第58話 「逃避行と戦慄――恋と悪魔は背中合わせ」
◆【旧校舎・資料室】/逃避行中
ユウト「ここなら……誰も来ないはず」
すみれ「……びっくりしました。あんなに、みんな怖い顔するなんて」
ユウト「いや……ほんとに、すまん。お前が悪いわけじゃない」
すみれ(ふっと笑って)
「でも……ちょっと、うれしかったです。
だって、先輩が――“私を守ってくれた”みたいで」
(照れながら、そっと彼の袖を引く)
◆ 恋のつづき:すみれの心に火が灯る
すみれ「先輩って……優しいですよね。私、気づいたんです。
……あの時、走りながら、先輩の手が温かかったって」
ユウト「すみれ……」
(ふたりの距離が、そっと近づいていく。だが――)
◆ その時、空間が歪む
――ギイィッ……!!
(資料棚の影から、紫色の影が這い出す)
ユウト「っ、来たか……!」
すみれ「え……!? えええええええええっ!?!?」
◆ 悪魔:ランクC「煩悩の残骸」
影の悪魔「甘ったるい感情……吐き気がする。
この手で引き裂いてやる。すべての“恋”を……!」
ユウト(腰の魔剣を構える)
「……すまん、すみれ。少しだけ、ヒーローやらせてくれ」
◆ 戦闘:短剣と炎の剣舞!
ユウト「斬・零――!」
(短剣から迸る雷光。敵の攻撃を斬り裂き、すかさず接近)
悪魔「ぬ、なぜ“人間”がこの力を……!」
ユウト(低く呟く)
「……悪魔を斬るたび、俺は、少しずつ“お前ら側”に近づいてる。
でも――それでも、“守りたい”がある限り、俺は斬る」
◆ 戦闘終了、静寂
すみれ(震えながら)「……先輩、すごかったです……」
ユウト「……怖かったよな。無理させた。ほんとに、すまん」
すみれ(首を振る)「違います……。あの……
“かっこいい”って、思ってしまったんです。戦う姿……見てしまって、心が――」
(その言葉の続きを、すみれはまだ言えなかった)




