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敵の気配がして


『モンスターを倒したあと、何か落ちていますわ』


 コルテはぴょんぴょん跳ねながら、地面で光るモノに興味を示す。


「みゅー。コルテ、それは先ほど倒したモンスターが落としていったものです?」

『恐らくそうでしょうが……アイテム名が判明したわ。黄色い蜘蛛の糸と、黒い種。エルトリス王国にいるモンスターを倒した際にも、このようなアイテムを落としていきますわ』

「拙者が集めても上手く使えないと思うので、素材アイテムの回収を全面的にパルトラさんにお願いしたいのですが……」


 困った表情を表に出すアマノハクが、私を見つめてくる。


「えっと……」


 地面に落ちていた素材アイテムは、私が回収した。


 今回の素材アイテムはモンスターの作成に使えそうなものではないけれど、私のダンジョンの宝箱に仕込むことも出来るので無駄にはならない。



『パルトラ様が片付けたことですし、次に行きますわ』

「みゅー。そうですね……」


 アマノハクがコルテに対して何か不満そうにしながら、歩いていく。


 魔神についてなのか、それともダンジョンの下の階層へ早く行きたいのか。


 前者は魔神がドロップしたアイテムを見せれば何か知れるかもしれないが、タイミングがまだ掴めない。

 仮に後者の場合だと、このダンジョンのマスターであるキラリに聞いてみるのが一番なのだけど、当人はログアウト中である。


 これは、少しぎこちない空気がしばらく流れそうだ。

 他の冒険者に遭遇とかしたら、また状況が変わってきそうだけど。そう上手く現れては……。


「みゅー。コルテ、いったん止まってください」


『お嬢様……?』

「人型の敵がこの先にいます」


 アマノハクが警戒心を強めると、私は息を吞む。


「モンスターではない……冒険者かな?」

「みゅー。パルトラさん、その通りです」

「この地形で相手が冒険者だったら、戦闘の回避はしにくいかもですね。シクスオでは、なおさら好戦的に来ますから」


「みゅー。ボス部屋に近いので遭遇しにくいと思ったのですが、まさか出くわすことになるとは……深い階層なので冒険者の腕前はそこそこありそうです」


「戦っても良いと思いますけど、アマノハクさんはどうしますか?」


 冒険者にいきなり襲われる状況でもないけれど、アマノハクに判断を仰いでみた。

 少し引き返せば、分かれ道があるので先手はこちらが取りやすい。


『お嬢様なら、正面から力任せの突破をよくされていますわ。隠れるのはいかがなものかと』

「えっ、そうなの?」

「みゅー。ヴィトエール大陸だと拙者に神様の加護があるのですが、電脳世界ではその加護を無力化されているのです」

『つまりお嬢様は、正面からの突破は難しいと』

「みゅー?」 

「コルテさん……。そこは、冒険者の強さとか人数によるかと思いますけど。ここで使うのはズルな気もするけど調べてみますか」


 私は、天翔る銀河の(アンドロメダ)創造天使(クリエイト)を発動する。


 このスキルのレベルは、現在五十五。

 アマノハクとコルテに見せるのは、初めてになる。


 発動すると、景色が一変して煌めく星の世界が広がった。

 その後、目の前に出てきた大きなモニター。映し出されていたのは、冒険者がこのダンジョンを探索する様子。


 固有スキルのレベルが上がっていったことで、自分だけではなく周囲の仲間にもダンジョンの情報を見て聞いて共有できるようになっていた。


「みゅー。これは……」

『ダンジョンの道ですわ。人型の敵もいますわ』

「いま映し出されているのは、私たちがこれから戦うであろう冒険者です」


 画面を見てみると、男がひとりで、女が二人いるパーティーだった。


 プレイヤーネームは、ルイービア、アミカル、カナン。


 カナンという冒険者が盾を持っていて最前列にいる。


 一方で、ルイービアとアミカルは、片手剣を持っていた。

 弓使いや魔法使いタイプはいなかった。


 距離を詰められなければ、アマノハクひとりでも対処することが出来そうではある。


「アマノハクさん! シクスオでは冒険者がたくさんいますけど、学校の生徒さんが遭遇するのは想定内ですか?」

「みゅー。ヴィトエール大陸にも悪いことする盗賊が少なからずいたりするので、生徒さんには良い刺激になると思われます。あまりにも相手が強い場合を除きます」


『お嬢様、この世界にもお強い冒険者がいるのですか?』


「みゅー? 電脳世界シクスオでは、六人のダンジョンマスターが統括しているのです。そして、パルトラさんはその一人です」

『パルトラ様は、六本指のひとつに入るのですか? それは頼もしいですわ』

「あの、指が六本あったら怖いのですけど……とりあえず戻しますね」


 スキルを解除すると、元の風景に戻っていた。

 この時、天変地異に遭ってしまったような気分を味わうのだけど、アマノハクとコルテはまったく驚かなかった。


『ふぅ……。早速ですが、お嬢様の負担を増やさない為にも奇襲をかけまして……あら?』


 先行して進みたがっていたコルテ。

 アマノハクはコルテとの距離を離さないように、手でジェスチャーを送って呼び戻した。


 こちらの準備は万端かな?


 冒険者はすぐ近くまで来ている。私は手に持っているエグゼクトロットを強く握りしめた。


お読みいただき、ありがとうございます!


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