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第3話 疑惑

こんにちは!

汐夜です。


今回は真白と別れ、自宅へと戻った臣視点での話となっています。

一応東京は舞台ですが、筆者は東京にいないので場所など合ってない部分があるとは思いますが温かく見てください。

褒める点として、Googleマップと格闘はしています。

それでは、第3話もよろしくお願いします。


この作品は「カクヨム」様、「アルファポリス」様にも掲載させていただいています。

 真白と別れ、自宅へと戻った藤堂臣(とうどうおみ)は次に会う日時と場所を考えていた。



 「いっそここへ呼ぶのはどうすか?」



 二色大雅(にしきたいが)の提案はすぐに却下された。臣は次のデートで自身の素性を明かした上で告白をするつもりである。そんな時に自宅へ呼ぶのは付き合いを強要しているようで気が引けた。



 「その真白って人はそんなに可愛いの? 僕よりも?」



 ソファに座る臣の後ろで腕を組み、頬を膨らませ可愛い子ぶっているのは如月弦太(きさらぎげんた)。ピンク色の髪を伸ばし、毛先をアイロンでゆるふわに巻き、大きなシャツにショートパンツ。首にはドッグダグのついたネックレスをつけている。いわゆる男の娘(おとこのこ)というやつだ。ちなみに下の名前で呼ぶと怒りだす。



 「当たり前じゃないすか。何言ってんすか」



 悪意もなくさぞ当たり前のように笑って答える二色。そんな彼のお腹を如月は笑顔で殴る。その強さにその場でしゃがみこむ。



 「僕の方が可愛いよね?」


 「そっすね…」



 拳を握りしめ再度聞いてくる如月に二色は合わせるしかなかった。二人のやりとりを全く気にする様子もなく、臣はスマートフォンでデートスポットを探す。



 「藤堂さん、こことか女の子は超喜びますよ」



 指さしたのは水族館だった。そこにはナンバーワンデートスポットと書いてあり、告白が成功したとのコメントも記載されている。



 「…ここにする」



 彼女へのメッセージを打つ。内容に不備がないかを何度も確認する臣に痺れを切らし如月が二色を押す。押された二色がバランスを崩し臣にぶつかると送信ボタンを押してしまう。



 「二色」



 鬼の形相で睨む臣。



 「違うんす! 如月さんに押されて…」


 「え〜僕そんな事してないよ?」


 「ずるいっす!」



 二人に呆れていると通知音がなる。すぐにスマホを確認すると真白からの承諾の返事だった。思わず何度も確認する。何度確認しても変わらない内容に表情は緩む。



 「二色」



 ソファから立ち上がる。



 「はいっす!」


 「ありがとう」



 自分では送信出来なかった。そう思った臣は礼を言う。



 「あ! ずるい! 僕なのに!」


 「やっぱり押したんじゃないすか!」



 このやりとりは日常茶飯事だ。歳が近いからだろう。



 「藤堂さん。仕事の時間です」



 タブレットを確認しながら眼鏡の位置を直すのは鵤冴久(いかるがさく)という男だ。銀色の髪を横で束ね、男性にも女性にも見える中性的な顔立ち。首には如月と同じくドッグタグのついたネックレス。華奢な体でスーツを着こなしている。物腰の柔らかい所は他の二人にも見習ってほしいくらいだ。



 「わかった。二色、運転」



 ワックスをつけオールバックにする。これが臣の仕事とプライベートのスイッチとなっている。鵤と共に車へ乗り込み、ネオンの光か灯る街へと向かった。



    ◇



 「若頭さん。いつもありがとうございます」



 着物に身を包んだスナックのママは臣に向かって頭を深々と下げる。以前、迷惑な客に絡まれているのを助けてから時々見回っているのだ。今日も予定にはなかったが、連絡をうけたため立ち寄った。



 「また何かあったら教えてくれ」



 それだけ伝えると店を後にした。二色が車を持ってこようとしたが、気分のいい臣はそれを断り二色と鵤と街を歩く。

 ホテルの建ち並ぶ道に出た時だった。



 「私の何が駄目だったの!?」



 甲高い声は街に響く。何処かでヒステリックを起こしてる女がいるんだろう。そう思った。声を中心に人だかりができてる。



 「お前重いんだよ!」



 男が女性を罵倒している。



 「言えばよかったじゃん! 浮気するなんて最低!」



 どうやら浮気現場らしい。女性の声が少しずつ涙声になっていくのが聞いててわかる。



 「面白そうなんで見てくるっす」



 満面の笑みをうかべる二色が人混みに入っていく。他人のいざこざを見て何が面白いのか。呆れつつも彼を待つ。



 「そういえば真白という女性に関して報告があるのですが…」



 タブレットを操作しながら話す鵤。彼は臣に近づく人間を徹底的に調べあげる。臣に危険が及ばないようにという気遣いからだろう。いつもは言い寄ってくる女ばかりで助かっている。だが今回は自分が選んだ相手なだけに良い気分ではない。



 「鵤。俺は」


 「藤堂さん! 大変す!」



 二色が走ってくる。どこか慌てた様子だ。



 「どうした?」


 「来てほしいっす!」



 臣と鵤の腕を掴み、人混みに向かって走り出す。人を掻き分けて騒動を見る。右にはストレートな黒髪の女性。左には金髪に派手な装飾品をつけた男。隣には同じような金髪に露出の多い服を着た女性がいた。右の女性が浮気された方で左の男が浮気した方だろう。男の罵詈雑言に黒髪の女性は俯く。今の所、二色が慌てるほどの状況ではない。



 「何が大変なんだ?」



 問いかけの直後、黒髪の女性が浮気していた男の股間を蹴り上げた。男は膝から崩れ悶絶している。



 「…確かに大変だな…」



 臣も同じ男としてその痛みに共感してしまう。



 「大変すね。…って、違うっす! あそこ見るっす!」



 二色の指をさした所にいた人物に臣は自身の目を疑った。そこにいたのは真白だった。人混みの最前列にしゃがみこみ、股間を蹴り上げた女性に拍手を送っている。



 「あれ、真白さんじゃないすか!?」


 「ああ。何で…?」



 ここはお世辞にも治安がいいとは言えない。しかもホテル街だ。



 「藤堂さん行くっす!」



 二色に背中を押され、一歩踏み出す。しかし、彼女がここにいるという事が何を示すのかを考えると足が止まる。



 「もう二度と私に顔見せないで!!」



 平手打ちの快音が響く。女性は踵を返すと真白に抱きついた。彼女も抱きしめ、背中をさすっている。



 「藤堂さん!」



 二色に急かされ近寄ろうとするが、解散した人達が一気に押し寄せ思うように進めない。その間にも真白と女性は遠ざかってしまう。



 「真白さん!」



 臣の呼びかけも虚しく二人の姿は見えなくなってしまった。



 「藤堂さん。真白さんに関してですが…」


 「何だ?」



 人混みが流れるのを待ってから鵤が話を始める。先程までなら聞く気はなかった。ただ、この場に彼女がいた事で心が揺らいだ。



 「彼女ですが…」



 彼が言葉を詰まらせるのは非常に珍しい。余程重要な事なのか。なかなか続かない彼の話に緊張感がはしる。



 「情報がないんです」


 「は?」


 「正確に言えば、八歳までの情報はあります。ただその後の情報が全くありません。まるで神隠しにでもあったかのように…」



 告げられた言葉に臣は頭を鈍器で殴られた様な衝撃を感じた。誰にでも情報はある。その人の経歴、どこの学校へ通ったなどはすぐだ。鵤はそういう情報を調べるのに長けている。それでもわからないというのは彼女の背後には彼以上の存在がいることを示唆していた。



 「それから先程真白さんと一緒にいた黒髪の女性ですが、名前は結城彩花(ゆうきあやか)。二十九歳。七年前まで月城組にいた女性です」


 「……え?」


 「もしかしたら、真白さんは月城組と繋がっている可能性があります」



 鵤の言った事を上手く呑み込めず、臣はその場に立ち尽くした。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


臣にとっては衝撃の事であり、真白の疑惑が出てきてしまいました。それを知った彼は果たしてどうするのか。

次話も臣視点の話にしようかと考えています。

しかしなかなか作業は難航している様子…。


皆さんに楽しんでいただけるよう頑張ります。

少しでも面白いな、続きが気になるなと思っていただけたらいいねやブックマーク、高評価の方よろしくお願いします。生きる活力になります。

それでは。


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