第41話 「この“△”の意味を……説明しなさい、今すぐ」 ――“最強の頭脳”崩壊前夜。
◆ 放課後、図書室にて
イオリ「“△”って何……?」
ユウト「えっ、あの、文化祭の……?」
イオリ「私は“×”ではなかった。けれど、“○”でもない。“△”……。
その符号の意味は――論理的に定義されていない」
(目の奥が、ギラついている)
ユウト「あ、いや、その……なんとなくっていうか……」
イオリ「“なんとなく”……?」
(顔がぐいっと近い)
イオリ「あなた、それを今、“意思決定に対する根拠”として使いましたね?」
◆ 知性の限界を超えて
イオリ「“なんとなく”という概念は、思考放棄です。
選択肢を前に、情報が揃っていながら“決めない”という態度は――最も非合理です」
ユウト「いや……でも、“好きかどうか”なんて、そんなすぐに答え出ないし――」
イオリ「それでも私は“好き”と明言しました! それを“△”で返すとは――!」
(震える唇、睨む目。だけど涙が滲む)
◆ 崩壊する知性
イオリ「……“好き”って、言ってはいけなかった?」
ユウト「そんなこと……ない。でも、俺……」
イオリ「じゃあ、どうして……△?」
(声が震える。プライドが折れる音がする)
イオリ「私は、計算して、分析して……“好き”の可能性を、99.7%まで絞ったのに」
イオリ「それでも、あなたにとって私は――“不確定”なんですか……?」
(静かに嗚咽が漏れる)
◆ ユウト、答えられない
ユウト「……俺がバカなんだよ。
“好き”って、決めるのが怖くて……」
イオリ「……」
ユウト「イオリの“好き”が、あまりに真っ直ぐすぎて、俺なんかが軽く答えちゃいけない気がした」
(それは真実だった。だが――)
イオリ「――バカですね、あなた」
(泣きながら微笑む彼女は、壊れていて、それでも美しかった)




