第1話 異世界召喚と、最初の悪魔退治
「はぁぁぁ!? なんで俺が異世界に飛ばされてんだよッ!」
目を覚ました瞬間、そこは見たこともない石造りの大広間。ステンドグラスの光が差し込む神殿風の建物には、ローブを着た人々がずらりと並び、俺――一ノ瀬ユウトを見下ろしていた。
「選ばれし勇者様! 世界を救ってください!」
ローブの最前列、妙にテンションの高い白髭の老人が、そう叫ぶ。
「……いや、選ぶ前にせめて同意とれよ!? サービス利用規約読ませろ!!」
異世界召喚ってこんな雑だったっけ?
スマホもない。ポケットにあったのは、よくわからない石ころと、なぜかステータス画面的な謎ウィンドウ。
名前:一ノ瀬ユウト
レベル:1
職業:???
スキル:なし
称号:異界の来訪者、魔性の器(NEW!)
「……最後のなんだ、魔性の器って」
なんか嫌な予感がした。
そのとき、建物が震えた。遠くから、獣のような咆哮。
「ユウト様、悪魔が……この神殿を襲ってきます!」
神官服の少女が叫んだ。金髪碧眼、たぶんヒロイン候補だ。名前は後で聞こう。
「ちょ、武器ないんだけど!」
「こちらに聖剣を!」
差し出されたのは――めっちゃボロい剣だった。
「なにこの“中古で2000円”みたいな見た目!?」
だが文句を言ってる暇はない。扉をぶち破って、黒煙を纏った巨大な悪魔が現れた。
「――ウゥゥ……人間……滅ス……」
「いや喋れんのかよ!」
剣を構える。なぜか体が自然に動いた。
「喰らええええええええッ!!」
気合と共に振り下ろす。剣が悪魔の腹を裂き、断末魔が響く。
倒した……はず、なのに――
スキル「魔喰い」発動。
悪魔の力を吸収します……
称号「魔性の器」により、能力値上昇+外見変化が発生。
魔性値:+5%
「……え?」
鏡のような破片に、自分の姿が映った。
右目が赤く染まり、頭に――小さな、黒い角が生えていた。
「…………は?」
とりあえず、神官少女が悲鳴を上げたのだけは覚えている。
(次回:悪魔を倒した代償と、少女たちとの運命の出会い!?)