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ベータテスト版のクリア条件


「ベータテスト版には、期間限定でクリア条件が設定されております。期間内に以下の項目を全て満たすとクリア特典としてベータテスト版の参加者全員に以下のアイテムが配布されます。ですって」


 フウリンが読み上げると、腕を組んでいたヴァルハリーザはため息を吐く。


「はっ、全員? その報酬はせめて魔王のオレだけにしろ」

「ヴァルハリーザさんの主張は分からなくもないですけど、これらの配布アイテムは全部消耗品ですね」

「ルトラ、そうなのか?」

「はい。冒険初心者応援パックみたいなものです」


 報酬アイテムの一覧に一目通したので、間違いなかった。

 クリア特典が配布されることになっても、特別な格差は生まれないだろう。


 あることを除いて……。


「そういえば、魔神ダイダロを倒した際の素材アイテムはそれぞれお持ちですよね?」

「ああ。当然だ」

「ダイダロのウロコ二枚と、ダイダロの牙がひとつですわね。それぞれ個別に手に入ったみたいですが、使い道が分からないわね」

「そうだな。魔王の役を持っているオレですら、使用方法が一切見つからないのはゲームとしてどうなんだろって」

「使い道を探すのも醍醐味なんでしょうけど……」


 そもそもの話、魔神ダイダロはシクスオで作成されたものなのかどうかが分かっていない。

 出現した時点ではギミックを完全に解いた状況でもなかった上に、明らかに強さの調整がなされてなかった。


 ニケが調査しているとはいえ、返答はまだだった。

 不自然なアマノハクの声も、気になるところであるが……。


「こ、項目も読み上げてもよろしいでしょうか?」


 フウリンは首を傾げそうになったので、私とヴァルハリーザは静かに頷く。


「封印された四つのゲートの発見せよ。真なる魔王を一名選抜せよ。魔王城のレベルを最大値にせよ。この三つですわね」

「一つ目は……魔界ダンジョンの秘密を暴く。もしかしたらそういうことが必要なのかもしれませんね……」

「秘密を暴くか。面白そうだな」


 ヴァルハリーザは、積極的に話題に乗っかってきた。

 四つのゲートというのは、間違いなく魔界ダンジョンにあるクラフトルームのことだろう。


 現状では一つしか開通していなさそうなので、他の大陸を回って解放する必要がある。

 二つ目の選抜というのは、ヴァルハリーザの目的と合致する。

 そして三つ目の魔王城のレベルを最大値にするというのは、予想通りならば二つ目の目的を達成しないと出来ない仕様になっていそうだった。


 よって三つ目はひとまず無視しておく。


 ベータテスト版故に、魔王城の最大レベルが低い可能性は否定出来ないが、どのみちヴァルハリーザの目的に専念したほうが良さげではある。

 あとは、アマノハクに関しての条件提示がなかった。

 これもまた、ひとつ何かしらの意味をもたらすのかもしれない。


「ふう。オレの目的を一番最初にやるのが先で間違いないな、それなら急ぐぞ」 


 ヴァルハリーザの指示によって船の移動速度が少しずつ上がっていった。

 波は荒れていないので転覆する恐れはないものの、やはり結構揺れる。


「と、飛ばしすぎでは!」

「ヴァルハリーザさん、もうちょっと気持ち落とし気味でも大丈夫かと思いますが……」

「ふん。そうか、それなら仕方ないか」


 ヴァルハリーザが再び腕を組むと、徐々に船の揺れが弱まってくる。


「急に速度上げて悪かったな、乗り物酔いとかは平気か?」

「あたくしは平気よ。このくらいなら」

「私も大丈夫でしたね。そういえばピリコさんは」


『おーえっー』


 ピリコの濁った声が、周囲に響き渡った。


「まったく。完全に忘れてたぞ」


 ヴァルハリーザが申し訳なさそうな表情をみせると、頭を下げ気味なピリコの元へと向かい、応急処置をする。


お陰様で第五章スタート!!

お読みいただき、ありがとうございます!

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