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パワーオーブ


「パルトラ様、セレネ様、戦闘お疲れさまです」

「ノアちゃんも、お疲れーっ!」


 ハイテンションなセレネは、元の姿に戻っていた。


 私も、スキル――天翔る銀河の(アンドロメダ)創造天使(クリエイト)を解除しておこうかな。


「二人とも、戦闘お疲れさまです」


 固有スキルを解除した私は、いつもの白のローブを身につけている姿になる。


「そういえば、倒した敵にレアスキル持ちがいましたけど」


 ドロップしたアイテムの一覧に目を通しはじめた私は、目の色を変えそうになった。


 パワーオーブという、レアなアイテムを手にしていたからだ。

 これをひとつ使用すると、基本ステータスを1上昇させることが可能である。

 このアイテムを繰り返し入手して使っていくことにより、新たな基礎スキルを獲得したりするので、目に見えて強くなっていくという快感を得ることができる。

 これが、シクスオでレアスキル持ちのプレイヤーを倒したがる、理由のひとつとなっている。

 運が良かったのか、私はひとつ入手してしまったので、試しに使ってみることにした。


 すると、成長パラメータが表示された。


 STR――腕力。

 DEX――器用度。

 INT――知性。

 VIT――体力。

 AGI――敏捷性。

 MAG――魔力。

 LUK――幸運。

 RAE――光輝。


 まだ何もしていない状態なので、すべての基本ステータスが1だった。

 但し、これは現実世界での身体能力とは別のステータスとなっているので、私の現在のステータスが全て1というわけではない。

 この基本ステータスと、現実世界に依存している身体能力が合算されたものが基盤となり、装備品による補正値が足されたものが、最終ステータスとして存在している。

 そして、シクスオ内での全ての動きは、最終ステータスが適応されるようになっている。


 あとは一般的なゲームでは聞き慣れないであろう、RAE――光輝というものがあるが、これは主にアクセサリー系に分類される装備品の効果の強さを示すもので、この数値が高いほど強い効果を出すことができる、というものである。

 メテオライトの宝玉を所持している私は、このRAEを上げることによって、補助魔法の効果適用中に体力の消耗を宝玉がすべて肩代わりしてくれていたものが、効果適用中に体力が徐々に回復していくようになる、という強化を得られるのだが……今回はMAGをひとつ上げることにした。


 新たなスキルは獲得しなかったが、これで少し強くなった。

 けど、このアイテムを繰り返し使うことで、まだまだ強くなれる。


 それは使用上限に達するまで、というべきなのかわからないけど……初期状態でのパワーオーブの使用上限である20回が、ゴールではないことを断言できる。

 運営が用意した世界各国にある、ダンジョンのシナリオを進行させて、最終ボスと呼ばれる強敵を倒すことができたら、使用上限の回数が一回ごとに20ずつ増えていくのである。


 ちなみに現在のバージョンでは使用上限が100回ということらしいのだが、装備品はおしゃれ重視というシクスオユーザーの文明と最終ボスの強さが相まって、パワーオーブを100回使用した者はそう多くないと聞く。


 ここで、シクスオでのステータスを簡潔にまとめてみる。


 現実世界の身体能力は、生まれつき素質。

 パワーオーブで得た能力が、後発的に伸びた潜在能力、となっている。



「そろそろ、進みましょうか」


 成長パラメータの画面を閉じた私は、前に進むことだけを考えていた。

 気絶している白い戦闘服を着た女の子は、セレネがおんぶしているので、特別何かを心配することはないと思った。


「この先には、ノアがシクスオで一番好きな場所が待っています!」


 気分がそわそわしているノアが、先走っていく。

 私とセレネは黙ってついて行くことにした。

 ただ、今いる階層はそんなに広くないので、階段がすぐに見つかった。

 それを上りきると、今度は厚めの扉があったのだが、ノアが勢いよく押し込むんだら、すぐに開いてしまった。


「ここが、ノアが一番好きな場所、天空のバルコニーというマップとなります」


 微かに温かみのある風が吹き込んできて、プレイヤー同士で戦うゲームにいることを忘れさせてくれるような絶景が目に入ってきた。


 赤いカーペットが敷かれた通路に、丈夫な白い柵。その白い柵の超えた先にあるのは、まるで浮島のように散りばめられた雲であった。

 バルコニーということなので、屋根がない。

 見上げると太陽があって、通路を明るく照らしている。


「ここ、ノアはすごく癒やされますので」


「ノアちゃん、すっごくわかるよ」


 ノアとセレネは、この絶景を前にして和んでいた。


 私もこの空間にいるだけで、心から癒やされていく。そんな気がした。


「ここで暫く休憩です」

「ノアちゃん、そうですね。この子は抱えっぱなしで大丈夫かな」

「最終手段として、ノアの回復魔法で無理やり起こすことも考えないと行けないですが……」


 何故この子が、セイントキャッスル号の隠し通路に入ってこれたのか。

 目が覚めたら、それだけは聞いておきたいところではある。


 隠し通路に入った直後にあった銃弾を、もっとちゃんと調べておけば何か知り得たかもしれないけど、今さら戻るのは大変に思えてしまう。


「ここから先に行くと、ノアの目的地である部屋があるのですが……」


 ノアは視線はいつの間にか、通路の先にある扉に向いていた。


お読みいただき、ありがとうございます!!

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