第10話「悪夢と純心と、選ばれるキス」
温泉での夜、俺――ユウトは、不思議な夢の中にいた。
浮かぶのは、見知らぬ空間。
空も地面も存在せず、ただ真っ白な世界。
(ここは……どこだ?)
「ここは“おまえの心”だよ、ユウトくん」
振り返ると、そこには見覚えのある少女。
――リリスだった。
◆ 心の迷宮
「これはね、あなたの心が作り出した精神世界。
ヒロインたちの想い、あなた自身の恐れ、全部ここに現れる」
リリスが指を鳴らすと、空間が変わる。
現れたのは、三つの“扉”。
一つ目は桜舞う教室
二つ目は雪原の図書館
三つ目は夜空に浮かぶ廃墟
「それぞれ、セレス・ユキ・リリカの“本心”と繋がってるわ。
……あなたの“本音”も、そこに映る」
◆ セレスルート(教室)
「ユウトくんっ……!」
扉を開けた先、そこには学生時代のままのセレスがいた。
「ねぇ、ユウトくん。昔みたいに……ずっと一緒にいられたらいいのにね」
「セレス……」
「怖いの。あなたが“誰か”に連れて行かれちゃうのが。
でも、わがままかな。あたし、いつも元気なふりしてるだけで――」
涙ぐむ彼女を、俺は思わず抱きしめた。
「わがままでいい。全部、受け止める」
◆ ユキルート(図書館)
「……来たのね、ユウト」
本を閉じて、ユキは静かに言う。
「私はね、愛するということが……よく分からなかったの。
でも、あなたに出会って、分かった気がするの」
「“守りたい”って、こういう気持ちなんだって」
「だから、あなたが誰かを選んでも……私は、ずっと味方でいる」
「でも、もし選んでくれるなら――“私だけ”を、見てほしい」
◆ リリカルート(廃墟)
「……あんた、来ると思った」
リリカは星空の下で、膝を抱えて座っていた。
「ねぇ、ユウト。あたし、ずっとバカにしてた。恋だの愛だの、くだらないって」
「でも、気づいたの。……あんたといると、胸が苦しくなる」
「それでも、“誰かと比べられる”のが、一番痛い」
リリカは、ぽつりと呟いた。
「……お願い。今だけは、あたしだけを見てよ」
◆ 選択の時
三人の想いが、俺の心を締めつける。
――誰かを選べば、誰かを傷つけるかもしれない。
だが、それでも。
「おまえのキスが、“心の鍵”を選ぶわ」
リリスが囁く。
「さあ、ユウト。“誰にキスするの?”」
◆ キス――そして覚醒
( )
( 俺が選ぶのは――)
※ここで読者選択 or シナリオ分岐可能。今回は物語進行上、選ばないという選択で進めます。
「……俺は、まだ誰も選べない」
「だって、みんな大切だから」
その瞬間、世界が白く染まる。
リリスは微笑みながら、後ろに下がっていった。
「ふふ……甘くて、優しい答えね。でも――だからこそ、危うい」
◆ 現実世界へ
「――ん、あれ……?」
目を覚ますと、俺は宿の布団の上だった。
そして……なぜか、左右にヒロインたちが添い寝していた。
「おはよう、ユウトくんっ♪」
「……おはよう」
「っ!? なんで私ここにいるのよ!?」
「おはようの意味が重すぎィィィィ!!」
● 次回予告風
キス未遂事件は心に波紋を残し――
平穏(?)な学園生活に戻ったユウトたち。
だがその裏で、次なる“堕ちた者”の気配が忍び寄る。
次回、第11話
「学園に現る“もう一人の俺”!? 二重人格と過去の罪」
心の迷宮は、まだ終わらない。
恋と闇の“真の始まり”が、動き出す。




