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紐となるアイテムを探しに


「事情はわかりました。メリーさんのことは、私で面倒を見ましょう」

「この身に及んでだけど、よろしくね」

「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」


 私は、メリーロードと握手を交わす。握手といっても、私が指先を差し出して、メリーロードが両手で必死に掴もうとするだけになっていた。


「ところでメリーさんには、どんなスキルがあるのですか?」

「固有スキル、星読みの器。効果はなし」

「効果なし、ということは……」

「重大な悪に手を染めて尚、この世界にいること自体が奇跡に近いものですし」


 さらりと口に出してきたが、メリーロードは複雑な心境に立っていること間違いなかった。


「なんかごめんね。一生に紐を探そうね」

「紐……? 何故そんなアイテムが必要になっているのか」

「あっ、メリーさんに伝えていませんでしたね」


 私は淡々とオブスタクルについて、メリーロードに説明した。

 何処かで聞いたことあるような雰囲気の競技という印象を受けたメリーロードは、地下七階層の光景を見ながら状況を理解した。


「紐のアイテムね。モンスターを倒しに行くより、何かアイテムを解体して手に入れたほうが早そうに思えますが……」


 メリーロードは腕を組む。


「アイテムの解体ですか……。何処で出来そうですかね」

「さぁ?」

「が、頑張って探します!」


 私は風神の和太鼓を手に取ると、一旦クラフトルームへ行くことに決めた。

 けど、メリーロードを連れていく方法はどうしようか。


「それなら心配いらないわよ。適当に袖とかに摑まっておけば」


 メリーロードは、一緒にワープ出来ることをアピールしていた。

 ひょっとして、メリーロードのアバターは通常のものとは仕様が異なる点がいくつかあるのかもしれない。

 本日の登場時も、悪しき教導ではなく、シクスオの教導と名乗ったのも、何か意味があったのかもしれない。

 少しばかり、気になりだしていた。


「メリーさん、一緒に行きますよ!」


 私は風神の和太鼓をくるくると回して移動を行った。

 移動先はクラフトルームである。


「ワープ……終了です!」


 私が無事に移動を終えると、すぐに確認してみる。


「メリーさんは、いますね」

「そうね。ちゃんと上手くいったわ」


 黒いマントの内側に隠れていたメリーロードは、特に変わった様子をみせることなく私の視界に入ってきた。


「それで、こんな部屋に連れてきてどうするつもりなの?」

「それは……メリーさん、紐アイテムの作り方とか書いてないですよね……」


「はぁ、地図を見せなさい」

「はいっ」


 メリーロードの指示を受けた私は、クレイキューブの地下迷宮を中心とした周辺のフィールドマップを表示させた。


「パルトラだったわね。採取ポイントはちゃんと調べてる?」

「採取ポイントは……その……」


 私は首を横に振った。


「ここから近くにあるとしたら、でこぼこした傾斜の辺りかしらね。採取ポイントからとれる素材アイテムのひとつに干からびたローブがあるから、それを取ったら解体をしてみるとか」

「干からびたローブを採取して、分解ですね……。メリーさんは、どうしてそんなに詳しいのですか?」

「悪の美学を極めたい者を、シクスオでも見かけただろう? 基本はそいつらから、情報を仕入れていたんだよ」

「ふむ……。メリーさんは、リーダー格ということですか」


「そうなるわね」


 私はマップを閉じで、ダンジョンの外に出た。

 そして、メリーロードの示した位置まで移動することにした。


 天使の四枚羽を使えば、すぐにたどり着ける。

 途中でフィナの姿をみた気がするけど、気のせいにしておこう。


「この辺りかな?」


 フィールドの中でも、崖になっている場所がいくつかある。

 隠れる場所という印象を持っていたのだが、どうやら違うみたいである。


「あそこね」


 メリーロードが真っ先に気づいた。

 私は目視する。地面に丸く光る地点があったので、そこに踏み込んでいった。

 そしたら、干からびたローブとダークスライムゼリーを入手しました。という通知が入った。


 採取ポイントでも、モンスターの素材アイテムは入手可能。

 これはちょっと覚えておきたい。


「次は、素材アイテムの解体ですね」


 これが問題といえば、そうなんだけど。

 私は、素材アイテムを解体するスキルを持っていないのである。


「解体のスキルね。誰かいたかしら?」


 メリーロードは心当たりありそうなプレイヤーがいたかどうか、頭の中で考え出した。

 私も同じように、解体のスキルを持っていそうなプレイヤーのことを考えてみるのもありか。

 それか、エンジェルマーケットでスキルを取ってみるか。


 どちらにしても、手間が少し掛かるのは目に見えていた。


 こんな時は、気分晴らしも悪くないかも。

 崖の上に移動して、大空を眺めるのも悪くなくて……。


 いや、そんなことしたら、敵のプレイヤーから攻撃をされるかもしれない。ここはシクスオである。いつでもどこでも、敵のプレイヤーが潜んでいる可能性があるから油断は駄目なのだ。


「そういえば、エグゼクトロットに秘められた真の力って結局なんなのだろう」


 武器を手元に出した私は、ぼんやりと眺めだした。

 いままでの行動で、秘められた力らしき効果は発生していない。というか、リバーシマントみたいな感じで、エグゼクトロットそのものに特殊効果が付いていてもおかしくないのだけど。


「その武器は……あっ……」


 メリーロードは、何かに気づいた様子だった。


「メリーさん、エグゼクトロットがどうかしたのです?」


「その武器には、魔法分解というスキルが付いているはずなのよ!」

「魔法分解……エグゼクトロット、そうだったのです?」


 私はエグゼクトロットに問いかけてしまった。


 武器が喋る訳はない。

 そう思ったのだが。



『認識完了――。エグゼクトロットの隠れスキルを解放します』


 アナウンスが突然、私の耳に入ってきた。


お読みいただき、ありがとうございます!!

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