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ダンジョンで遊ぼう!! ~配信しながら楽しくダンジョンを作りたいと思います~  作者: 愛原ひかな
第1章 クローニア学園

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蒼き炎と、黒き結晶の大剣


「三回戦、ですか……」


 セレネがいなくなって、ダンジョンを探索する楽しさはどこへいってしまったのか。

 私の心に残るものは、憎悪だけ。


(あお)き炎、目覚めの旋律。ひれ伏せろ」


 詠唱を終えると、教室の床全域に青い炎が湧き出ていた。


:なんだ?

:おお?

:これならいけるか


「ほぅ、徐々に俺様の体力を削る気なのか。実に面白そうだ」


 ギベオは怯むことなく、両手を合わせていた。


「黒の欠片と、黒の欠片。烙印調合!」


「同じ素材アイテムの宣言をされると……」

「組み合わせによっては、なんの問題もない!」


 黒い紋章が浮かび上がり、素材アイテムが混ぜ合わさって。


「黒き結晶の大剣だ。ふんぬっ!」


 ギベオは、黒くて大きな剣を構えた。


 ただ、あの装備は……。

 切れ味がそこまでよくないように思える。


「行くぞっ!」


 ギベオは右足を前に踏み込み、こちらに接近してきた。

 私はエグゼクトロットを強く握りしめて、大剣による攻撃を受け止める。


「接近戦は、やはり通じないか」

「それがどうしたのですか?」


 メルヘンマトンのお面は、いつも笑っている。


 憎い、憎い、憎い。よくわからないけど、憎い。

 私の心から湧き出てくるその想いが、青い炎を強めていった。


「ぐっ……」


 ギベオは私との距離をとったけど、無駄である。

 青い炎は、どこまでもついていくのだから。


:やれるぞ

:いけー


「やるな。このままだと、俺様の身体が燃えていくばかりだ」


 体力を削られていくことに焦りを覚えはじめるギベオは、スーツを気にしていた。

 でも、よそ見はいけないと思う。

 私はエグゼクトロットの先端に魔力を込める。


「聖なる花吹雪。激しく散り逝き、大地を燃やし尽くせ」


 狙いは、ギベオが身につけているメルヘンマトンのお面だ。

 そのお面を中心に、爆発を引き起こした。


「馬鹿なっ」


「割れた……?」


 お面の表面が、ピンクの花びらとともに、崩れ落ちる。


:割れた!

:顔があからさまに……!?


「ふっ、ふはははは――。そうだ、そう来なくては!」


 ギベオは突然、高笑いしはじめる。


「私、何かおかしいことをしましたか?」


「別におかしくはないが。……時にパルトラ君。俺様が譲った、エグゼクトロットの使い心地はどう思っている?」


「なっ……!?」


 お面が崩れ去ってからの男性声に、私は聞き覚えがあった。

 ギベオという男、もしかして……。まさかの再会に、驚きを隠せない。



「仮面の校長さんは、エグゼクトロットを渡してくれた方だったのですね。今は敵同士であることに間違いないですけど……!」


:知り合い?

:まさかの武器を名指し

:アツい

:やばすぎ!


 配信ログが勢いよく流れていて、盛り上がっていた。

 同時接続が、十万を超えていた。

 そう簡単には負けていられない戦いになった。


「……ふっ、そうだ。だから俺様も本気でぶつかっていくだけだ」

「それなら、私だって」


 燃やし、燃やして、燃やし尽くせ。

 青い炎は、更に勢いが増す。


「ぐっ……」


:このまま行くんだ!

:押し切れー!


 もはやその場から動くことすら出来ないくらいには、ギベオの身体を焼いていた。


「まだ、終わらない……」


 ギベオは両手を合わせて、黒い紋章を出す。


「烙印調合。……俺様と、賢者の石!」


 また再生か。いや、ギベオはすでに身体の一部が結晶化している。

 これ以上使うと、結晶で身体が飲みこまれてしまい……。


「この肉体がモンスターと化した時、四回戦に入らせてもらうぞ!」


 とっくに覚悟を決めていたギベオは、黒き結晶の大剣を後方に捨てた。


「更に烙印調合。良質のお肉と、銀の砂時計だ」


 加速する肉体を使った。

 ギベオは、再び私との距離を詰めてきて、全力の一撃を与えようとするだろう。


「四回戦には入らせませんよ!」


 私のエグゼクトロットで、拳をすべてをはじき返す。


 時間が経過すればするほど、青い炎が勢いを増して、肉体が朽ち果てるまで焼いていくというのに。

 まだ足掻くというのか?


「ちっ、はぁはぁ……」


 ギベオはすぐに息切れしていた。

 肉体に負担がかかりすぎているのは、仕方ないか。


 この戦いを終わらせる為に、私は詠唱をする。


「輝く隕石。地を這う汚れし魂に、虚無の刻を与えたまえ」


 ギベオが完全なモンスターとなってしまう前に、決着をつけたい。

 魔法によって教室に出現した隕石は、急速に落下していく。


「うおおおおおおおお!」


 ギベオは、全力で吠えていた。



 勝ちたい、勝ちたい。勝ちたい。



 ギベオは全力でシクスオを楽しんでいる。その気持ち、とても伝わってきている。



 でも、勝つのは私です。



 落下した隕石は破片となって飛び散り、教室全域に波動が伝わった。

 この波動に巻き込まれたギベオの身体が、石になっていく。


「この俺様が、負ける訳にはっ……」


 ギベオは石像になった。

 そして、ギベオがリスポーンしたという通知が流れる。


:おおおおお!

:やばかった!!

:勝った!


「ギベオさんは、強かったです」


 固有スキル、烙印調合の使い手。

 流石、タクトの師匠というだけのことはあった。


「そういえば、まだ燃えてますけど、そのうち鎮火していくかな」


 教室に広がっていた青い炎は次第に石へと変化していき、もの静かな空間に戻っていくと思われる。


『パルトラは、メテオライトの宝玉を入手しました』


 その場で棒立ちしていた私に対して、アナウンスが入った。

 ギベオを倒した報酬としてSSRの装飾品を獲得したのである。見た目はグレーの色味をしているが、表面に光を当てると綺麗な輝きを放ちそうだった。


 効果は、補助魔法の効果適用中、体力の消耗を宝玉がすべて肩代わりしてくれるというものだった。


 持っているだけで効力を発揮する。

 現状、私で重宝するシーンというのは、天使の羽を使った補助魔法くらいかも。


 なかなか強い効果だが、水晶みたいな形をしているので、小物として身に付けることは出来なさそうだ。


 これにて決着、と言いたいけど。


:安否の確認を……

:彼女、無事だと良いけど


 このダンジョンの攻略は、まだ終わっていない。


「セレネさん……」


 気が抜けない私は、賢者の石が置いてある教卓に、目線を向けた。


お読みいただき、ありがとうございます!!

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