第36.5話 「バカだよな、あたしって――アリサ、ふざけ笑いのその奥で」
◆ 密室ローテ、終了後の教室裏
「……ははっ、マジでやっちまったな。
組手ってなんだよ、恋愛バトルでさ」
そう言って笑うアリサの顔は、
太陽みたいに明るくて、でもどこか――痛々しかった。
自分でもわかってた。
自分だけ、やり方がズレてた。
他の子は、言葉で。
触れ方で。
視線で、心をまっすぐ届けてた。
けどアリサは――
「怖かったんだよ、バカ」
◆ 本当は、ただ触れたかった
「“好き”とか言った瞬間、
それが嘘だったらどうしようってさ……
そしたら、もうふざけて誤魔化すしかねーじゃん」
床に座り込んで、天井を仰ぐ。
密室での10分、
ユウトに近づいて、ふざけて、笑わせて。
でもあのとき――
ほんの一瞬、手を伸ばしかけた。
けど、その手は空中で止まった。
アリサ(※心の声)
「この手が、本当に欲しいってバレたら……
“オマエらしくねーな”って、言われそうで」
◆ 書きかけの評価カード
アリサのポケットには、折り畳まれた評価カード。
そこに書かれていたのは、たったひとこと。
『……次、もっとちゃんとする』
けれど――
その紙の裏には、誰にも見せないもう一枚があった。
『ほんとは、隣でずっと笑っててほしい。オマエが』
『……それだけで、あたし、満点だったよ』
◆ 教室のドアの向こうで
ユウト(※ドアの影で偶然聞いてしまう)
「……アリサ……」
(アリサはまだ気づかない。
でも、その評価カードは、そっと回収ボックスに入れられた)




