第67話 「告白、寸止めの連鎖。そして、すみれの闇が微笑む」
◆文化祭終盤――恋のカウントダウン
文化祭の陽光が傾き、校内に夕暮れの色が染みていく。
ユウトを巡るヒロインたちの「想い」が、一斉に臨界点を迎えていた。
◆ユキ編――“タイミング”が怖くて
校庭の片隅、まだ人の少ない時間帯。
ユキ「ねえ、ユウトくん……聞いてもいい?」
ユウト「ん?」
ユキ「……あたしと一緒にいると、落ち着く? 楽しい……?」
ユウト「ああ、もちろん。ユキといると、なんか、時間がゆっくりになるっていうか」
ユキ「そっかぁ……じゃあね……」
(ユキ、言葉を止める。まるで“何か”が喉に引っかかったように)
ユキ(――でも、ここで言っちゃったら、“今”が終わっちゃう気がする)
ユキ「……ありがと♪ そういうの、大事だもんねっ!」
(微笑んでごまかす。その裏で、心臓の鼓動は“言えなかった言葉”を叫んでいた)
◆真昼編――“言葉”より先に、想いが漏れそうで
学園の裏庭。夕暮れの逆光が差す中、ユウトとふたりきり。
真昼「ねえ、ユウトくん。今日は、誰と過ごすのが一番楽しかった?」
ユウト「それを言わせるのはずるいな……でも、真昼のおかげでいろんな思い出ができたよ」
真昼「……そういう優しい言い方、ほんとずるい」
(真昼はユウトの腕をそっと掴む)
真昼「ねぇ……もう、わかってるでしょ? あたし、ずっと――」
(その瞬間、どこからか生徒たちの声が近づき、会話が遮られる)
真昼「っ……タイミング悪すぎる……!」
(握った手を離せずに、でも言葉にできなかった“本音”が真昼の胸で渦を巻く)
◆イオリ編――“分析不能な感情”
教室の片隅。すでに人影も疎らな時間。
イオリ「ユウト。あなたに、ひとつだけ訊くわ」
ユウト「なに?」
イオリ「私といるとき、どんな気持ちになる?」
ユウト「ん……なんだろ、安心するっていうか。頼れる、って感じかもな」
イオリ「……つまり、信頼はしてる。けれど、それは恋愛感情とは違う、そう?」
ユウト「えっ、それは――」
イオリ「……ごめんなさい。訊いた私が悪いわね」
(イオリの視線が揺れる。“知性”では処理できない“感情”が胸の奥に溢れかけている)
イオリ(私が一番正しく、私が一番合っているはずなのに――なぜ、心がざわめくの?)
◆そして――すみれの闇
夕焼けの屋上。柵にもたれるように佇む少女、すみれ。
風にたなびく髪。瞳はどこか、遠い場所を見ているようで――その実、地上の三人をしっかりと見下ろしていた。
すみれ「……誰も、言えなかったんだ」
(優しい笑み。けれどそこに、確かに宿る“黒い確信”)
すみれ「じゃあ――あたしが、全部もらっちゃってもいいんだよね?」
(次の瞬間。空気がわずかに歪む。微細な“魔の気配”が、すみれの周囲に集まり始める)
すみれ「だって、ユウトくんは――あたしを見てくれた。ちゃんと“ときめいた”」
(その声は甘く、優しく、そして――どこか狂気的)




