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マウバットのコア集め


「とりあえず、アイリスさんの後を追いましょう!」


 とにかく突き進む。パーティーの先頭に立った私は、エグゼクトロットを取り出して強く握りしめる。


「白き翼よ、我に聖なる加護を与えたまえ」


 詠唱した私は、背中から天使の羽を生やして両足を地面から離した。

 その姿を見たエマとルークは、自身の目を擦っていた。


「先輩、やっぱり飛べるの良いよね!」

「エマよ、ボスモンスターを倒してパワーオーブを使い、新たなスキルを獲得するのだ」

「パパ、そうだね。エマはもっと頑張る!」


 エマのやる気が上がった。

 この先に何が潜んでいるのか、真相を確かめなくてはいけないが、エマが楽しそうな顔つきになっているので、何かと心強く感じる。


 キ、キキキ――。

 またマウバットの群れがいる。

 ただ、今回はこちらをとても警戒しているのか、いきなり激しく飛んで来そうな気配は感じられなかった。


 双銃を持っていたエマは銃口を天井付近に向けていた。どうやら、マウバットのひとつに狙いを定めているご様子である。


「先輩なら、どうします?」

「エマちゃん、そうですね……。モンスターを倒しましょう!」


 マウバットの群れが動かないのなら、こちらから動くまで。

 私はエグゼクトを投げて、マウバット一匹を地面に落とした。


『キ、キキキッ!』

 マウバットの群れが一斉に動きはじめた。


「よし。エマ、行くよ!」


 銃口の角度を上手く調整したエマは、魔法の弾を解き放った。


 ここでマウバットのコアを出来るだけ入手したいところである。

 先程、私が落としたマウバットからレアドロップしていたようなので、マウバットのコアの所持数は累計二つになっていた。


「いけっ!」


 エマは確実に一匹ずつ、マウバットを倒し続けていた。

 一方でルークは、エマの様子をずっと見守っていた。身の危険を感じた時だけ動くつもりなのかもしれない。


「これで全部、落ちちった?」


 エマが双剣に持ち替えると、地面にへばりついているマウバットに注目していた。

 まだ倒し切れていないマウバットが数匹残っているようなので、剣を振って確実に一匹ずつ倒していった。


「マウバットのコアは、ひとつだけドロップした」

「エマちゃん、おめでとうですね」

「先輩、ありがとうございます!」


 戦闘を終えて、マウバットのコアが手に入ったことに喜びを感じるエマは、自身の頬を柔らかくしていた。


 マウバットのコアの累計は三つ。

 もしかしたら、マウバットのコア同士をくっつけてモンスターを作り出すことが出来るかもしれない。


 それはそうと、画面を開けない状態はまだ続いている。

 これを解決しないことには、シクスオをより楽しむことが出来ないと思われる。



「どんどん行きましょう」


 再び前進あるのみだった。そういえば、ゴプリンをまだ見かけていない。

 何かあったのかと不安を被る中、私たちがたどり着いた新たな部屋には、白髪ロングの男がひとり立っていた。


 その男は紺のタキシードの格好をしていた。そして、その男の左手が今にも本のオブジェクトへ触れそうになっていた。


「今こそ、ビャクズが持つ天才的な悪の美学を試す時なのだ……!」


 本のオブジェクトに触れてストーリーイベントを起動させると、白髪ロングの男はすぐ後ろに振り向いた。

 すると、エマが戸惑いの表情をみせる。


「パパ、あれは何?」


 エマが、身体を丸めて眠っている女の子を発見した。

 その女の子は新緑のメイド服に、薄紫のミディアムボブの見た目をしていて、背中からはエメラルドに輝く妖精の羽がついていた。


「神風のダンジョンマスター、何故ここにいる?」


 ルークが口を開くと、エマが気まずそうな声を漏らす。

 メイド服の女の子はまるでブラックホールのような黒い球体に閉じこもっており、自力で動きそうになかった。


「ルークさん。神風ということは、トルードの……!?」

「そうだ。名前はたしか、キラリだ」


「パパ……。あの子、囚われてる感じがして、ちょっと不気味だよ……」


「エマちゃん、ルークさん、私たちで助け出しましょう!」

「そうだね。先輩と一緒になら……」


「でもどうする? 円形に包みこんでいる黒いものをなんとかしないとだが……」


 ルークが口を紡ぐと、横並びにゴブリンが現れた。

 その手前、すぐのところにアイリスが出現した。


「こんなところで、ゴブリンが通せんぼうしているなんて……!」


 アイリスはひとりで、ゴブリンの集団と戦おうとしていた。が、それをさせないように悪巧みをしていた白髪ロングの男は自信に満ちていた。


「ボスよ、光輝のステータスをオーバーフローさせてアンチウィンドウの固有スキルを誕生させる発想、ビャクズには全くありませんでしたが、この世界の侵食は順調であります」


 白髪ロングの男が指を弾いた。すると、ゴブリンが黒ずんでいき、様子が変になって……。


「さぁ、ボット人形よ。悪の美学を学べ」


 もうゴブリンじゃない。

 ボット人形は危険だ。


「貴方がゴブリンを倒してくれたのね。ありがとう……」


 アイリスは、何故かボット人形をべた褒めしていた。

 だがしかし、ボット人形はお構いなしに行動する。


 片手を剣のように見立てたボット人形は、アイリスに容赦なく攻撃する。すると、アイリスの身体からゼロとイチの数字が飛び出していき、黒く染まりながら徐々に消滅していった。


 シナリオが壊れる。この男、何を企んでいる?


 モブキャラの消滅を目の当たりにした私たちは、白髪ロングの男に対して身構えていた。


お読みいただき、ありがとうございます!!

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