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幼馴染にフラれた日、ヤケクソで助けた男の子の姉がクラスのお姫様だった 〜お姫様直々のプロデュースで、幼馴染を見返します〜  作者: 桜 偉村
第十章

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第129話 四人での勉強会⑦ —ゲーム対決—

あとがきにお知らせがあります。

「翔〜、もう脳が焼き切れる〜……」


 夕方になり、潤が再び机に突っ伏した。限界らしい。


「じゃあ、ちょっとだけ休んでていいぞ」

「マジ⁉︎ ラッキー!」


 潤がガバッと起き上がり、リビングのソファーへ走っていく。

 ……デジャブを感じるのは、きっと気のせいではない。

 しかし、そこに続く琴葉の言葉は、以前とは違っていた。


「気分転換に、翔と潤でテレビゲームでもしたら?」

「マジっ? ゲームしていいのか⁉︎」

「ま、一応頑張ってたし、あと数日の猶予はあるからね」

「よっしゃ! じゃあ、翔……って、でも、今は四人でできるやつのほうがいいんじゃね?」

「それもそうだな。せっかくならパーティーゲームでもするか?」


 翔は潤に乗っかった。

 潤と二人でゲームするのはいつでも可能だし、男子二人が騒いでいるのを見ていても、彩花と琴葉は面白くないだろう。

 そう思ったのだが。


「いや、私はゲーム下手だし、ぶっちゃけ二人の対決を見てみたいんだよね」

「あ、私も二人がゲームしてるの、見てみたいかも」


 琴葉の意見に、彩花も即座に同調した。


「あんまり面白いものじゃないと思うぞ?」

「いいからいいから。それこそ、せっかくの機会だし」

「……わかったよ」


 そこまで言われては意固地になる理由もなく、男子二人で対戦することになった。


「うし、翔、負けねーぞ!」

「こっちこそ、この数時間で溜まりに溜まったストレスを全部ぶつけてやるよ」

「俺そんなにダメな生徒だった⁉︎」


 軽口を叩き合いながら起動したのは、空中に浮かんだステージで戦う格闘ゲーム——「ソマボラ」だ。


「俺の相棒はもちろんコイツよ!」


 潤が選んだのは「ドゥドゥドゥ」という、ハンマーを抱えた大王然としたキャラクター。

 一度飛び上がり、正面を向いたままお尻から落ちてくるシュールな技がお気に入りらしい。


 ——二十分ほどが経過したころ。


「よしっ! これで二十二対二十二だ!」


 コントローラーを握りしめながら、潤が歓声を上げた。

 すでに十戦をこなし、互角の戦いが続いている。


「そろそろ残りの勉強もあるし、次をラスト勝負にしようぜ」

「おう。じゃあ、ただやるのも面白くねーし、負けたほうがジュース奢りな」

「そっか。じゃあ、コーラで」

「もう勝った気でいやがる!?」


 文句を言いながらも、潤は楽しそうにキャラクターを選択している。

 もちろん、選ばれたのはドゥドゥドゥだ。


「ねえ、私もその勝負に参加したいな」

「琴葉も?」

「うん。女子はそれぞれ応援する方を決めて、その人と同じ報酬か罰を受けるっていうルールはどうかな?」

「おっ、いいじゃねーか」


 潤が即座に反応した。


「翔もそれでいいだろ?」

「ああ、別にいいよ。けど、彩花はどうする?」

「面白そうだから、参加させてもらおうかな」

「おっ、じゃあ決まりだね。どっちがどっちを応援するかは……いいよね?」


 言うが早いか、琴葉は迷うことなく潤の背後へと移動した。


「う、うん」


 残された彩花は少し気恥ずかしそうに頬を掻き、翔の背後へと回ってくる。


「彩花。琴葉にオレンジジュースを奢ってもらえ」


 翔が背中越しに告げると、彩花はこくんとうなずいた気配がした。


「うん。翔君、頑張ってね。——負けたら許さないから」

「っ……」


 耳元で囁かれた柔らかな声援に、翔は思わず肩を跳ねさせた。

 胸の鼓動が、わずかに早まる。

 気合いを入れ直し、ラストマッチが幕を開けた。


 ゲームはこれまで以上の接戦となり、お互いに残り一機というギリギリの状況までもつれ込んだ。


「もらった!」


 翔の放ったスマッシュ攻撃が見事に決まり、潤のキャラクターが画面の端へと勢いよく吹き飛んでいく。


「やった……!」


 背後で彩花が小さく歓声を上げた。

 しかし、画面外に消えかけたドゥドゥドゥは、すんでのところで踏みとどまった。


「まだだ!」

「マジか……!」

「翔、覚悟!」


 ドゥドゥドゥの巨体が高々と舞い上がり——

 見事にステージの脇をすり抜けて落下して行った。


「「……ぷっ」」


 翔と潤は顔を見合わせ、同時に吹き出した。


「思い切り良すぎ……!」

「あいつ、絶対崖に掴まれただろ……!」


 ——腹を抱えて笑い合う男子二人の姿を見て、彩花と琴葉は苦笑を交わした。


「男子って訳わからないところでツボるよね」

「うん……でも、なんかかわいいかも」

「わかる。潤の無垢なところ、好きなんだよね」

「な、なんでサラッとそういうこと言えるのかな……」


 琴葉の唐突な惚気に、彩花は顔を赤くさせてもじもじした。

 しかし直後、彼女は意を決したように琴葉を見た。


「でも……」

「ん?」

「琴葉、幸せそう」

「っ……」


 不意の直球に、琴葉は言葉を詰まらせた。


「ふふ、かわいいなぁ」


 ここぞとばかりに、彩花が琴葉の頭を優しく撫でた。


「ちょ、彩花、やめてよ……っ」

「えー、いつも琴葉がやってることじゃん」


 ——ニヤニヤと笑う彩花と、赤くなって身を縮こまらせる琴葉。

 いつもとは対照的な二人を見ながら、翔と潤はヒソヒソと言葉を交わした。


「双葉も琴葉に慣れてきたみてーだな」

「そうだな。良かった」


 彩花は元から琴葉に好意的だったが、あまり自分から何かを仕掛けることはこれまでしていなかった。

 潤の言う通り、それだけ慣れてきたのだろう。


「ゲーム終わりにはいい目の保養だぜ」

「確かに」

「おっ、翔もついに認めたか」


 翔が何気なく同意すると、潤がニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべた。


「何をだよ?」

「目の保養だってことは、双葉をかわいいと思ってるってことだろ?」

「っ……そりゃ、みんなそう思うだろ」

「まあな」


 潤はしたり顔でうなずくと、突如体ごと背後を振り返り——


「双葉。翔が……」

「ば、馬鹿!」


 翔は慌てて飛びかかり、背後から潤を羽交い絞めにして口を塞いだ。


「えっ、何か言った?」


 騒ぎに気づいた彩花が、琴葉への頭なでなでを中断して小首を傾げた。


「い、いや、二人は楽しめてるかなって話してただけ?」

「ああ、うん。見ての通り、楽しいよ〜」

「ちょ、彩花……!」


 彩花に頬を突かれ、琴葉が抗議の声を上げるが、その声色は弱々しい。

 どうやら勉強という名の指導を受けているうちに、プロデューサーにすっかりペースを握られてしまったようだ。




◇ ◇ ◇




 ゲームに負けた潤と琴葉は、罰ゲームとして近くのコンビニまで飲み物を買いに行っている。

 静かになったリビングで、翔はコントローラーをテーブルに置いた。


「翔君、おめでと。なかなかかっこよかったよ」


 隣に座る彩花が、嬉しそうに微笑みかけてくる。


「ありがとな。……でも、本当に俺と潤だけで遊んでしまってよかったのか?」

「もちろん。二人に手加減させることになっちゃうし、それに——熱くなってる翔君、かわいかったよ?」


 彩花が悪戯っぽく目を細めて、くすくすと笑う。


「っ……」


 不意打ちの揶揄いに、翔は顔が熱くなるのを感じて視線を泳がせた。

 照れくささにうつむきかけて、咳払いをしてなんとか踏みとどまる。


「……よし、あいつらが帰ってくるまで彩花もゲームするか」

「ボコボコにされて揶揄われそうだから嫌だ」




◇ ◇ ◇




 翔の家を出て、最寄り駅へと向かう夕暮れの道。

 並んで歩く彩花は、家を出てからずっと考え込んでいた様子だったが、ふいに小首を傾げて潤に尋ねた。


「ねえ、緑川君。翔君はさっき、なにをあんなに慌ててたの?」

「あー……まあ、いずれ翔から言うんじゃね?」

「え、どういうこと?」

「ま、気長に待っとけってことだよ」

「はあ……」


 彩花が腑に落ちないように眉を寄せると、隣を歩いていた琴葉が顔を覗き込んできた。


「ふふ。そんなに翔が何を言ったのか気になるのかな〜?」

「そ、それはっ、私の名前が聞こえたから、変なこと言われてないか気になっただけで……!」


 彩花が慌てて両手を振って弁明する。


「そっかそっか」

「……もう」


 ニヤニヤとうなずく琴葉に対して、彩花はぷいっとそっぽを向いて唇を尖らせた。


「あはは、ごめんごめん」


 琴葉が宥めるように頭を優しく撫でると、彩花はじっとりとその顔を見上げてから——仕方ないなというふうに、ため息を吐いた。




◇ ◇ ◇




 電車で彩花が先に降り、潤と琴葉が最寄り駅から連れ立って帰る夜道。

 改札を抜けたところで、琴葉はすかさず潤の腕をつついた。


「で? 翔はなんて言ってたの?」

「琴葉と双葉が戯れてるのみて、目の保養だなって話してたんだよ。これってもはや、かわいいって言ってるよーなもんだよなーって思って」

「ああ、そういうこと……」

「よかったな、琴葉」

「いや、翔の場合はどう考えても彩花のことを見て言ってるでしょ……彩花と比べちゃ、私は霞んじゃうし」


 かわいいモノ好きの琴葉にとって、彩花はそれこそ目の保養であり、癒しだ。

 ただ、事実として自分と彩花では比較にならないとも思っていた。

 琴葉もかわいくなるための努力をしているからこそ、彩花の素材と努力が桁違いであることがわかるのだ。


 しかし、琴葉の冷静な自己分析に対し、潤は心底不思議そうに首を傾げる。


「そうか? 全然霞まねーと思うけど」

「それは彼女フィルターがかかってるだけだって。傍から見たらレベチだよ、あの子は」

「ほーん、そんなもんなのか。俺は琴葉のほうがかわいいと思うけど」

「っ……」


 息をするように直球の愛情表現を投げてくる潤に、琴葉は言葉を詰まらせ、カッと顔を熱くした。

 潤はさらにニヤリと笑い、顔を赤くした琴葉を覗き込む。


「ほら、そうやって照れるところとか、かわいいし」

「そ、それ以上しゃべらなくていい!」


 耳まで赤くして潤の腕をバシッと叩くが、潤は痛がる素振りも見せずケラケラと笑っている。

 翔はヘタレすぎていると思うが、逆に潤は気にしなさすぎだ。


(こうも正反対な二人が、どうして親友になれたのだろう……)


 小学校のように自由研究があったなら、きっと自分はこのテーマを題材にしただろう、と琴葉は苦笑いを浮かべた。

【お知らせ】

平素よりご愛読いただき、ありがとうございます!

そして……もう100話以上お付き合いくださっている皆さま、コメントや評価、ギフトをくださる皆さま、本当にありがとうございます。ここまで読んでくださっていることが、とても励みになっています!


今回はお知らせがあり、誠に勝手ながら、連載の更新頻度を**週4回(月/水/金/土の20:35) → 週2回(水/土の20:35)**に変更させていただきます。

更新を楽しみにしてくださっている方には、頻度を減らしてしまい本当に申し訳ありません。


理由としては、主に以下の三つです。


* **今後の展開をもう一度しっかり考えたい**

* **新作の準備**

* **他の作業との兼ね合い**


このあたりが重なって、正直なところ、ストックが切れてきています……。

ただ、更新頻度は落ちても、雑に進めるのではなく「ちゃんと面白くなる形」で続けたいので、ここで一度ペースを整えさせてください。


とはいえ、この作品は必ず完結させますので、そこだけはご安心ください!

これからも楽しんでいただけるよう全力で執筆しますので、引き続き応援よろしくお願いしますm(_ _)m

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