第21話「感情という名のバグ――知性、恋に崩れる」
◆ プロローグ:夜の図書塔、孤独な少女
深夜の図書塔。
ホログラムに囲まれたイオリは、一人、分析結果を眺めていた。
イオリ(……やはり、あの時の心拍数の上昇は異常値。
“ただの興味”では、説明できない)
目の前には、ユウトとの記録映像。
イオリ「この距離、この視線、この声色……」
彼の何気ない笑顔――
「ありがとう、イオリ。お前と話してると、不思議と落ち着くな」
その一言が、何度も何度も、彼女の理性をかき乱す。
イオリ「“嬉しい”という感情が、これほど面倒だなんて……!」
◆ 翌日、知性の仮面にヒビ
翌朝。
いつも通りのテンションでユウトに話しかけるつもりが――
ユウト「お、イオリ。今日も来てくれて――」
イオリ「っ……あ、あの……きょ、今日は……」
言葉が詰まり、目を逸らす。
リリカ「ん? どうしたの、イオリン、赤いよ~?」
ユキ「彼女、動揺しています。論理的には“ときめき”ですね」
イオリ「と、ときめいてなどいない!! これは……一時的な知的過熱状態よ!!」
◆ ヒロインたちの“恋愛講義”
アリサ「そろそろ自分の気持ち認めたら? 恋してるって」
イオリ「否定するわ。わたしの知性は、そんな原始的な――」
ユキ「でも、あなた、昨日ユウトに“近すぎて心拍が跳ねた”と記録していたはず。
私の感情AIが解析したけど、それ完全に恋ですよ」
リリカ「ほらー、イオリンもついに恋の住人だ~!」
エルゼ「感情を知らぬ者が、愛を語る資格などない。だが……
知性を持った者が恋に落ちると、手強いな。こっちも燃える」
(ヒロインズによる“恋愛圧”がイオリを包囲)
◆ イオリ、ついに“知性”の限界へ
放課後。
ユウトと二人きりの研究室。
ユウト「最近……お前、ちょっと変わったよな。
前より……人間っぽくなった、っていうか」
イオリ「……っ、それは、劣化、という意味……?」
ユウト「違う。俺は、今のお前のほうが――好きだよ」
(沈黙)
イオリ「――“好き”?」
心音が、はじけ飛ぶ。
全ての計算式が、崩壊する。
◆ 知性、崩壊寸前
イオリ(だめ、だめ、だめ。論理が……計算が……
この感情は、拒絶しなければ……)
だが、気づけば一歩、彼に近づいていた。
イオリ「ユウト……あなたを“好き”になることは、理性的に考えて……ありえないはず、なのに……!」
ユウト「……それでも、今のお前は、ちゃんと“人間”だよ。
それだけで、俺は嬉しい」
その瞬間――
イオリ「もう……わたし、自分を解析できない……」
ふるえる声で、そう言った彼女は、
はじめて――ユウトの胸に、そっと頭を預けた。
◆ エピローグ:それを、見ていた者
図書塔の外、遠くからその光景を見ていた、ひとりの少女の影。
???「ああ、見つけた。やっぱり、あなたの隣は……腹立たしいほど、心地よさそうだね」
その瞳に、揺れる“黒い炎”。
新たな“恋の侵略者”の足音が、すぐそこまで迫っていた――!




