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ヤジョウの本当の名前


「四天王の現職メンバーかぁ。いまは誰にも理解できなくても構わないのだよ、そのうち理解できる時がくるからさっ」


 ニケはその場で見上げた。

 その視線の先には、白銀のショベルがあった。


「白銀のショベルよ、常闇を照らせ」


 天井近くに浮かんでいた、ニケのショベルが光り輝く。


「うっ……眩しい!」

「七番さまは逃げるのね……」

「逃げるというか、他の開発メンバーに合わせる顔がないのだよ。特にノアには」

「五番さまは悲しむよ?」

「そんなこと言われてもね。そうだ、重要な研究中だから顔出しが出来ないと伝えておいてくれ」

「この場で五番さまを捕まえれば、その必要性はなくなる」


「こっちからパルトラにメールをわざわざ送って、やりたいことはそれか。実に下らないな」

「下らなくない……」

「だったら、何だっていうの?」

「それは……」


 ヤジョウは黙り込んでしまった。

 返す言葉がないのだろう。


「それじゃあね。二人とも、また何処かで会おう」


 ニケはこの場から退散する手段を持っていると思われる。

 どの道、私は光が収縮するまで待つ以外の行動はできなかった。



 やがて光が弱まると、ニケの姿はもうなかった。

 フィナもいなくなっている。


「あっ、パルトラ様にようやく繋がりましたね。何かありましたか?」


 クラフトルームの様子を映し出す画面が出現すると、ノアとセレネが画面いっぱいにぎゅうぎゅう詰めで顔を近づけてきた。


「うん、えっとね……私とヤジョウちゃんは無事です」

「そっか、それなら良かったです。パルトラ様、すぐに戻ってもらえますか?」

「ひとつだけ伝えといて良いですか?」

「はい、相談事ならノアが聞き入れますよ」

「ヤジョウのことなんだけど、ヤジョウがダイヤって本当なのでしょうか?」

「そうですね、パルトラ様の隣にいる方はアルカナダイヤと呼ばれています。ヤジョウは何者かが付けたあだ名ですね」


「アルカナダイヤ……ニケさんがそう言っていたので」

「ニケ様……ですか?」

「あっ……」

「ニケ様がいたのですか!?」


「い、一応……。なんか重要な研究中だから合わせる顔がないと言ってました」

「忙しい研究でしょうか。……それなら心配しなくて良かったです」

「とにかくすぐに戻ってくださいね」

「ごめんなさい、あともうひとつあるのだけど」

「もうひとつ……何でしょうか?」


「ここの部屋のオブジェクトである、憎悪エネルギーが満タンになっています。どうしましょうか」

「うーん。憎悪エネルギーを蓄えたオブジェクトを回収をして、ボスモンスターの作成はなしで行きましょうか。笑いエネルギーの回収開始が思ったより後ろ倒しになってしまっているので、わざわざ冒険者に見せびらかさなくても、進行に問題がないはずで」

「ノアちゃん、ありがとうございます」

「はい……? どういたしまして」


 一瞬だけ戸惑ったノアは、すぐに別の画面を眺めていた。

 おそらくだが、セレネと二人で笑いエネルギーの回収を行っているのだろう。


「そっちに、すぐ行きます!」


 私は、ヤジョウを連れてクラフトルームに戻ることにした。

 ヤジョウの本当の名前がアルカナダイヤ。だったら、今後はなんて呼ぼうかな。


「改めて伝えます。こちらは、ダイヤちゃんです」

「四天王のアルカナダイヤです!」


 ダイヤは一礼した後、時計盤が付いたチャクラムを手に取り出した。


 この武器についている針、動くとちょっと不気味なんだよね。

 時を進める力はとても便利なんだけど。


「セレネでーす。パルトラちゃんが戻ってきた!」

「そうですね。セレネ様はアルカナダイヤ様と会ったことないですよね」

「うんうん、わたくしが会ったことあるのはクラブかな?」

「クラブ……!?」

「パルトラちゃんどうしたの?」

「私も会ったことないです。名前とか分かりますか」

「クラブの名前はたしか、なんだっけ?」

「セレネ様、会ったことあるなら覚えておいてください」

「ノアちゃん、ごめんね」


 セレネはノアに向かって頭を下げていた。

 そんなことになりふり構わず、知りたいことを問いかける。


「ノアちゃん、クラブの名前はどんなのです?」

「パルトラ様はどうして知りたがっているのですか」

「えっと、なんとなく」

「なんとなくですか……仕方ないですね、ノアが教えます」

「ごくりっ……」

「ごっくんこ……」

「はぁ……どことなく疲れますね」


 私とセレネが息を吞むと、ノアがやや呆れた。


「四天王のクラブはね、クラブポンって呼ばれていますね」


 そう伝えたノアはすぐに私たちから視線を逸らして、ダンジョンを映し出す画面に目をやった。


「クラブポン……!?」

「パルトラちゃん、なんか気になるね」

「セレネさんは一度お会いしたことあるのですよね……」

「そうでしたぁ!」


 セレネは恥ずかしがるも、笑っていた。

 そして、シクスオ四天王の名前はやっぱり不思議である。


 エマと異母姉妹である、魔法少女アプフェルハート。

 フィナが転生したような姿である、フィースペード。

 時を進める力を持つ妹ちゃん、アルカナダイヤ。

 まだ会ったことないのでどんな姿か想像しにくい、クラブポン。


 これからもシクスオの秩序を保つ存在になるのかな……?



「あっ、笑いエネルギーのかき集めが終わりましたね。パルトラ様が用意してくれたビックリンバットのお陰様で、効率よく行えました」


「おおっ、これで残るはひとつですよ!」


 ノアが報告すると、セレネは張り切っていた。


 残るエネルギーがあとひとつということは、遂にあれをやるのかな。


 最後のエネルギーは、癒しエネルギーの回収である。

 つまり、ノアの活躍が必要不可欠となる。


お読みいただき、ありがとうございます!!

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