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デルタワームを倒す


「最強であるはずの妖精の加護が、壊れただと……!」


 メリーロードは口をポカンと開けて挙動不審になっている。

 どうやら、咄嗟に出したとみられる白い結界によって、致命傷は免れたようだ。


「妖精の加護は、攻撃してきた相手に反射ギミックダメージを与えるもの……。ねぇ、どうして壊せるの?」


「それは……そうですね……」


 そういうことか。

 私は装備品によってギミックダメージを無力化する力が備わっている。その効果が、エグゼクトロットにも乗っていたのかもしれない。


 白い煙は、魔力の源。

 それを吸い込んでしまったメリーロードは、全然疲労していない。


「こうなったら、次の一手よ。悪の美学に魅了されたデルタワームで遊んであげよう」


 メリーロードの手先に黒い魔方陣が浮かび上がると、残っていた最後のツタがぐんぐん伸びていき、先端に付いていた刃物で青く輝く本のオブジェクトを叩かれる。

 すると、地響きが発生した。


「ここで、デルタワーム……?」

「エマ、来るぞ……。気をつけろ」


 エマとルークは、警戒心を強めていた。

 土煙が発生しているのは、メリーロードの近くだ。


「おいで、デルタワームっ!」


『ウオオオオオオオォォォッ――』


 土の破片が飛び散って、虹色に光るデルタワームが一匹現れた。


「遂に出てきましたね。デルタワーム!」


 ルビーアイ炭鉱のボスモンスターということもあって、やっぱり胴体のサイズは大きめ。

 その胴体によってメリーロードの姿が見えなくなったのだが、別に問題はない。


 ルークとエマが、途方もないやる気に満ちていったからである。


「エマ、一気に畳みかけるぞ!」

「うん。こっちに任せて!」


 ルーク合図を送り、エマが双銃で攻撃を仕掛ようとする。


 狙いを定めているのは、デルタワームの頭部。

 銃口がデルタワームに向けられると、魔法の銃弾が発射された。


『ウオオオォォォッ――』


 デルタワームに命中すると、首を左右に動かして暴れだした。

 そして、デルタワームの頭上に横長のバーが出現した。


「ルークさん、あれは何でしょうか?」

「あれはボスのライフゲージだ。ダンジョンの、最終ボスと呼ばれる強敵には、あれが設定されていてだ、ライフゲージをゼロにするのと、一定回数攻撃を当てることによって消滅する」

「倒すのには、攻撃回数もいるのですね……」

「そうなる。いま、バーの真上に数字が出ただろ。あれをゼロにする必要もあるのだ」


 ルークが指さしたところには、確かに黒い数字が浮かび上がっていた。

 今のカウントは、百十七。エマが攻撃を当てたことによって、少しだけ減っていた。


「攻撃の手数を用意するとなると、強力な一撃を放つものより複数回当たるほうが良いのだろうけど、デルタワームは地中に逃げる危険があるのですよね」

「それは俺が持ち込んでいるスキルでカバーするから、一番良い魔法を頼む」

「一番良い魔法ですね……どういうのが効率出るかな……」


 私はエグゼクトロットの先端で魔方陣を描いていく。

 せっかくの機会だし、スキル『サモンコール』を使ってみようと思う。

 このスキルの発動には、独自の魔方陣と媒体となるモンスターがドロップするアイテムが必要となる。

 私はマウバットの羽をひとつ取り出すと、先ほど描いた魔方陣の中に放り投げた。


「私の声を聞いて、マウバット!」


 魔法を発動させると、マウバットが一匹出現した。


 これが召喚魔法。

 シクスオのシステム上では、スカウトと同じ扱いとなっていた。

 そのように推測出来る理由があった。召喚したマウバットのステータスは、ルビーアイ炭鉱で敵として出現する際と強さが同じであった。

 そして、マウバットはそこそこ素早い行動が可能。火力を出すのに不十分だけど、回数のカウント減らしに対しては期待を持てる。


 続けて、私は詠唱を始める。


「氷河の水晶よ、我がしもべの牙となりて降り注げ」


 左手を大きく挙げた私の手先に、透明な水晶が現れる。

 それが氷柱の形に変形した後、デルタワームに向かって飛んでいった。


『ウオオオォォォッ――』


 デルタワームに当たると、ライフゲージが大きく削れた。

 また、カウントもあっという間にすり減って、残り四十を切っていた。


「俺も、負けてられない!」


 ルークが近距離攻撃を仕掛けて、デルタワームが大きくのけぞる。


「エマ、もっと行くよ!」


 エマは、デルタワームの口の中に入ってしまわないよう気をつけながら、ハンマーを振り回してダメージを与えていった。


 マウバットも、体当たりを何度も繰り返してカウントを少しずつ減らしていった。



「さてと、とどめをしましょう!」


 これといった反撃を受けることなく、デルタワームのカウントがゼロになっていた。


 ライフゲージも残りあとわずか。

 地中に潜られる前に決着をつけたい。


「いでよ、光の雷鳴。無数の流星となりて、降り注ぐ!」


 詠唱した私は、雷に帯びた十六の隕石を天から振らせた。

 それがデルタワームに全て命中すると、激しい奇声と共に胴体が徐々に消滅していった。


「終わりましたね……」


 デルタワームの討伐が完了した。

 報酬として、パワーオーブの使用上限が一段階上がって、40回まで使用可能となった。


お読みいただき、ありがとうございます!!

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