表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

60/165

ダンジョンマスターとして出来ること


 ボット人形をシクスオの世界に流し込み続けていると思われる主犯、メリーロードを逃がしてしまった事実。


 口を強く噛み締めているアプフェルハートを見ている限りては、運営側の者にとっては大きな痛手になること間違いなかった。


 ただ、メリーロードはまだ近くにいるみたいなので、画面に干渉できない状況は続いていた。


 まだ接触できるチャンスはあるはず。

 私は一旦深呼吸をして、落ちついておこう。

 キラリの為にも、とにかく進むしかなさそうだけど……。


 このダンジョンの情報がもっとほしい。アプフェルハートと顔を合わせた私は、新たな情報の開示に期待する。


「アプフェルハートさん、ルビーアイ炭鉱のストーリーイベントはいくつありますか?」

「ええっと……ひと、ふた、さんこです!」

「三つということは、進めば最深部になるから……私たちは一つ目のストーリーイベントがある部屋まで引き返しましょう」


 

 作戦方針は決まっていた。

 少なくともこちらが優位に立ち回らないと、キラリの体を取り返せるか不安が残るのである。

 だけど、エマが理解出来ていない様子だった。


「エマ、わかんない……」


 通常のゲームであれば、セオリー通りにダンジョンの奥へと進むのが鉄則だろう。

 だが、ここはシクスオだ。

 セオリーよりも、戦術を必要とする。


「エマちゃんは、このダンジョンを攻略してどうなりたいの?」

「エマは強くなって、パパと約束したことが……あるの……!」

「どんなことかな?」

「ダンジョンマスターの跡を継ぐの!」

「立派だね。それで、エマちゃんはどういうダンジョンマスターになりたいのかな?」

「どんな……?」


「現実でもゲームでも、エマちゃん可愛いからね!」


 アプフェルハートが、エマの体をぎゅっと抱きしめる。


「エマはね、アプフェルハートを一撃で倒せるくらい強いダンジョンマスターになりたい……」

「エマちゃん!?」


 顔色が変わるエマは、まるで悪魔のような苦笑いをする。

 これは、アプフェルハートが全部悪い気がしてきた。


「今なら、画面に干渉出来なくなる現象の効果範囲が変わったかもしれません。それで、ここから引き返すと最初のストーリーイベントから外にアクセス出来ると思いますので、私たちにとって優位に働くこと間違いということです!」


 手早く話題そらしをしなくてはいけないと思い、私は早口になっていた。


「なるほど。先輩、流石です!」

「ふぅ……助かりました」

「アプフェルハートさん……? それはそうと、エマちゃんはアプフェルハートさんと一緒にビャクズさんの死骸を運ぶのを、お願い出来るかな?」

「エマ、頑張る!」

「ありがとう……ただ、これでもひとつ問題があって……」


 引き返して準備となるので、この場に監視役が欲しいところではある。


 この二つ目の部屋は、画面に干渉出来ないままだ。ダンジョンの奥地から何が来ても対処できそうな者が相応しいのだけど。


「俺がここに残ろう」


 ルークが胸を張る。


「ルークさん、ありがとうございます!」

「ここは抑える。エマを任せた」

「はい。ここからはダンジョンマスターとして、攻略していきますよ!」


 私は、ルークの背中を見てから引き返していく。

 道中には、モンスターがいない。

 先ほど倒したばかりということもあって、足音以外は聞こえなかった。


 それから暫くすると、メニュー画面が開けるようになった。

 それでも私は立ち止まらずに、ひとつめのストーリーイベントが発生する部屋まで歩き続けた。


「やっと部屋に着きましたね……お二人ともちゃんと着いてきてますでしょうか?」

「エマ、元気だよ!」

「も、もちろんです!」


 ひとつめの部屋に、自身を合わせて三人いることを確認すると、息を少し吐いた。


「アプフェルハートさん、ルビーアイ炭鉱のクラフトルームを一時的に借りることは出来ますか?」

「現状、やむ得ないかな……ストーリーイベント用の本からマスタールームに繋げてから試してみます」

「ありがとうございます。それで次、エマちゃんは死骸を適当な場所に置いたら、武器を手にとっておいて!」


「エマ、わかった!」


「あの……パルトラさん、運営サイドでしてほしいこととかありますでしょうか?」

「マスタールームに繋げた後で、適当にモンスターを出してもらえたら……あとはこちらでやりますので」

「あの、もうちょっと詳しく……」

「倒したモンスターの素材を集めながら強いモンスターを作成して、ダンジョンの奥地にどんどん送り込もうと思ってます」

「モンスターを用意して、数で押すつもりなのですね……わかりました」


 アプフェルハートは作戦を飲み込んだ。


「先輩は、本当に何をしようとしているのですか?」

「簡単に言うならば、ダンジョンマスターらしいことかな?」

「エマ、よくわかんないよ」

「それなら、よく見ておくことかな」

「うん……わかった!」


 エマにはまだ理解出来ないことかもしれない。


 私は私なりに楽しい、を出していきたいだけだ。



 発動、天翔る銀河の(アンドロメダ)創造天使(クリエイト)


「ダンジョンマスターである私と勝負ですよ、メリーロードさん!」


 天使の四枚羽をばたつかせる私は、自身の周囲にルビーアイ炭鉱のマップを広げた。


お読みいただき、ありがとうございます!!

面白いと思いましたら、感想、ブックマーク、評価をお願いします。作者の励みにもなるので何卒よろしくお願いします!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ