新しい衣装にお着替え
「パルトラ様、どうかしましたか?」
「鈴がついていて……薄紫に、白いコルセットがあって」
「あの衣装ですか? すみません!」
ノアは大きな声を出して、茶髪の女の子を引き留めた。
「ウチの商品がどうかしました?」
「はい、ノアのお友達様にプレゼントする用でして」
「なるほど、なるほど」
ノアは、茶髪の女の子と対話し始めた。
衣装とポイントの確認をしている様子だったが、私は黙って見守るしか出来なかった。
ノアは他人に対して積極的に話しかける辺り、とてもコミュニケーション能力が高いのかなと思ってしまう程である。
遠くで観察しているだけでも、はっきりと分かってしまった。
「ふぅ……パルトラ様、大変長らくお待たせしました」
暫くすると、ノアがこちらに戻ってきた。
「ノアちゃん、ありがとうございます!」
「衣装確保のことですね、えへへ……どういたしまして」
私の要望に答えたノアちゃんは、笑っていた。
まるで太陽のように。
「早速ですがパルトラ様、着装してみませんか?」
購入した衣装を差し出してきたノアは、目を輝かせている。
「えっと……ここで着るのは、恥ずかしいから」
「パルトラ様、ノアがご購入致しましたこちらの衣装は袖付きですので、肌身はそこまで出ないと思うのですけど」
「ノアちゃんが、そこまで言うのなら……」
私はノアから衣装を受け取り、お着替えしようとした。けど、周囲にいる商人の目線が気になって手が止まる。
「やっぱり恥ずかしいから駄目っ!」
「パルトラ様の可愛い衣装が見れないのは、残念です……。代わりに回復魔法をたくさんかけてみてみたいですね」
「うっ……ノアちゃんの可愛い瞳に屈したりしません!」
「それは残念です」
「でも、ノアちゃんがどうしてもというのなら……」
ため息をついた私は、しぶしぶ画面を触っていく。
衣装変更――薄紫の吊りワンピース。
白いコルセットはワンピースとの一体型となっていて、とても柔らかい。伸縮性があった。
スカートの部分もふわふわで、胸元が大きくあいているデザインとなっている。
また、鈴はネックレスみたいになっており、思ったより首元に近い形となっていた。
袖付きなので、腕から肌身がくっきりと見える訳ではなかったけど、いざ着てみるとやっぱり恥ずかしい。
「パルトラ様、とてもお似合いですね」
「そ、そうですかね……」
私はその場で一回転してみる。スカートがふわっとした。
ノアに限らず、周囲からじまじまと見られているの、やっぱり気になる。
「ところで、パルトラ様はスキルの付与をどういったものにするつもりですか?」
「えっと、付けれるのは二つで合ってます?」
「合ってますよ」
「そしたら……衣類にレアスキル判別、鈴のほうにスポットライトにしようかなと」
「なるほどです。では、スキル付与装置へと、ご案内したいと思います」
「えっと、この格好で?」
「そうですね……付与したい装備品を身につけておく必要がありますので」
「うーんと、そうなのか」
暫くはこのままの格好でいる必要があるのか……。
「えへへ。それではパルトラ様、ノアについてきてください」
顔が緩むノアは再び、私を道案内をする。
ひとまず、付けたいスキル名を頭に思い浮かべておきたい。
レアスキル判別は、文字通りレアスキルかどうかを見分けれるようになるものだ。
一方でスポットライトというのは、暗い場所を明るい状態で見ることが出来るようになるスキルとなっている。
光がほしいくらいの暗い場所というのは今のところ見たことがないが、いつか必要になってくると思われるスキルなのでとっておきたかった。
「そういえば、フィナが固有スキルを使った際に衣装が替わったのだけど、ノアちゃんはあの仕様のことが分かったりしませんか?」
「それでしたら……パルトラ様は、固有スキルを参照できる画面を一度開けてください」
「えっと、はい!」
私はノアに言われた通り、自身のスキルを確認できる画面を開けた。
「パルトラ様のスキル名が書いてあるところの右側に、小さい三角形のボタンが出ているというのならば、衣装が替わるよう設定することができるそうです。出てくる条件としましては、衣装チェンジを設定出来るのは一部の珍しいスキルをお持ちの方のみでして」
「一部の珍しいスキル……」
フィナが衣装チェンジするのは、月光の処刑人というスキルを発動している時だけである。
私の場合、天翔る銀河の創造天使がそれに該当していた。
「私も、スキルを使用したら衣装が切り替わるように設定することができるみたいです」
「それならよかったですね。衣装の切り替え設定はすぐに終わると思います」
「はい。そうですね……!」
ノアの言ったとおり、衣装切り替えの設定はすぐに終わった。
これで私は、天翔る銀河の創造天使を発動すると、衣装が自動的に切り替わるようになった。
なので、普段は白いローブを身につけることができそうだ。
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