここにいるのか、わかんない」
ユウト「すみれ?」
すみれ「みんなみたいに可愛くもないし、頑張り方もわかんないのに……なんで、こんなに、苦しいんだろ」
(彼女の背後、わずかに“黒い炎”が立ち上る)
ユウト「……すみれ、君は――」
その瞬間。
すみれの目が揺れる。
中に潜む“もうひとつの何か”が、ユウトに気づいた。
◆ユウトの声が、すみれの闇に触れる
ユウト「俺は……たぶん、“恋”が怖いんだ。誰かを選ぶってことが、誰かを傷つけるって……ずっと思ってた」
すみれ「……」
ユウト「でも、すみれが笑ってると、俺、嬉しかったよ。昔も、今も」
その言葉が、確かに“悪魔”の力を押し返した。
すみれ「――バカじゃないの」
でも、すみれの瞳には、光が戻っていた。




