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宝箱の配置を考える


「宝箱の話やろ? こっちの方は、もう準備が出来てるやね」

 腕を組んでいるアレイが待ち伏せしていた。


「これ、全部宝箱なのか?」

 工房の奥の方に目が行くフィナは、息を呑む。


 私もアレイと同じように目が行ってしまう。開いた状態の空箱が積み重ねられており、これ一人で全部作ったと考えると、凄すぎる以外の言葉が出てこない。

 ざっと計算すると、全部で二十五個くらいあると思われる。 


「そうやね。宝箱を運ぶのは、フィナ殿も手伝うんやろ?」

「はい、そうなのだが……」

 フィナもどん引きするレベルでの準備万端っぷりに、言葉を失っていた。


「アレイさんのお仕事、早くないですか……?」

「パルトラ殿もビックリしたかと思うやろうけど、ダンジョンの製作状況を踏まえて、そろそろ頃合いだろうなと思ってたところやね」

「やはり、そうでしたか。早速ですが、宝箱の配置をしていこうと思います」


 私は場所を変えて、ダンジョン内に宝箱の配置する作業へと取り掛かる。

 ダンジョンの製作部屋で、宝箱の位置を変えたりする行為は気軽にできる。


「パルトラは、どういった配置にするつもりなんだ?」

「はじめてすることなので階層関係なく満遍にするつもりなんですけど、他に良い案があれば意見を尊重します」


「地下一階層のマップにはSSR装備品は置かないようにやね」


「ダークスライムだけしか出現しなかった時と比べると、モンスターのレパートリーが明らかに増えていますね。地下一階層でリスポーンする冒険者が多い現実を突きつけられていますが」

「パルトラのモンスター作成センスは悪くない。だから、地下一階層に必要なのは回復アイテムかと思うがどうだ?」

「そうやね。地下一階層で力尽きてたら、宝箱を物色してSSR装備品ゲットどころではないやからね」

「それもそうですね。では、回復アイテムを九割ほど、宝箱のモンスターを一カ所くらいでやりたい思います。宝箱の解錠のパターンは、一応ランダムにしておきたいです」

「良いんじゃないかな」

「そうやね。判子でも押したいやね」

「それじゃあ、地下一階層はこれでやりますね」


 考えがまとまると、フィナは愚痴る。


「宝箱の解錠もランダム……。厄介なダンジョンだな」

「まぁ、ダンジョンですから」


 私はマップを広げていた。

 ダンジョンなのだから、お宝くらいはあってほしい。そう思いながらクレイキューブの地下迷宮を探索する者は少なからずいるだろう。


 その希望にも応えていきたい。

 できる範疇になるけれど。


「地下二階層以降も、ひとつずつ考えていくつもりやね?」

「はい。ご意見よろしくお願いしますね」

「地下二階層になると、ダークスライムが徘徊しはじめるのか?」

「現状はそうですけど、どうしましょうか」


「パルトラ、モンスターの配置を変えるのか?」

「宝箱の中身次第では、ダークスライムが出現するエリアを地下三階層以降にするのが良いのではないかと薄々思っていまして」

「集団のフレアウルフがなかなか手強い、という意見やね?」

「そうです。地下一階層と地下二階層はグールとリビングブレード、地下二階層以降からフレアウルフが出現するようにします。そこに……」


「地下三階層以降にダークスライムやね」


「そうです。最後に後付けで、宝箱モンスターであるミミックを適時置いていく感じです」

「うむ、なるほどな。パルトラのイメージを前提に考えるとなると、宝箱の割合は……」

「一割くらいSSRの装備品やね。フレアウルフが多く配置されているところの宝箱に隠しておくのがバランスが良くなると思うけどや」


「うーん、暫くは二カ所にしませんか?」

「まずSSR装備品が宝箱の中身に入っているという認識がされなければ、無理してでも深くまで潜る冒険者がそうそう現れないと思うので」

「初回サービスみたいな」

「負担が掛かると思いますが……アレイさん、お願いします」

「そのくらい任せておいたら良いのやね」

「お試しで使わせたいSSR装備品なら、あたしは欲しいと思うけど」

「個人的にランクが低いと思うSSR装備品を仕込ませる。これだけで大丈夫やね」

「あの、地下二階層のミミックは三カ所でいきましょう。SSR装備品が出るとなると、宝箱を開けるのにもリスクが出てくるという演出が欲しくなって……」


「パルトラ殿は素晴らしいやね。これはこれは、強敵なことで」

「パルトラらしい、容赦なさが伝わってくる」

「私、褒められています……?」


 半信半疑になりつつも、地下二階層の考えをまとめた。

 余っている箇所には基本的に回復アイテムを置こうかな。時には外れ枠としてエネミースコアで交換したモンスターの素材も詰め込んでおこう。


「では、次です。地下三階層になります」

「ここまでこれる冒険者は、いま現在のところどれくらい存在しているんやね?」

「ダンジョン探索者、全体の約一パーセントくらいです」

「渋いな……」

「渋そうやね」

「これはモンスターの種類がまだひとつしかないタイミングでの統計なので、仕方ないです」


「集団で襲ってくるダークスライムの驚異は、なかなか大変だったよ」

「フィナは体験しているんでしたっけ……」

「そうだな。弱点である炎属性の武器を使って、ようやく五分五分ってところだったな」


「それは、相当厳しいとみて間違いなさそうですね」

「……やね。そんで、今のところ地下三階層以降の出現するモンスターは、ダークスライムが主軸なんや?」


「はい。そうなります」

「そしたら、地下三階層以降はSSR装備品を二十パーセント程度にしようやね」

「五分の一くらいで強い装備品が?」

「アレイさん、いくらなんでも奮発しすぎでは……」


「そんなことないやね。例の武器が手に入るコンテンツでの排出期間が終わって、在庫が余っているものも織り交ぜようと思っていてや」


「ふむ、悪くないと思います」


 私は考えをまとめていく。

 地下三階層以降の宝箱の中身は、二十パーセント程度がSSR装備品。


 ミミックが三十パーセント。


 残りが回復アイテムと、モンスターの素材が詰まったセット内容。

「ひととおり考えがまとまったので、早速組み込んでみたいと思います」


 私はマップの拡大を行う。


「宝箱の設定、これをこうして……」


 地下一階層から順番に、空っぽの宝箱を配置していく。


お読みいただき、ありがとうございます!!

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