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ダンジョンで遊ぼう!! ~配信しながら楽しくダンジョンを作りたいと思います~  作者: 愛原ひかな
第1章 クローニア学園

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隠された金属の通路


「さっきの話に戻りますが、研究所が三ヶ所あると伝えましたよね? 実はクローニア学園には、第四の研究所があってですね、そこは精霊魔法総合研究所というの!」


 緩やかな下り坂が続いていく金属の通路で、私たちの先頭に立っていたセレネは、とてもイキイキしていた。


 これから行くのは、精霊魔法総合研究所という場所。

 施設の名前に総合と名付けられているのだから、先ほどの個室とは違って、きっと規模が大きいのだろう。


 そこに賢者の石がある。

 無事だといいけど。


 トントントン――。


「これ、わりと好きでして」


 セレネは、普段以上にかかとを踏むのを強くしていた。

 金属の上を歩く際になる音が、どことなく気持ち良いのだろう。


 トントントン。

 トントントントン。


:なんか良い音だ

:まるで楽器のようねぇ


「これを聞いていると、嫌なことなんてすぐに忘れられるのに……」


 トントントン――。

 トントン。


「私も加勢しましょうか?」


 トントントン。

 トントントントン。


 たしかに、これをやっていると嫌な物事くらい勝手に忘れていきそうだ。


「フィナもやってみます?」

「ああ、そうだな」


 トントン。

 トントントン。


「たしかに、病みつきになりそうだ」


 フィナは楽しそうに足踏みする。


 トントントン。

 トントントントン。


 トントン。

 トントントントントン――。


:病みつきになりそうだ

:そうだなぁ


 これは楽しい。


 金属の踏みつけが、楽しくなってきた。

 やる度に病みつきになって、前に進むことが出来なくなるかもしれないけど、つい何度もやってしまう。


「そろそろ、進みましょうか。少しはスッキリしましたので」


 大きなため息を吐いたセレネは、自らの心を落ち着かせようと意識を持っていた。


「そうですね。施設までどのくらいの距離がありますか?」

「うーんと、この道は先端は行き止まりになっていて、ワープゾーンがあるから。歩く距離はそんなにないですね」

「行き止まりだなんて、厳重だな」


 フィナは、クローニア学園のセキュリティの厳重さに関心を抱く。


 でも、私はそうは思わない。

 問題があるとしたら、ワープゾーンで、セキュリティを入れていることか。

 待ち伏せ……というよりかは、そこにいる者が既に襲われてモンスターになっているパターンが容易く想像出来てしまう。


 念のため、ワープゾーンまで来たら、武器を構えなおすのが無難かも。


 トントントン。

 トントントントン。


 もう暫くは、金属の音を楽しみながら、進んでいくことになりそうだ。


 トントントン――。

 トントン。


「ここで、行き止まりです。えっと……」


 セレネは下を向いて、薄っすら見えていたワープゾーンの印を確認していた。



「まだ使えそうですね」

「それなら、行きましょうか」

 私は、エグゼクトロットを握りしめる。


「セレネさん、フィナ、念のために武器を取り出しておいてください」

「はい。その通りですね」

「あたしも、準備万端だ」


 セレネは弓を持ち、フィナは白い剣を取り出す。


 この先にある賢者の石を巡って、今回の紛争が発生している。これまでに受けていたクローニア学園の被害規模と、ブルースピリットが逃げた先として相応しい隠れ場所を考慮すると、ワープした先が敵陣の本拠地になっている可能性が大である。


「持ち物よし、では行きます。いざ、精霊魔法総合研究所へ!」


 私が一番最初に、ワープゾーンへ踏み込んでいく。

 続いてセレネ、最後にフィナが入る。


「ここが、精霊魔法総合研究所?」


 赤い煉瓦の壁に覆われた、薄暗い通路が続いていた。

 幸いにも、ワープゾーン周辺にモンスターの気配は感じられなかったが、油断しないように。


「まずは、どこに向かえば良いのか……」

「えっと……賢者の石はね、ここよりもっと下の階層にあります」

「もっと下のほう? それなら授業するのさえ、大変そうに思えますけど」

「パルトラ、ここって研究所だから、そんなものじゃない?」

「時間割とか気になってくるのですが……」

「それは気にならなかったかも。賢者の石を使った授業の日は、他の科目の授業はないから」

「なるほどです」

「あとは、寝泊まり出来るようになっているかな? わたくしは、まだ一度も利用したことないけれど、賢者の石を使った授業は数日間行われることもあって」

「賢者の石って扱うだけで大変そうだな」

「それはそうと……」


 地面には時々、水晶の破片が落ちている。

 ひとつ拾い上げてみようかな。


『失われた青き水晶の破片』を獲得した、というメッセージが入る。


 この素材アイテム……。

 ブルースピリットがもつ発色と、とても似ている。


「とにかく、進みましょう」


 戦闘が発生するとしたら、ブルースピリットがいることを考慮しないといけない。

 そうすると、ここは私が先頭に立って動くしかない。

 いつでも魔法の膜を張れるように、心の片隅で意識しておく。


「二人とも、慎重にお願いしますね」


 そうお声掛けもした。

 足音をできるだけ立てないように……。私たちは、淡々と歩いていく。



 やがて、見晴らしのよい広間へとたどり着く。


 幾つかの通路が伸びていて、上り階段と、下り階段がある。


「ここから下に行けば、賢者の石がある場所に近づくのですね?」

「そうですね。ただ……何か、います……」

「敵だな」


 階段の上から覗き込むと、ブルースピリットが、飛んでいた。


 数は、二。ではなく、三である。

 遠距離から仕掛けてもよさそうだが、いや駄目だ。


 初めてブルースピリットと戦った際に、私は二つの魔法を使ったが、どちらもブルースピリットに効き目がなかった。

 逆に、エグゼクトロットを投げた攻撃で、あっさり破壊することはできた。

 すぐに再生してしまったけど、ブルースピリットに対しては、物理が有効打とみて問題ないだろう。


「さて、どうしますか?」


 一応、ブルースピリットの情報を、この場にいる二人と共有しておく。

 その上で、強行突破を試みるか、別の手段を考えるか。


「あの、すみません。ひとつ思い出しました」


 セレネが指さしたのは、私たちが通ってきた道とは別の通路。


「あの先に、星のように煌めく水晶を保管しているのを思い出しまして。先にそちらを確かめに行きませんか?」

「賢者の石を放置するのか?」

「フィナ、ブルースピリットが下の階層にいる時点で、賢者の石がすでにマークされているということに変わりなくて。私とフィナがここへ来た、本来の目的を忘れましたか?」

「あたしたちの目的は、精霊のスカウトと、星煌めき水晶を探すことだが……あっ……」


 口に出してみたフィナは、ピンと来た。


「もしかして、あたしたちが探している素材アイテムがそこに?」

「恐らくは、そういうことです」

「うむ……。パルトラが、そう言うのなら……」


「はい、ありがとうございます!」


 すこし背伸びした私は、フィナの頭を撫でてみた。

 これといって嫌がる様子は見せなかったので、不満はないのだろう。


 あとは……何だか微妙に誘導されている感が否めないのである。通路の先に罠が仕掛けられているかもしれないけれど、今はセレネの意見に従って進むべきだ。

 引き続き、大きな足音を立てないよう気を付けて進んでいく。


お読みいただき、ありがとうございます!!

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