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幼馴染にフラれた日、ヤケクソで助けた男の子の姉がクラスのお姫様だった 〜お姫様直々のプロデュースで、幼馴染を見返します〜  作者: 桜 偉村
第七章

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第75話 お姫様からの謝罪と、妹の異変

一昨日に投稿し忘れていました。すみません(>人<;)

本日の20:35にも、予定通りもう1話投稿します!

「お、劇場版の公開に合わせたのか。ちょうど良いタイミングだな」


 翔が帰宅すると、ちょうどテレビで、観に行く予定のアニメが一挙放送していた。


(前に少し見たくらいで、ちゃんとは知らなかったしな)


 リモコンを片手に、ソファーに腰を下ろす。

 予習というほど大袈裟ではないが、せっかくの機会なので、見てみることにした。


「あ、これ……」


 スマホを触っていた花音が、眉を上げる。


「花音も知ってるのか?」


 意外だった。

 男子が好む戦闘系のアニメには、あまり興味を示さないタイプだと思っていた。


「ま、まあ、クラスの男子が話してるからさ。……というか、いきなりセンターパートなんて、どうしたの?」

「気分だよ」


 翔のではなく彩花の、だが。


「もしかして、彩花さんに?」

「っ……遊ばれたんだよ」

「ふーん?」


 花音は意味ありげに語尾を上げた。

 が、深く突っ込んでくることはなく、そのままテレビに向き直った。

 彼女も見るつもりらしい。


「映画やってるんだよね。誰かと行くの?」

「友達と行こうかって話にはなってるけど」


 買い物にも行ったし、勉強も一緒にしている。

 彩花のことを「友達」と呼んでも、文句は言われないはず。

 あまりしっくりはこないが、それは、これまで「女友達」という存在が身近にいなかったからだろう。


「そういうお前は?」

「まあ……クラスメイトと見に行こう、って話が出てるくらい」

「そうか」


 わざわざ「友達」ではなく「クラスメイト」と言ったのが、少し気になる。

 花音はいつも、前者を使っているはずだ。


 気になったが、花音はどこか眉を寄せていて、触れてはいけない雰囲気もあった。

 デリケートな話題かもしれない、と判断して、翔はそれ以上を聞かないことにした。




◇ ◇ ◇




 一挙放送の途中、トイレに立ったついでにスマホを見ると、彩花から電車の時間と号車の情報が送られてきた。

 電車で待ち合わせる予定だ。


 了解と打ち込み、ついでにスタンプも送った瞬間、既読がついた。

 まだ何か、打ち込んでいるのだろうか。


 画面を開いたまま待っていると、果たしてメッセージが送られてきた。


 ——お母さんと、ちょっとギスギスしちゃってごめん。明日、エスコートよろしくね。


 翔の頭からは抜け落ちていたが、彩花はそうではなかったようだ。


(弓弦とまとめてエスコートするよ……は、さすがにウザいよな。一括りにされるのを嫌がってたのもあるだろうし)


 少し悩んでから、無難に「頼まれた」と返す。

 続いて、アニメの一挙放送を見ていることを伝えると、今度はすぐに返信が来た。


 ——勉強熱心で、何よりです。


 直後、満足げに鼻息を漏らすウサギのスタンプも送られてきた。

 翔はくつくつと笑い声を漏らしながら、トイレを出た。


 すると、ちょうど階段を登ろうとしている花音と鉢合わせた。


「トイレから出てきた兄がニヤニヤ笑ってるの、普通にホラーなんだけど」

「うるさい。寝ろ」

「まだアニメやってるから」




◇ ◇ ◇




 —— 映画当日の朝。


「うーん……」


 翔はクローゼットの前でうなり声を上げた。

 珍しく、昨日のうちに服の用意を済ませていた、のだが。


「なんか、こればっかりだな……」


 オシャレ着といえば、プロデュース開始直後に彩花に選んでもらった二着のみだ。

 自分でも悪くないと思うし、出かける機会自体はあまり多くないが、それにしてもレパートリーが少なすぎる。


 デートではないのだから、気を遣う必要はないのかもしれない。

 弓弦もいるのなら、なおさらだ。


 ただ、年頃の女の子らしく、彩花は毎回しっかりとオシャレをしてくる。

 それなら、翔も相応の誠意は見せるべきだし、あまりに釣り合ってなければ、彩花に不快な思いをさせるかもしれない。


「今日はしょうがないけど……潤を連れ出すか」


 運動とオシャレだけは信頼している友人の顔を思い浮かべながら、目の前のハンガーを手に取った。




「よう」

「ん、おはよ」


 洗面所に向かうと、先客がいた。花音だ。


「どれくらいで終わる?」

「もうちょっと」


 まだ中一ということもあって、花音の洗面所の使用時間はそれほど長くない。

 朝食を食べている間には終わるだろうと、翔は高を括った。


 しかし、歯磨きを済ませても、花音は鏡の前で前髪と格闘していた。


「お前、今日長くね?」

「別にいいでしょ」


 どこか冷たい声で、視線も鏡を見たままだ。

 待たせている側の態度ではないだろう、と翔は眉をひそめた。


「いや、電車の時間あるし、そろそろ使いたいんだけど」

「電車、何分発?」

「十九分」

「えっ……」


 花音がぴたりと手を止め、振り返った。


「なんだよ?」

「あ、いや……じゃあ、もういいよ」


 花音は慌ただしく化粧水などを棚に片付けると、足早に翔の横を通り過ぎていった。


 ふわりと、かすかに甘い香りが鼻をくすぐる。香水だろうか。

 普段はつけていないはず。京香のものを借りたのかもしれない。


「花音。スマホ忘れてるぞ」


 洗面台の端に置かれていたスマホを手に取った、そのとき——通知音が鳴る。

 画面の一部が目に入った瞬間、花音が慌てて引き返してきて、翔の手からスマホをもぎ取った。


「見た?」

「いや、見てないけど」

「じゃあ、いいや。……ありがと」


 花音はスマホの画面を素早くタップしながら、今度こそ洗面所を出ていった。


 見ていないというのは、半分本当で半分嘘だ。

 差出人の名前までは見ていないが、「十九分」という文字は、視界の端に映った。

 これから出かける相手からの連絡なのだろう。


「ま、いいか。俺もさっさとセットしないと」


 別のことに意識を逸らしている時間はない。

 翔はワックスのフタを開けながら、このベタつく感触にはいつまで経っても慣れそうにないな、と心の中でぼやいた。




 翔がセットを終えると、玄関のほうから花音がパタパタと家を出ていく足音が聞こえた。

 見送りを終えた京香が、リビングに戻りながら首を傾げる。


「昨日はもう一本遅く出るって言っていたはずだけど、予定でも変わったのかしらね」


 もう一本後は、翔が乗る予定の電車だ。

 それを聞いて、花音が急に慌て始めた理由は、翔と同じ電車に乗りたくなかったからだろう。


 普段はつけない香水、やたら時間をかけていた髪のセット、そしてメッセージを見られたときの慌てぶりと合わせて考えれば、事情は容易に想像がついた。


「……お互いのために、ずらして良かったかもな」

第76話は「弓弦の暴露と、お姫様の思案」です!

彩花さんは、弟の無邪気な暴走を食い止められるのでしょうか⁉︎ そして最後には、驚きの展開も……?

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