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メリーロードへの対抗策


「いい加減、本題に入るか」

「はぁ……そうですね。まずはどこから手をつけてあげるべきなのか」


 ノアは聖典を広げると、ページがめくれる音を立てながら空中に浮かばせた。


 強大な魔力、いや……情報量と呼ぶべき……。

 聖典シクスノアには、宇宙が詰まっていた。


「対抗策を生成するのが手っ取り早いと思われます」


 ノアは、私に何かの期待を持ちかけていた。


「結局そうなるか。俺様の烙印調合と、パルトラ君のスキルを合わせることによって、新たな対抗策を生み出せってことか」

「無ければ作り出そう、という女神様からのお告げですね」


 聖典シクスノアから黄色い球体の光が生み出される。それが天に向かって解き放たれると、窓の外に花火が一発打ち上がった。


「ひとまず応急処置です。ボット人形が獲得していた基礎スキル全ての剥奪と、身体能力を最低値にしました」


 その場でノアはふらついた。

 ギベオがすぐにノアの身体を支えると、ノアは余裕そうにため息をつく。


「そこそこ魔力を使いますが、少し休めば平気です」

「ノア君よ、あまり無茶はするな」

「わかっています。今、ノアに何か出来ることはこれくらいですから」


 すぐ近くにあった椅子に座り込まされるノアは、心を落ち着かせる。

 それから、指先を動かして聖典を閉じた。


「ノアちゃん、無理しないでね。私の魔力なら幾らでも分け与えるから!」

「えへへ……。お気持ちだけで十分ありがたいです。ですが、パルトラ様にはやってほしいことがありますので、魔力を使うならそちらにしてほしいのです」


「新たな対抗策のことですか?」

「そうです」

「……わかりました。ノアちゃんがそう言うのなら、私は作ります」

「では、パルトラ君は俺様と協力したまえ。……と言いたいのだが、対抗策を作り出す為の素材はどうすれば良いのだ?」


 頭を抱えるギベオは、ノアに問いかけた。


「調達方法ですね、少しお待ちください」


 ノアはメッセージ入力を行い、誰かに通達した。

 すると、人型のアバターが出現して。


「魔法少女、アプフェルハート。いま参りました!」


 アプフェルハートがやってきた。

 左手一本で、ビャクズのタキシードを鷲づかみにしながら。


「アプフェルハート様は、いつも余計なものを持って来られますね」

「ノアさん……えっと、これはその……慌ててしまいまして……」


 何かに期待されて呼び出された筈なのに、どこか気まずい雰囲気が出ていた。


「ネズミのような敵が一匹程度マスタールームに紛れ込んだって、別に問題はないだろう」


 冷静なギベオは、無抵抗なビャクズと顔を近づけた。


「ビャクズに対して、どうしてそう言い切れる?」

「ふぅ……この場で消すからに決まってるからさ」


 ギベオは集中力を高めていた。


「黒の欠片と、アダマントで、烙印調合!」

 両手を合わせて、完成物をイメージする。


「覇者の邪剣だ。これでも喰らっておけ」

「にぎゃあああああ!」


 どす黒い大剣がタキシードを貫通して、ビャクズはリスポーンした。


 死骸が残るのかと思いきや、そのまま砂のように消えていった。


「結構な魔力を持ってたのですね。補充されちゃいました」


 顔色が良くなったノアは、すぐに立ち上がった。


 一連の行動を見た感じだと、マスタールームでリスポーンすると、管理者に魔力が補填されるようになっているようだ。


 この魔力の補充システムに関しては実用性はいまいちだと思われるが、聖典と組み合わせることによって、シクスオの制御がたくさん行えるということなのだろう。


 覚えておいて損はないと言える。


「あわわわ……ノアさん、ごめんなさい、ごめんなさい!」

「必死に謝らなくても……。貴方様を呼んだ理由は、マスターキーでロックされたアイテムボックスを開く為ですよ」

「それならアプフェルハートに任せてください! ……って、どうしてノアさんがやらないのですか?」

「えへへ。今回の騒動は、操作範囲が広くて魔力に余裕がないからです」

「事情はわかりました。それではアプフェルハートがアイテムボックスを開けますね」


 アプフェルハートは、右手に持っていたハートのステッキをくるくると回した。


「それで、どんなアイテムを取り出すのですか?」

「対抗策ですからね。どんなデザインが良いと思いますか?」

「ひとつ言っておく。複雑なデザインになるほど、素材アイテムの品質も高いものじゃないといけなくてな」

「ギベオ様、それは心配には及びません。このアイテムボックスは取り出す際に品質を自由自在に変更できますので」

「それは便利そうだ。まるでデバッグモードのようだ」

「ギベオ様、これは全ての素材アイテムの取り出し可能なので、デバッグモードとほぼ同等のものですよ?」


 ノアがニコッと微笑む。


「そうか。ならば、俺様は考えが煮詰まるまで黙っておく」


 ギベオがそっぽを向いて、頭をかいた。


「……だそうです。アプフェルハート様はどう思いますか?」


「ええっと、可愛かったらなんでも良いかも……」


「可愛い、わかりました。他には……?」


 ノアは周囲の者に対して、意見をかき集めていた。


「メリーロードさんと戦うには、デバッグモードが必要になるくらいの物事か……」


 それだけ緊急性の高い問題だということを、私は心づもりするだけだ。

 というか、いったい何を作る気なのか。方向性が全くもって読めないでいる。


お読みいただき、ありがとうございます!!

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