第37話 「その笑い、もう隠しきれない――アリサ、一歩前へ」
◆ 文化祭の終わり、夕暮れの屋上
喧騒のあとの静けさ。
学園の屋上に、一人たたずむアリサ。
自販機の缶コーヒー片手に、フェンスにもたれて――
「“勝負”とか“順位”とかさ、ぶっちゃけどうでもいいんだよ」
そう言って笑う口元は、いつものふざけた調子。
でもその横顔を見つめる、ユウトの眼差しは――
まるで見透かしているようだった。
ユウト「……それ、ほんとに本音か?」
アリサ「……っ」
(言葉に詰まり、口を閉じる)
◆ 仮面が剥がれた瞬間
アリサ「……あたしさ、バカなんだと思う」
ユウト「うん、まあ、今さらだけど」
アリサ「おいっ!? ……ちょっとは否定しろよ!!」
(ふざけ返そうとする――けれど)
ユウト「でも、本気で人のこと想えるやつは、バカじゃない」
アリサ「……」
その一言で、
アリサの目に光るものがにじんだ。
アリサ「なにそれ……ずるいよ、そういうの。
あたしより、“ふざけてないじゃん”……!」
◆ そして、一歩
アリサはそっと缶コーヒーをユウトの手に押しつける。
いつものように、明るい笑顔で。
でも――その手が、ほんの一瞬だけ、彼の手に触れた。
アリサ「……今度、ちゃんと伝える。
“ふざけなし”でさ。覚悟しとけよ?」
ユウト「お、おう……(ドキッ)」
アリサ「……なーんて、嘘だったらどうする?」
ユウト「……そのときは俺が、“ふざけ返す”さ」
アリサ「っ……ははっ、なんだそれ……!」
(でも笑い声の中に、確かな何かが芽生えていた)




